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あの青
まだあの青が脳裏にこべりついて離れないまま、僕は深琴と道を歩いていた。繋いだ手は柔らかい。彼女の横顔は線が細く、輪郭ははっきりとしている。まるでひとりの女性を絵にしたかのようだ。
白い鳥が、一匹羽ばたいていく。空を登る飛行機雲のように。
深琴、と名前を呼ぶ中途に彼女が振り向く。僕はしばらく呼吸を忘れた。深琴の瞳はとても真っ直ぐで、意思を持っていたからだ。
「道流さん、私はもう帰らなくてはいけません」
なぜだ、と言う前に深琴は僕の横をすり抜けた。手を、離さなければよかったんだ。この時ばかりは、手を離して歩いていたんだ。




