これはよくある断罪劇 3
王太子の愛称の呼び方を変更しました!
主人公がセオ様→リク様
男爵令嬢がセオドリク様→セオ様
急な変更申し訳ありませんm(_ _)m
目の前の、断罪された彼らを見て、どうにか出来ないかな、と想う私はバカだ。
だって、彼らを絶望に追い込んだのは、紛れもなく私じゃないか。…それでも、酷い人だと思ってしまう。思ってしまう。
「なんで…」
ねぇ、貴方は呟く彼女を見て何も思わないの?
「殿下…」
貴方の役に立とうとした側近達の有り様を見て、何にも思わないの?
だとしたら貴方は残酷だ。
きっと貴方との思い出がたくさんある彼らを、なんでもなかったかのように断罪するのだから。
…でも、それを罪に問うなら私も同罪。この計画を立てたのは私もだから。
大丈夫だと思っていた。何も感じないと思っていたよ。でも、こんなの見たらさ…
「ふふふ…ねぇ、私はこれからも貴方の隣で笑うのですね」
王妃なんか、嫌になっちゃうよ。
私の意図を読んだのか、彼が私の頭を撫でる。
「そうだよ、君はこうやって、俺の隣で笑うんだ」
笑い合う私たちは、彼らにトドメを刺したのかもしれない。
それと同時に、あぁ私は王妃になるんだって思えた。
「…まって、待って下さい」
なんとか気力を振り絞り、私達に男爵令嬢さんが話しかける。
「私は、私を突き落とした貴方を見ました」
「ねぇ、男爵令嬢さん…」
「本当です、信じてください…!!」
必死に訴える男爵令嬢さん。でも悲しいかな?確かに私は貴方を突き落とした。
でもね、私じゃないって言い張ることができるんだ。
「確証は?」
「え…」
「本当に、私がしたの?私の顔を見た??」
「え、あの」
「それは、絶対に見間違いじゃないと言い切れる?」
昔、ドラマで見た尋問。本当か、絶対か、この人の人生がかかっているんだ。証人に何度も聞いて、証人は証言を撤回してしまう。
目の前にいる彼女は、自分の言うことに自信が持てるだろうか?
「…振り返った時、影で、顔は見えませんでした」
否だろう。だって、彼女の先入観が確証を与えていたのだから。
「じゃあ、私が貴方を突き落としたとは言えないわ」
にこりと笑う私は、残酷だろう。
ごめんね、私は王妃になるよ。それで、もっと残酷なことをするよ。
「…さて、皆の者。」
彼は、グルリとパーティー会場にいる人々を見渡した
…その中には、彼によって断罪された彼らもいる。
「せっかくの卒業パーティーにつまらぬ茶番を見せて、すまなかった。」
「つまらぬ茶番…」
誰かが呟いた。
確かに、友人だった者を断罪するのがつまらぬ茶番なのか、とは思う。
「そして、俺の婚約者であり、次期王妃に言いがかりをつけた君達のことを、特に処分するつもりはない」
その言葉に、私を断罪しようとした彼らが、虚ろな目でこちらを見る。
「俺達はまだ、学園の生徒でもある。ならば、学園が掲げる平等に従うべきだろう。」
果たして微笑む王太子を、聖人と言えるだろうか。王として、この発言は優しいのだろうか?
…確かにそうかもしれない。でも、どうしても彼のことを残酷だと思ってしまう。
人のこと言えないんだけどさ(笑)
「では、そろそろ俺達は失礼させてもらう。行こうか、アナ」
「…えぇ!」
でも、そんなこと思ってるなんて悟らせないくらいの満面の笑みで答える。
「ねぇリク様…私、貴方の隣に立てて嬉しいです」
それは、どうしてか彼の隣に立てて、嬉しいと感じる自分がいるから。