第6話 終わり、始まる
伊達武蔵の乗る機体『リバイン』。
NFの主力機とされている機体であるが、そのリバインが今まさに加速し、基地周辺に現れた我雲へと突っ込んでいく。
我雲は体勢を変え何とかリバインを避けようとするが、リバインは持っていたLRS(Long Range Saber)を我雲が進む方向とは逆の方向に投げてしまう。
一見そこには何もいないはずだが、LRSはその空間に突き刺さると激しい火花と電流が走り、隠されたその姿が映し出された。
『ステルスフレームが破壊された!? そんなっ……!』
その場に何もなかったはずの場所に赤紫色をした機体が突如姿を見せる。
リバインの投げたLRSはその機体の左肩に突き刺さっていた。
「エリル! 大丈夫か!?」
『私は大丈夫、だけど左腕とステルスフレームが負傷したみたい……』
丁度その時、基地から駆けつけた数機のギフツがこちらに近づいてくるのが見えてくる。
それを見た我雲の操縦者羅威は操縦桿を引くとその場から後退していく。
「援軍のお出ましだ、奴等を基地から離すぞ。出来るか?」
『機動回路には問題ないから大丈夫、やってみる』
武蔵にとってステルス機の探し方など簡単な事、砂塵が一つしか舞っていないという事は我雲の真後ろに機体があるという事。
これなら怪しまれず我雲に近づいて来る機体を確実に破壊できる。
恐らく武蔵が我雲を狙っていたらあの敵機に背後に回られて機体は破壊されていただろう。
武蔵がとどめを刺そうと背部の銃を手に取り、負傷したステルス機に銃口を向けると、ステルス機と我雲がリバインに背を向けて一気に加速して去っていく。
「引いたか。良い判断だ」
その時、リバインの後方からはようやく数機のギフツが到着する。
負傷した敵をそう簡単に逃がす訳にいかない、リバインが最前列に並び敵機を追おうとすると、その後ろから数機のギフツもついてくる。
だが武蔵はリバインは急に止めるとすぐさま本部に通信を試みた。
通信は繋がり、オペレーターのいる部屋からルフィスの姿がモニターに映しだされる。
「ルフィス、本部に異常は無いかい?」
オペレート室にスピーカーから聞こえてくる武蔵の声。
『こちらルフィス、異常はありません。中尉は引き続き逃げたBN機を追ってください』
「本当に?」
その言葉にルフィスは小さく反応を見せたが返事は決まっていた。
『っ……はい』
「了解、引き続き逃げたBN機を追ってみるよ。何かあったらすぐ連絡してね」
通信のスイッチを切り、モニターからルフィスの姿が消える。
ルフィスも同様にスイッチを切り、小さくため息をすると同時に冷や汗が頬に流れる。
「これで、いいんですか……?」
「いいよいいよ、名演技だった」
扉にもたれ掛かり、ルフィスに銃口を向けているのはBNの兵士、穿真だった。
そんな穿真に対してルフィスは何もする事が出来ない。
「貴方達の目的は一体なんですか、どうしてこんな所に……」
前を向いたまま穿真に話しかけるルフィス、その問いに穿真は銃口を向けたまま答えた。
「NFと和平交渉をしに来ただけだ」
その言葉を言い終えた瞬間穿真は銃の引き金を引くと、銃弾はルフィスではなくモニターに穴を開けた。
「そ、それならどうしてこんな事を!?」
「あんた等の上官達が無能でね、交渉を断ったんだよ」
「だからこの基地にあるデータでも貰おうと思ってね」
その言葉を聞いた途端、ルフィスは大きく溜め息を吐いた。
「貴方馬鹿ですか……」
「おいおい、銃を向けられてるのに馬鹿は無いだろ」
笑いながら怒ったような表情になる穿真、銃口の位置は変えずしっかりと銃を握り締めている。
「たしかに今はそちらが有利です。しかしここはNF五大基地の一つです。それが理解できますか? さっきの警報で異変に気づいた兵士達は銃を手に取り、この基地になだれ込みますよ。そうなると形勢逆転、貴方達は袋のネズミになるという事です」
「おお、この状況でよく考えてるんだな。んじゃその前に敵である一兵士を殺しておこうかな?」
そう言って穿真が銃の引き金を掛けていた指に力を加えていくと、血飛沫と共に銃を握っていた右手が地面に落ちる。
「へっ?」
驚いた様子で足元に落ちた自分の右手を見つめる穿真、銃を握り締めたまま足元に落ちる手、自分の右手を見れば手首から先が無く、鼓動に合わして血が噴出していた。
「え……ええあ、うわぁっ! うわぁああああああ!?」
オペレート室に穿真の断末魔が響きわたる。その発狂を聞いたルフィスは咄嗟に後ろを振り向くと、そこには右手首を抑えながら地面に座りこむようにして痛みに 震える穿真の姿があった。
そして穿真が背にしていた扉が切り落ちると、そこから一人の女性が現れる。
「扉ごと俺の手をっ……!」
扉が壊れると共に、オペレート室に入ってくる一人の女性。
黒い軍服身に纏う赤い長髪の女性、黒い帽子を深く被っている。
その女性の右手には刀が握り締められている。
「赤城少佐!?」
赤城は地面に落ちている右手を無視して穿真に近づいていく。
勢い良く穿真の胸倉を掴み、睨みつける。
「貴様、目的を言え」
「へっ、あ…ああ……」
自分の右手が切り落とされた事と、焼けるような激痛で言葉が出ない。
「手を斬り落とされた程度で混乱するとは、無様だな」
赤城は掴んでいた胸倉を放すと穿真の体を簡単に突き飛ばす。
突き飛ばされた穿真は勢い良く倒れてしまい身動きがとれなかった。
「ルフィス、怪我は」
「あ、ありがとうございます。私は大丈夫です」
座席から立とうとした時、自分の意思とは逆にその場に座り込んでしまう。
「あ、あはは……腰が抜けちゃいました」
さっきまで自分が死ぬかもしれない状況に立たされていた事と。
人間の右手が切り落とされ、大量の血を見た事によって軽いショック状態になっていた。
「すみません、私軍人なのに……」
右手に握っていた刀をその場に置き、そっとルフィスを抱きかかえる。
突然抱き抱えられたルフイスはその場で慌てふためいてしまう。
「えっ、少佐!?」
「安心しろ、これから医務室に連れていく」
ルフィスを抱きかかえたまま立ち上がり、その場を後にしようとする赤城。
その時既に斬り落とされた右手と穿真の姿は消えていた。
「でもBNがまだこの基地に……」
「大丈夫だ、さっきの警報で既に軍は動いている」
赤城の前から武装をしたNFの兵士が付近を探索しながら近づいてくる。
既に東部軍事基地には戦闘態勢が出来ていた。
丁度その頃、甲斐斗は基地から出る為に兵士に見つからないように基地内を走り回っていると、漸く外に出る事が出来た。
だが基地の敷地内には銃を持った兵士達で溢れかえっており、今基地の敷地内から出ようとすれば間違いなく撃たれてしまう。
どうやって基地から出ようか考えていた時、ふと視界に機体が並べられてある格納庫が目に入り、良い事を思いついていた。
「……機体盗むか」
混乱に紛れて逃げ出した甲斐斗は少女を背負い、やっと格納庫にまで来れた。
後は急いで機体に乗り込み、機体の起動スイッチを入れてみると、起動したギフツは眼を光らせる。
少女を自分の膝に座らせ、多少狭いがなんとか機体を動かす事が出来た。後は逃げるだけ。
甲斐斗の機体が背中に装備されているグレネードを手に取り格納庫のゲートを躊躇い無く爆破する。
そして格納庫から出てみると数十人の兵士が東部軍事基地を探索している姿が見えた。
「おい! あのギフツがゲートを破壊したぞ!」
「BNが奪った機体かもしれない、各隊員はギフツに乗れ!」
その兵士達が格納庫に入っていき、次々にギフツに乗り込んでいく。
(ゲート爆破するんじゃなかった……)
と、今更思うが今更襲い。仕方が無い。
甲斐斗の乗る機体のモニターにこの近くの地図が表示される。
この地域一帯のデータが表示され、その中でも森が有る場所に甲斐斗は目をつけた。
(隠れるならここがいいな)
そう思い機体の出力を上げて一気に基地から離れていく。
何機かは追ってくるかと思ったが、恐らく攻撃してない自分の相手をするより、基地に入る敵と戦っているのだろう、甲斐斗はそれを逃げる為の餌にさせてもらった。
その時、ふと今まで機体に乗っていて聞いたことのない音が聞こえてくる。
まるで一秒一秒時計のように進んでいるかのような電子音。
その音は足元から聞こえていた、右足を上げてその場所を確認してみる。
(十五……十四、十三……?)
よく映画でみる光景だ、奥の方に見える赤いデジタル式の時計。まるで時限式の爆弾そのもの。
(十、九……賭けるか、これが爆弾か。それともそうじゃないのか。俺はこう見えても運は良い方だと……思わないけど)
「つーかどう見ても爆弾だろッ!!」
森が見えた、だがこれ以上ギフツに乗っておくのは非常に危険すぎる。
甲斐斗は急いで機体を止めハッチを開けると共に少女を抱きかかえたまま地面に飛び降りた。
飛び降りたまでは良かったんだが、地面とかなり距離がある。
着地のさいに右足首に激痛が走った。だが今はそんな事を気にしている場合ではない、力の限り走りギフツから少しでも遠くに離れていく。
その瞬間、甲斐斗の後ろにあるギフツが凄まじい閃光と共に爆発を起こした。
ギフツの爆発は甲斐斗の乗る機体だけでない、東部軍事基地に待機していた全ての機体にも同様の異変が起きていた。
「何だ、この音は……」
基地で機体に乗っている一人の兵士が電子音に気づいた時、既に遅かった。
兵士達が乗っているギフツが次々に閃光を放ち爆発していく。
周りにいた兵士までも爆風に巻き込まれ、格納庫が爆発で吹き飛び、基地が揺れる。
医務室の棚に置かれている薬品が地面に落ちていく。
「爆発音? 外で何が……」
ルフィスを医務室にまで抱えてきた赤城が窓を開けてみると、そこには爆発したギフツの残骸が辺りに散乱していた。
その中に見覚えのある機体が姿を見せる。だがそれはNFの機体ではなくBNの機体だった。
「奴等、いつのまに!?」
「赤城少佐、私は大丈夫ですから基地の防衛を……」
医務室にある大きな白いベットで寝込んでいるルフィスはそう言うと、赤城は拳を握り締めルフィスに背を向けた。
「分かった……!」
急いで医務室を後にすると、赤城は自分の機体がある格納庫へと向かった。
『NFの皆さん、聞いてください』
NFの基地の敷地内にいるBNの機体から一人の青年の声が聞こえてくると、青年は突如語り始めた。
『BNの力を理解してもらえたと思います、しかしBNは貴方達との戦いを望んでいません』
突如話し始めるBNの青年の声に、NFの兵士達がざわつき始める。
『人間同士で争うなんて馬鹿げています、今こそ人類の力を合わせてERRORと戦うべきです!……突然このような事を言われても理解し難い事はわかっています、それならせめて──』
「何を言ってやがる! 基地をめちゃくちゃにしておいて今更力を合わせろだと!? 何人もの仲間を殺しやがって!」
「お前達はそんなやり方しか出来ないのか!BNはあの時武器を捨てなかった!これは世界の破滅を意味していたんだ!」
「ERRORが今年になって出現しだしたのも、和平交渉を結ばなかったBNが悪いんだろが! ERRORの出現は神の天罰に違いないのだからなッ!」
基地にいる兵士達が次々に叫びだし、一機の我雲に何人もの兵士が機関銃を発砲していく。
だが、いくら兵士達が銃を撃とうと我雲には傷一つ付かない。
その様子を見ていた我雲に乗っている青年は俯き黙ってしまう。
するとその我雲の操縦席に付いているモニターには紳の姿が映し出された。
『愁、貴様は何を言っている』
「紳さん……!」
『貴様のした行動は命令違反だ、先に基地に戻れ』
「しかし俺は!」
『戻れ』
「っ! わかりました……」
表情を変えない紳、その言葉で愁は何も反論できなかった。
愁の乗る機体は旋回して東部基地から出て行く。
紳の乗る専用の機体『白義』。白義はマントを靡かせ東部軍事基地の様子を見つめていた。
基地や格納庫からは火災が発生しており、何人ものNFの兵士が倒れている。
白義も基地から離れようと後ろに振り返った時。一機の機体が立ち塞がった。
「ここは通さん」
颯爽と現れる一機の赤い機体。それは赤城専用のリバインだった。
背中に装着されているLRSを既に抜き取り戦闘態勢に入る、それを見ていた白義もまた、背中に装着されている二本の白銀のLRSを手に取ると、戦闘態勢に入った 。
互いの機体が睨み合い、いつ二体の機体が刃を交えてもおかしくない光景。
「この白銀の機体、アステルの部隊がやられた機体か……ならばっ」
構えていたLRSを背部に戻し今度は機関銃を手に取り躊躇いなく白義に狙いを定め引き金を引く。
すると白義は疾風の如く高速で左右に動きで弾丸を避けると、一気にリバインとの距離を縮めてくる。
「速いっ!? 情報どおり凄まじい速さだなッ!」
今までに見た事のない程速い機体の動きを見て左手に持っていた機関銃を投げ捨てると、今度は腰についているハンドグレネードを取り出し相手の動きを予測して投げる。
赤城の予測どおり手榴弾が白儀の目の前で爆発し爆煙が白儀の周りに覆い隠していく
白義との距離が近い為、リバインは少し距離を置き煙が晴れるまで様子を見ていた。
「タイミングは合っていた、直撃なら動けないはずだが……」
その時、爆煙を吹き飛ばしながら白義が真正面から一気に接近し間合いを縮めてくる。
その姿は背中に着いているマントで自分の機体を覆い隠していた。
「ただの布切れではないようだな!」
白義は一本のLRSを振り下ろし、それを一本のLRSで耐えるリバイン。
だが相手のLRSの数は二本、もう一方のLRSがリバインの右腕を切り落とす。
その瞬間、リバインが左腕で振り下ろしていたLRSも弾かれてしまい、その左腕を白義が素早く切り落とす。
「ぐっ、両腕が……っ!」
後退しようとリバインが出力を上げて下がるものの、機体に張り付いてくるかのように白義が接近していくる。
そして白義はLRSを交差させると、リバインの頭部を撥ね飛ばす。
もはやリバインの姿は足だけが着いている何とも奇妙な格好になってしまう。
更にバランスを崩し、その場に仰向けに転倒してしまう。
急いで起き上がろうとするが、両手を失っており立ち上がる事すら出来ない。
勝負はついた、白義がLRSの刃先を胸部に突きつける。
「っ!?」
一瞬で赤城の全身を恐怖が包み込む、もはや声も出す事も出来なかった。
「赤城ッ!」
リバインと白義のコクピットに響く男の声。
その声と同時に白義の背後からリバインがLRSを振り上げながら飛び掛る。
後ろからの攻撃を難なく交わす白義、飛び掛ってきた機体を破壊しに向かう。
一瞬で決着をつけるはずの紳だったが、その熟練した機体の動きに中々攻めきれない。
白儀が振るLRSの動きを読み、左手に持つ盾を上手く使いながらリバインが白義と対等に戦っている。
赤城は、閉じていた目蓋をゆっくりと開けてみる。まだ自分は生きてい事が分かった
モニターには白義とリバインが一対一で対等に戦っている映像が映し出されている。
「武蔵!? どうしてここにいる!」
赤城のモニターに映し出される武蔵の映像、多少映像が乱れているが何とか通信は出来る。
「ルフィスの様子が何か変だと思って俺だけ基地に戻ってきた、まさかこんな状況になっているとはね……」
「そうか……分かった。気をつけろ、今お前が戦っている例の新型だ」
「了解」
赤城はコクピットを開き、機体から降りる。
その間にも紳の乗る白義と武蔵の乗るリバインが激しい戦いを繰り広げていた。
互いの機体のLRSが激しくぶつかりあい火花を散らす。白義の素早い動きに、冷静に対応していく武蔵のリバインに、紳はふと一人の男が脳裏に過った。
「この動き、東軍最強と言われる武蔵という男か?……面白い」
武蔵もまた今まで戦ったことのない機体に戸惑いを見せつつ、自分と渡り合えている相手に興味が沸いていた。
「これがBNの新型、相当出来る」
武蔵は戦いながらも白銀の機体のデータを分析、解析している。
出力、素早さ、敏捷性、反応速度、全てがリバインの性能を大きく上回っている。
いや、機体の性能だけではない。あの白銀の機体に乗っているパイロットの力も影響しているのだろう。
「厄介な相手だからこそ、ここで終わらせてもらうよ」
互いの機体がLRSを構え、跳びかかろうとした時。
武蔵の乗る機体の背後から数機のギフツが姿を見せる。
ギフツは機関銃を構え白義に一斉射撃を開始する。
すると白義は銃弾に当たる前に旋回し、風のように素早い動きで颯爽と東部軍事基地を後にした。
「伊達中尉! 大丈夫ですか!?」
「良くあの機体相手に互角で戦えたな、武蔵」
武蔵のコクピットのモニターに由梨音と赤城の姿が映し出される。
「援軍は由梨音と赤城少佐か、助かったよ……」
正直、もしNFの援軍が来ていなかったら武蔵は自分がどうなっていたか分からなかった。
あのまま白義とリバインが戦っていれば機体の性能が上である白義が勝っていたかもしれない。
武蔵は皆に助けられた事に感謝すると、壊滅状態である基地の状況を確認する為に機体から降り、基地へと入っていった。
その後、武蔵とは別行動で基地へと入っていった赤城と由梨音だったが、司令室に入り目の前の広がる光景に言葉を失った。
そこには無残に横たわる兵士達の死体が散乱しており、既に駆けつけた兵士達が死体を運び出していたのだ。
その中には司令官等の位の高い軍人までもが死んでいる。
「BNは司令室すら占領していたのか」
「赤城少佐、基地内で爆発したギフツ及びリバインのコクピットに爆発物らしき物を確認したそうですよ」
由梨音が今格納庫に残っている機体の数を書いている書類、そして死亡者の人数が書かれた書類を赤城に渡す。
一枚の書類を見ていると、もう一枚の書類は横にいた武蔵に取られてしまう。
「死者が五十名以上、あんな短時間にそれだけの人数を殺されたのか……」
「武蔵中尉? 貴方は火災の消火に当たっていたのでは」
「火災は全て消した、それより……」
兵士が司令室に散乱している死体を一体ずつ担架で運び出していく。
死体には何発もの銃弾が撃ち困れており、服は赤黒い血で染まっていた。
「ねえ赤城。BNは急に、何故この基地を狙ってきたのか。余りにも突然過ぎだと思うだけど、どうしてだと思う?」
赤城は小さく溜め息を吐き司令室を出ようとする。
「わからん。だが、今日の出来事は──」
「今日の出来事は、まだ始まりに過ぎないと思います」
司令室の入り口から青年の声が聞こえてくる。
その声に武蔵と由梨音が振り向き、赤城は顔を上げた。
「アステル少尉!?」」
司令室の入り口に立っている青年、それは紛れもなくカイト・アステルの姿だった。
「赤城少佐、伊達中尉、由梨音、皆お久しぶりです」
「アステル、お前、まさか記憶が……」
「はい、全て思い出しました」
正式名MFE-リバイン(New Face製)
全長-18m 機体色-青 動力-光学電子磁鉱石
階級が中尉以上の兵士が搭乗可能のNFの最新型の機体。
特徴:左手には盾を装備、背中に2本のLRSが備え付けられている。