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鬱蒼とした青。  作者: 雪之都鳥
第三章
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結局

「結局、ついてこられたのですね」


 言葉を、落とすような口ぶりで深琴は言った。その調子は、初めて出会ったそれに似ていた。


「なぜ、なぜ。なぜ今なんだ」


 そんなことを言っても、仕方ないではないか。僕はわかっていた。なぜ今なんだなんて言われても、深琴には関連もない話なのだから。


 でも諦めがつかなかった。否。諦めというより、執着心だろう。


 彼女の言葉は、あどけなかった。


「道流さんと、あの海を見た時。私、思ったんです」


 あの透き通った青のことだ。あの色を見せては、いけなかったのだろうか。


「あぁ、帰らなくてはと。この海が、そう言っているのだと」


 勘づきのいい僕は気付いてしまった。あの強い眼差しは、その意思は、遠い記憶に残るはずだったあの塔への想いだったのだ。


「なぜ、そこまで塔に帰りたがる? 」


「・・・・・・帰らなくてはいけないのです」


 彼女が中に入るのを、僕は見届けるしかなかった。木の板は閉じた。そこにあるのは、冷たい余韻だった。最後に目に焼き付けた君の後ろ姿を僕は忘れたことがない。

 

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