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鬱蒼とした青。  作者: 雪之都鳥
第一章
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 鬱蒼とした波が打ち際に迫っては退くを繰り返し、ざわめく水の流れは彼方先の暗鈍(あんどん)とした地平線に呑み込まれては消えて行く。陶器のようなさめざめとした月は雲に覆われて、どこか僕のわからない所で呻き声をたてていた。灯台の光が孤独にも海に浮かんでいる。


   僕の中に意思はなかった。そこに棒立ちになったままで、瞬きもせずに見ていた。闇に紛れたその塔は、鋭い光に時折浮き彫りにされる。


   突然、炎のような淡い灯火が顔を出してまた引っ込んだ。息を呑んだのを拍子に、周りの景色が現実味を帯びる。


   声が聞こえた。さっきまで遠くの存在だった塔が聳えていた。その小さな窓から見てくる瞳は、閑静、そして青かった。


「危ないです!ただちに迂回してください! 」


 大海に包囲されている僕は逃げる場所はない。


「無理だ! 」


 雨雲が雷を落とす。彼女の白い肌が、か細い腕が、美しい顔が暗闇に映えた。

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