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鬱蒼とした青。  作者: 雪之都鳥
第三章
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猫の墓

 白い外壁のおじいちゃんの家の庭には、太陽の恵みを受けて健やかに育った橙色の花が咲いている。その花の傍があいつは好きだった。よく、その花の前で気持ちよさそうに呑気に寝ていたのを覚えている。


 見あげれば、大きな花が僕を見下ろす。花に手を添えれば、まるで花まで悲しんでいるようだった。僕も、ここで本を読んだものだ。ひだまりは、僕を包み込む。僕は目を閉じた。


 手を合わせれば、愛していたあいつとの想い出が頭の中に巡る。また、一人ぼっちになってしまった。

「とても、悲しそうな顔をしていますよ」

 背中の方で声が聞こえて振り返る。深琴はまた例の視線を僕に向ける。また、僕は笑う。心配しないで。哀れまないで。

  けど、深琴が僕を抱きしめた時、世界の色が変わった。そうだ、あの蒼さは。

「涙が溢れているのに気付かないのですか」

 その、蒼い目は僕の目の青さでもあった。小さな頃の僕が奥に一人で立っている。そして僕を見つめている。

 頬に手を当てると、涙で濡れていた。また僕は瞬きをする。涙は直ぐに引っ込んだ。

「み、こと」

 胸の沈殿していた澱を出そうとすれば、のどにつっかえた。深琴は、微笑んでいる。

「今の、僕には、何も、言葉をかけないで」

 わかりました、と深琴はただ僕の背中を手であやした。止まった涙も止めどもない。ただ僕がどうして泣いているのか、理解が追いつかなかった。

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