表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鬱蒼とした青。  作者: 雪之都鳥
第四章
22/28

黒と少女

 黒は、塔の麓に手足を地面について少女の名前を呼んだ。返事がないと判断したのだろうか、塔に前足をかけて勢いよく石壁を駆けた。


「おい、お嬢」


 塔には窓はなく、代わりに月のようにくり抜かれていた。黒はその姿を見たのかと思えば、もう一度深琴の名前を呼んだ。


 ちらりと、その黒髪が見える。よく手入れのされた、艶のある髪質だった。その瞳は出会った頃と同じ色だった。


「どうしたの、黒ちゃん。また遊びにきてくれたの? 」


 黒は、ああん?と声を荒げたがどうやら癖のようで深琴は気にしていない。


「今更なにを言ってんだい? 当たり前のように毎日くるさ・・・・・・」


 黒は目を細めて、下を向いた。目が合う、意図的にだろうか。「あの長い期間を除けばだがの」


 黒は僕を見下ろした。鋭い瞳で、僕は目をゆっくりと閉じた。


 喋り声が聞こえて目を開ける頃には、何事も無かったかのように平然と尋常に深琴とやり取りをしていた。


 いつまで待たせるんだと、僕は黒に腹を立てた。僕は深琴と黒が仲良くしているのを見たくはない。


 黒は勝ち誇りの笑みを見せて、僕を挑発した。乗るものか、と拳を握り締める。僕は顔を意識的に緩めた。


「深琴、帰ろう。こんな所にいても面白くないでしょ?」


 深琴は今気付いたようで、無言で塔に引っこむ。僕は微笑した。


 返事はなかった。わかっていたことだった。でも諦めない。確かに深琴は、おじいちゃんの家にいる時の方が楽しい顔をしている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ