転生者は詰んでしまった 2
目の前にいるのは、金髪碧眼の王太子。そして私は、そんな彼を見つめながら呟いた。
「なんで、土下座してんの…?」
全く以って、この状況がわからない。
だって、私の部屋を訪ねてきたのは王太子だったんだもん。いや、それだけならまだ良かったんだけどさ…
「ドアを開けた瞬間、土下座する?するの??」
というか本当は王太子を見た瞬間、土下座しようって私が考えたんだよ。だってさ、今まで男爵令嬢を虐め抜いて、しかも殺人未遂までやらかしたんだよ?それは当然王太子達に気づかれてる。
「今まで貴方のことをおざなりにしたり、浮気したり、誠に申し訳ありませんでした…!!!」
王太子が叫ぶ。
なんか近親感あるんだよな〜王太子の土下座。あ、前世で見た偉い人の謝罪会見だ。…あれ、この状況ヤバくね?一国の王太子に土下座なんかさせてたら色々まずい。
「頭を上げて、王太子が何してんの!?」
「だが…俺は崖っぷちなんだ!」
「は?」
いや、崖っぷちはどう考えても私でしょ。なんで王太子が…。
でも、よく見るといつもと違う。なんだろう、やつれてる…?
「キラキラがなくなった…?」
「俺にキラキラなんか出せるわけない!俺は普通の日本人だ!」
「え、日本人!?」
「ーー俺、廃嫡されそうなんだ!」
「え?」
廃嫡?なんで??
「俺は、今まで貴方のことをおざなりにしまくった。王家の決めた婚約者をおざなりにするのは、本当はかなりダメなことだ。…性格が性格だから見逃されていたが」
「貶してる?貶してるんだな、今までごめん」
自分でもわかる、あれはダメだ。
「それでな、俺は学園でやってしまった…」
「惚れたんでしょ、男爵令嬢に」
「あぁ…。それでも婚約者を優先していれば許された。男爵令嬢はあくまで側室候補として扱えばよかったんだ。…だが、俺がしたことといえば君の面子を潰す行為ばかりだ。
貴方に非はあったが、それでも公の場で断罪することはなかった。」
私も私だけど、王太子も王太子ってことだよね。浮気するし、王家の決めた婚約者の面子を潰しまくったんだから。
「しかも、婚約者を断罪しようとした。…それは、他国からの招待客もいる結婚式を潰す行為だ。」
「あ、詰んでるね」
「そう、詰んだんだ…。しかも、断罪で用意している証拠は、この国大丈夫?レベルだ。」
「そこまで?」
「七割決めつけ、三割証言。物的証拠は何もない」
「よく断罪しようと思いましたね。頭お花畑か」
そりゃ廃嫡されるわけだ。
「…よしわかった、この国のために廃嫡されるべきだ」
「本当ごめんなさい、助けて」
私はため息をつく。私のメリットがないじゃないか。王太子が手の内晒しちゃったから、特に対策しなくても大丈夫だって分かっちゃったし。バカだね。こんなのが国王じゃ他国から食い物にされるよ?
「バカ、そんなんじゃ廃嫡される方がいいんじゃない?」
すると王太子は、頭を上げて立ち上がった。
「ーーなぁ、ここが乙女ゲームの世界だって知ってた?」
「マジか」
ここについて予想はしてたけど…
「取引だ、悪役令嬢」
ここまでご覧いただきありがとうございました!現在はコロナの影響でやることがないので、1日1回を目標に投稿しようと思います。