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写真
冷たいザラザラとした石の階段をおりて行く。途中、ブルーハワイ色の屋根をした小さな家、だったり。海辺の前で佇む、白いシャツの少年の写真が飾られていた。
軋む木戸を開け、僕は下りる。踏みしてたのは暗い野草だった。
振り返ると、少女は地面を見つめていた。足は痙攣している。「大丈夫だよ」と言ってみても、少女は何が怖いのか一向に下りる気配がない。
「どうしたの? 」
少女は何かをのみこむように言った。
「もしも、私がこのままその冷たい地面を踏めば」
頷く。
「私の中で何かが変わってしまう・・・・・・」
「・・・・・・それはいけないことなの? 」
少女は靄を払うように首を振った。いけないことではない。そう呪いのように口ずさんだ。その小さな手はかたく結ばれていた。彼女の足は、とても小さかった。