表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/6

白樺先輩と黒木後輩

 三ツ葉ちゃんが学校に復帰した放課後。僕は上機嫌になりながら、学校の雑草を引き抜いていた。


 僕は帰宅部だけれど、今日は機嫌が良かったからね。一年の手伝いをすることにしたんだ。三ツ葉ちゃんがいるだけで、オアシスみたいに感じるよ。普通の中学校なのに!


「学校卒業したら、先輩はどこに行く予定なんすか?」


「そうだね。僕としては近くの〇〇高校に行く予定かな」


「へぇー。先輩にしては、普通のところにいくんですね。もっと、都会の先鋭!みたいなところに行くと思ってたっす」


 後輩くんは、植木鉢を移動している手を止めた。そんなに意外そうな顔をされると気になるじゃないか。


「どうしてだい?君も知ってのとうり。僕は三ツ葉ちゃんが大好きだからね、離れたくないんだよ」


「まあ、先輩の三ツ葉先生大好きっぷりは、校内でも有名っすけど。先輩はこう、都会から勧誘がきていてもおかしくないかなって」


 根が張って引き抜けない雑草を、後輩くんは尻もちをつきながら引き抜く。


「僕はここがちょうどいいのさ。都会に行ったら、なんだろうねぇ。調子に乗ってしまいそうだからかな」


「先輩が調子にのる?そんなことありえませんよ。先輩ほど真面目な人、俺は見たことないっすから」


「後輩くんは優しいよね。黒木くんの弟だと思えないよ。黒木くん、僕にだけ厳しくてさ」


「兄貴は、先輩と自分自身を重ねてますからね。この間一人にしちゃったからですかね。兄貴、今すごく機嫌悪いんですよ。どこが似てるか、全然教えてくれないっす」


 僕は雑草をゴミ袋につめる手を止め、後輩くんの顔をまじまじと見つめた。黒木くんと似ているなんて冗談じゃない。正義感の強い彼と、悪役っぽい僕のどこが似ているのだろうか。良い子の黒木くんが可愛そうだ。


「うーん?そうだねぇ。後輩くんには言っても構わないかな。僕と黒木くんの共通点は、二面性があるところだろうね」


「先輩のは上手な世渡りだと思うっす。でも、兄貴に二面性があるんですかね?」


「まあ、あるんじゃないかな?黒木くん、周りの人間に影響を受けやすいみたいだし」


「あっ!確かにそうっすね。兄貴、ヒーローものが好きだけど、それ以上に悪役が好きみたいですし」


 僕らは雑草除去を終え、鞄を持って校舎を出た。生徒の人数自体が少ない学校だからか、近くの学校と合同で部活をしている人も多い。放課後の学校は、誰も通っていないと錯覚させるほど、静まり帰っていた。


「そういえば、先輩の二面性ってなんですか?」


 後輩くんは、うやむやになったはずの話しを掘り返した。僕は根っこから引っこ抜かれた雑草を思い出す。雑草達はこんな気持ちだったのかな。僕は人間で良かったと、心底思いながら答える。

 

「僕の二面性ねぇ」


 あんまり人に言えるようなことじゃない気がするけど。この後輩くんは、黒木くんをグレードアップしたような性格だし、やっちゃダメなことも理解してるだろうしなー。


 誰にも言わないって約束できるかい?なんて言ったら、黒木くんに言っちゃいそうなんだよね。なんだかんだで兄弟だし。


「別に秘密にしなくてもいいけど、これから喋ることを聴いても、後輩くんは僕と仲良くし続けてくれるかな?君と仲違いしたら、僕は立ち直れないよ?」


 僕は道端のベンチに腰掛けた。年月が経って錆びた鉄は、体重の軽い僕が腰掛けても悲鳴を上げる。この前少女が乗ってる時も、このベンチは危ない音を立ててたからね。今度学校の投票箱にでも、このベンチのことを書いておこう。


「ところでさ、後輩くん。最近の話しと、昔の話し。どっちの方が良いと思う?」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ