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第49話 疑惑、幻

───壁に掛けられた時計の針は7を指している、それを確認した後赤髪の女性は自分の部屋から出て行くとある部屋へと向かった。

朝日に照らされた廊下の壁は所々光りを反射している、そのせいなのか朝方だというのにやけに暑く感じる。

夏だと言うのに黒い長袖の軍服に、黒い長ズボン、見ている方が暑くなりそうな格好で女性は歩いていた。

そして部屋の前に辿りつくと、女性は頭を左右に小さく振った後に足を一歩前に踏み出した。

「入るぞ」

扉は自動的に開き部屋の中に入っていく、廊下と同様部屋の中も朝日に照らされ、白い壁がより一層白く見える。

「あら、赤ちゃん。こんな朝早くどうしたの?」

その部屋の奥の椅子に座っている女性はカップに注がれている紅茶を飲みながら体ごと後ろに振り向く。

すると女性の掛けている眼鏡が朝日に反射し、赤髪の女性は少し目を細くする。

「いい加減その呼び方は止めろ、お前に色々と話しがあって来たんだ。それと、彼女の容態はどうなんだ」

この部屋とは別の奥の部屋、その部屋に赤城が視線を向けると、紅茶を飲んでいた女性が立ち上がった。

「あの子は心配いらないわよ、傷も浅いし内臓も脳も異常はないからね、直に目を覚ますはずよ」

赤城は部屋の中央に置かれているソファに座ると立ち上がった女性は別のカップに紅茶を注ぎ、そのカップを赤城に手渡す。

「紅茶は余り好きじゃない、コーヒーで頼む」

赤城にそう言われた女性は後ろに振り返ると、手に持っていたカップを机の上に置き、コーヒーを作りに隣の部屋に向かった。

「そう、コーヒーね。お砂糖幾ついるの?3個?4個?ミルクは……」

「ブラックでいい、それと私を子供扱いするな」

「別に子供扱いなんてしてないわよ、はいこれ」

カップにはコーヒーが注がれ僅かに湯気が見える。

そのカップを受け取った赤城だったが、それを見ていた女性はからかう様に口を開いた。

「赤ちゃん、ブラックって苦いのよ。飲める?」

「いい加減にしろ……それより何故お前はあの女性を匿うのか。まだ話しを聞いていなかったな」

赤城が右を向きまた奥の部屋に視線を向けると、神楽が赤城の右隣に座り奥の部屋が見えなくなる。

「私の納得のいくような説明をしてくれよ」

「んー、人質って事でいいんじゃない?」

「説明になっていない、それに人質なら……」

赤城の脳裏に昨日の出来事が過ぎる、それを踏まえた上で赤城は止めていた口を開いた。

「レンを取り戻す為にあの子を使う気か」

取り戻す為。昨日作戦の終えた赤城が一人自室に戻ってきた時、携帯電話のメールに一つだけメッセージが届いていた。

見ると、そこにはレンから身の安全と、現在の状況を伝えるメールだった。

そのメールは赤城だけでなく、神楽の携帯電話にもメールが送信されていたのだ。

「っそ、赤ちゃんなのに説明しなくてもわかってくれるなんて驚いちゃった」

赤城の為に注いでいた紅茶の入ったカップを手に取ると、受け皿を持ちながらそっとカップを口に付ける。

余裕綽々たる態度を取る神楽だが、赤城はレンの事で頭が一杯であり、目の前に置かれたコーヒーにも目をくれなかった。

「神楽、奴等の目的がわからないんだぞ。何故レンを生かしているのかすらも、何かこちらの情報を探る為かもしれない。そうなれば例えあの子を人質として出したとしても、レンが無事返って来るかどうか……」

ティーカップの受け皿が机の上に置かれる、その音は耳に届いても悪くない、気品に溢れた音。

しかし、そのカップを置いた神楽の口からは、そんな音とはかけ離れた言葉を口に出した。

「そしたら、人質と捕まえてる人達、皆殺せばいいだけの話しでしょ」

そう言うとまたカップを手に取り、紅茶を悠々たる面持ち啜っていた。

神楽の言葉を聞いた赤城は正面を向くと、目の前に置かれているコーヒーカップを手に取った。

「……場合によるだろ、彼等が何故レンを助けたのか。その理由で答えが変わってくる。だがもしレンの体に傷の一つでもあれば。私がBNの兵士供を刀の錆にしてやる」

神楽に負けず劣らず恐ろしい事を赤城は言うと、目の前に置かれているコーヒーカップを手に取る。

ブラック独特の香りを楽しんだ後、コーヒーを口に含みまた更に香りと味を楽しむ。

「しかし……苦いな、このコーヒー」

今まで飲んだコーヒーとは違い、口に入れてから飲み込むまで、コーヒー独特の苦さがじんわりと口に広がっていく。

「だから言ったでしょ?それは眠気を吹き飛ばす為に私が自分で作ったオリジナルなんだから、苦くて当然よ」

「そうか、でも味と風味は悪くない。神楽にして良いコーヒーを作ったな」

「あらびっくり、褒められるなんて思ってもいなかったわ」

驚いた顔をしている神楽を余所に赤城はソファから立ち上がると、奥の部屋へと足を進めた。

部屋に入ると、小さな窓が一つと、ベッドと椅子が一つしか置かれていない素っ気無い部屋だった。

そのベッドで寝ていたのは紫色の髪の女性だった、頭に包帯を巻かれた彼女は落ち着いた様子でベッドの上で眠っている。

それを見て安心したのか、赤城が神楽のいる部屋に戻ろうとした時。今まで眠っていた女性がふと口を開いた。

「待って……」

女性の声に赤城が振り向くと、無理やり体を起こし赤城に手を伸ばしている彼女の姿が目に入った。

「気が付いたようだな……神楽、彼女が目を覚ましたぞ」

赤城に呼ばれて神楽も彼女のいる部屋に向かうと、少し驚いた様子で彼女を見ていた。

「赤ちゃん、無理やり起こしたの?」

驚いたままの顔で横を向く神楽だったが、赤城は横目で神楽を睨んでいる。

「黙れ、それより彼女に色々と説明しなくていいのか?」

「そうね、まずは世間話に花を咲かせようかしら」

「それならお前に任せた、私は戻る」

そう神楽に言った後赤城は一人リビングに戻り、あの苦いコーヒーを味わう。

部屋に残された神楽はベッドの横に置かれてある椅子に座ると、体を起こそうとする女性の両肩を掴みそっとベッドに寝かせた。

ベッドに寝ている女性は混乱もせず、目の前の現実と今の自分の立場を冷静に考えている。

「私は……」

「生きてるわよ、機体の腹部を刺されたとき上手い具合に爆発したの、だから操縦室がほぼ無傷の状態。不思議よねぇ、まるで脱出装置でも付いてたみたい。その後貴方はNFに回収されたの。でもそれを知っているのは数人程度、貴方の存在はまだ軍に報告してないのよ」

「どうして、ですか……」

女性が不思議がるのもおかしくない、BNとNFは敵、もし彼女が他のNF兵士に見つけられていれば殺されていただろう。

「色々と理由があるのよ、あ、そうだわ。名前聞かせてくれない?私は神楽、貴方はなんて名前なのかしら」

「私の名前……エリル、エリル・ミスレイアって言います……」

「そう、エリル。良い名前ね、そうだ、今紅茶持ってくるからちょっと待っててね」

神楽は座っていた椅子から腰を上げると長い髪を靡かせながら部屋を出て行く。

そして新品のカップに作りたての紅茶を注ぎ、エリルの寝ている部屋にまでカップを持っていく。

「はい、零さないように気をつけてね」

エリルは壁に持たれながら体を少しだけ起こすと渡されたカップを両手で持ち、そっと口に付けた。

美味しい、一口飲むだけで香りが口いっぱいに広がり暖かさが保たれる。

ふと横の椅子に座っている神楽を見ると、紅茶を飲むエリルを見ながらニコニコと笑みを見せている。

気品に溢れ優雅で優しい彼女に、エリルの中にある不安が少しずつ消えていくのが自分でもわかった。

「あの、どうしてこんなに親切にしてくれるんですか……?」

「ん?親切にされるのは嫌?」

からかうような神楽の言葉にエリルは少し戸惑いながら答えた。

「い、いや。そういう訳じゃないですけど……」

その時、ふと脳裏に過ぎる仲間達の姿。

BNはどうなったのか、NFやSVとの争いで、今のBNはどうなったのか。

「すいません、BNは……どうなりましたか……」

「負けたわよ、それも全滅に近い状態でね」

「そんなっ───」

「それでも全滅はしてないのよ?あの基地の地下には脱出用の通路があったの、そこから兵士達は逃げたと思われるけどね」

「風霧総司令官や、戦地で戦っていた兵士達も。生き残っている可能性がある……って事ですよね」

それを聞いてもエリルの心に余裕など生まれなかった。

自分が撃墜された後、NFに拾われたのであれば恐らくBNは不利な状況だったに違いないとエリルは思っていた。

羅威や彩野、皆は無事脱出してくれたのか、それとも……。

「そういう事になるわね、ねぇ、貴方無花果のパイロットでしょ?」

神楽の突然の質問にエリルは咄嗟に頷いてしまう。

だが頷いた時、自分が乗っていた無花果は今どうなのかが無性に知りたくなった。

「あ、あの!無花果はどうなったんですか!?」

「残念だけど、あの機体はもう無いわよ」

その言葉を聞いた途端、エリルの顔から瞬く間に元気が消えていくのがわかった。

自分の愛機を失った、それだけでエリルにとっては辛い事だった。

「そんなっ……私の、無花果が……え、あ、あの。所で、どうして機体の名前を知ってるんですか?」

「それはあの子が初めて開発した機体だったから、名前ぐらい教えてもらってるわよ」

エリルの質問にあっさり答えた神楽だったが、エリルには引っかかる点があった。

あの子、彼女が言うあの子とは、自分のよく知っている人ではないか、と。

「あの子?あの子って、もしかして……」

「ラース・グレイシム、無花果開発での第一人者よ。知ってるでしょ?」

ラースの名前を聞いてエリルの表情が一変する。

どうしてNFの人がラースの名前を知っているのか、もしやラースはNFのスパイなのか、悪い予感が頭を過ぎるが、そうではなかった。

「ど、どうして貴方がラースを知ってるんですか?ラースはBNの……」

「彼、昔はNFにいたのよ。その時一緒にDシリーズについて色々な研究、開発してたの」

「そうなんですか……ラースがNFの人だったなんて、知らなかった……」

「あの子にとってはNFもBNも関係ないけどね、ただ自分の研究が出来ればそれで良いのよ」

神楽はそう言ってゆっくり立ち上がると、頭を下げてエリルと顔を近づける。

突然の事にエリルもただただ神楽の顔を見つめるしかない。

「それにしても、あのラースがこんな綺麗な子をね……ふふっ」

「えっ?」

小さな笑みを見せる神楽、何故笑っているのかエリルにはわからなかった。

「さてと、今度は赤ちゃんとお喋りすると良いわよ。私呼んで来るから」

「赤ちゃん?」

「ええ、そうよ。それと赤ちゃんには感謝しといた方がいいわよ。貴方を生かしたのは彼女なんだから」

そう言って小さな笑みを見せながら部屋を出て行く神楽。

少し話し声が聞こえた後、今度は神楽ではなく、赤城が部屋の中へ入って来る。

赤い髪を束ね、黒い軍服に身を包んだ女性。エリルの元に近づいていくと、先ほど神楽が座っていた椅子に腰を下ろす。

「私の名は赤城だ、お前の名は神楽から聞いた。エリルというらしいな」

「は、はい」

赤城の名を聞いたエリルは先ほど神楽の言っていた事が理解できた。

赤ちゃんと言われる理由、しかし神楽だからこそ言えるのであろう。

見るからに強そうな彼女に、そんな事普通の人なら口が裂けても言えないはずだ。

「体は痛むか?」

「あ、いえ、大丈夫です……あの、助けていただきありがとうございます」

「助けた……か、お前の機体を破壊した私に、礼の言葉等いらん」

「えっ、それじゃあの赤いリバインに乗ってたのは……」

「ああ、私だ」

今エリルの目の前にいるのが自分の機体を破壊した兵士、だとすれば何故助けたのかがわからない。

「そんな……それじゃあ、どうして私を助けたんですか?」

「神楽に頼まれてお前をここまで運んだ」

「違います、何故あの時無花果の胸部ではなく、どうして腹部を刺したんですか。あの時の貴方なら確実に私を殺せたはずです……!」

声に力が入るのも無理は無い、敵に情けを掛けられた事にエリルは不満に感じていた。

「助けてもらった事には感謝しています、でも教えてください。赤城さんはどうしてあの時私を───」

「私は人殺しの為に戦場に出ているのではない、それだけだ」

その赤城の言葉更にエリルを戸惑わせる、それなら何故この人は戦場に出ているのか。

エリルだって人殺しの為に戦場に出ている訳ではない、しかし戦場で人を殺さない限り争いは終わらない。

赤城の言っている事はまるで綺麗事を言うかのようで引っかかり、矛盾しているようにしかエリルには聞こえなかった。

「エリル、お前は何故戦う」

「私?私は、この世界を平和にする為に……ERRORみたいな化物から、『神』とかいう兵器からこの世界を守りたいの。だから私は戦う、世界が平和になって。この長い戦争が終わるまで。その為なら私は敵を……人を殺します。今までもそうやって思いながら、私は皆と一緒に戦ってきた……だから今更後悔なんてしてない」

こんな台詞、仲間の前でも言った事がない台詞だった。

それを何故、敵の一人である赤城に話してしまったのかエリルにはわからなかった。

もしかすれば言いたかったのかもしれない、誰かに自分の思いを聞いてほしかったのかもしれない。

エリルの言葉を聞いても赤城は座ったまま、じっとエリルを見ている。

「そうか、その迷いの無い目、嫌いじゃない。私も見習わなければならないな……」

「赤城さん、次は貴方の理由を聞かせてください、貴方の、戦う…うっ……」

起こしていたエリルの体が倒れる、両手で頭を押さえるが、頭を貫くような激痛は彼女を苦しめた。

「あぁあああっ!痛い!痛いぃ!」

「神楽!彼女の様子が変だ!すぐに来い!」

頭を抑えながら体を動かし、必死に痛みから逃れようとするエリル。

だが痛みは止む所か更にが激しくなる。動かない体を必死に動かし苦しんでいた。

エリルの苦しむ声と、赤城の呼ぶ声に気付いた神楽はすぐさまエリルの元へ駆けつける。

「急にどうしたの?」

「わからない、彼女が突然頭を抱えだして……」

「頭?脳には何も異常は無いはずよ」

しかし目の前では実際頭を両手で押さえながら痛みに苦しむエリルがいる。

「仕方ないわね、赤城、彼女の腕を押さえてて」

「ああ、わかった」

頭を抑えている両手を赤城が掴むと、それをベッドに押しつけて固定する。

神楽はさっき自分のいた部屋に戻ると一本の小さな注射を持ってこの部屋に戻ってきた。

そしてエリルの左腕を少し見た後、すぐさま注射の針を彼女の腕に突き刺す。

ゆっくりと透明な液体が注射針を伝ってエリルの血管に投与されると、

さっきまで体を大きく曲げ、声を上げて苦しんでいたエリルが次第に動かなくなっていった。

「何を打ったんだ?」

「精神安定剤、恐らくこの子の頭痛は何らかの精神的なもの」

気が付けばエリルは目蓋を閉じて寝息を立てていた、神楽は乱れたシーツを綺麗に直し、それをそっとエリルの体に掛ける。

「もう一度、この子を念入りに調べないといけないかもね。唐突に死なれても困るし」

「……レンはいつ迎えに行く、出来れば今日中に行きたいんだが」

「それは難しいわね、明日になるかもしれないわよ?」

「わかった、この子はお前に任せる。私はレンともう一度コンタクトを取ってみよう」

「そうね、そっちは任せたわよ」

赤城は神楽のいる部屋を出ると、飲みかけのコーヒーカップを手に取り一気に飲み干す。

そしてカップを机に置くと、足早に部屋から立ち去った。


───ある町の喫茶店、その喫茶店にはラースと羅威、そしてレンがテーブルの椅子に座っていた。

レンは喫茶店にある顔が隠れる程大きいメニュー表を開いて見つめている、だが意識はメニューではなく二人の会話に集中していた。

「そう、セーシュは死んだのか……」

男の一人がそう呟くと、静かにカップに注がれている紅茶を飲む。

羅威は視線を下げ、誰とも目を合わせない。

「すまない……結局俺は、誰も守れなかった……」

「君が謝る事じゃないさ、それにセーシュは風霧総司令官の無事を最後に聞いたんだろ?それならまだ救われた方じゃないか」

「だが、俺は……」

「これは戦争、敵だろうが友達だろうが戦場では簡単に死ぬ、そうだよね。

 羅威、もうこの話しは止めよう。幾ら話してもキリが無い」

羅威の顔色は悪く、全く元気が無い表情だ。それを見ていたラースが心配そうに見つめていた。

するとラースはテーブルに置かれている小さな機械のスイッチを押すと厨房の方でブザーの鳴る音が聞こえた。

その音を聞いたウエートレスはすぐにブザーの押したテーブルへ向かう。

「お客様、お決まりになりましたでしょうか」

「うん、コレとコレ、よろしく」

ラースは小さなメニューの方に書かれている料理を指差すと、ウエートレスは頷き手に持っている機械に入力する。

「レン、君はもう決めたかい?」

大きなメニュー表で顔を隠していたレンがメニュー表を机に置く。

「あの、このホットケーキでお願いします!」

「畏まりました、それでは注文の方を繰り返させていただきます───」

ウエートレスが注文を繰り返すと、ラースは小さく頷いた。それを見てウエートレスは厨房の方へと戻っていく。

「人は食べないと力も出ないし元気も出ない、食こそ人の力と言ってもいいくらいだ。羅威、君は顔色が悪い。僕が注文した料理は絶対に食べるんだよ」

「ああ、すまない……」

「さてと、料理が届く前に少し話しをしておこうかな。これからの僕達の事について」

何故今、三人はこんな市街地にいるのか。

それは簡単な事だった、ラースがバイクで地下通路を渡り地上に出てきたのがこの町だったのだ。

しかもこの町はBNの町ではなくNFの町、BNとの連絡を試みた所、明日には軍の仲間がこの町に来て救出してくれるらしい。

何せこの町は大きな町ではない、どちらかといえば大きな市街地と言った所だ。

その分この町は厳重な警戒とERROR対策用の軍も準備してある。

ちなみに羅威の乗る神威はこの市街地からそう遠くない廃墟に隠している。

ラースからの連絡を受けた羅威は機体を廃墟に隠し、一人ラースのいる市街地へと向かったのだ。

「まぁ、神威のエネルギーはもう殆ど無かったと思うし。ここに来て正解だったね、羅威。それに今日には仲間がここに来て、僕達は無事BNの元へ帰れる。数時間にも及ぶ長い道乗りをこの猛暑の中、バイクで走らなくていいって事さ」

レンをここに残し、二人でバイクに乗りこの町から離れようと思えば離れられた。

っが、この町の付近に建物と言う建物は無く、あると言えば機体を隠している廃墟ぐらいだ。

後は殆ど荒野が広がっており、この猛暑の中外に出るのは危険だとラースはわかっていた。

「あの、私もBNに連れて行かれるんですか?」

お絞りで両手を丁寧に拭いているレンは、お絞りは綺麗に畳むと机に上に置いた。

「んー、君をBNに連れて行ってどうなる。どうもならない、それなら別に君を連れて行く必要は無い」

「って事は、私を無事解放してくれるんですね!」

「うん、僕達が無事この町から脱出できたらの話しだけどね」

「つまり私は人質って事ですね、それで、あの。お礼はどうすれば……」

「お礼?」

「服を買ってくれたじゃないですか、だから、その…お礼に何をすれば……」

ラースの服装はまだ良かったが、レンと羅威はパイロットスーツを着ており、そんな格好で町を歩くと余りにも怪しすぎる。

という事でラースが羅威とレンの私服を買うとすぐに二人に着替えさせた。

「お礼ねぇ、んー……あ、そうだ。君の乗っていた機体の資料を見せてよ」

「それは無理です」

「冗談だよ、それより僕は君に聞きたい事があるんだけど。質問に答えてほしい」

「お答えできる範囲であればお話しますよ」

「うん、あの巨大Dシリーズの設計者と操縦者、誰だか知らない?」

「……わかりません、あんな機体見た事も聞いた事もありませんでしたから……」

「そう、それじゃあ。神楽って女性、知ってるかな」

「え……っと、知りません」

その名前を聞いた彼女の表情が一瞬変わったのを、ラースは見逃さなかった、

明らかに不自然な答え方、彼女はそれでやり過ごそうと思ったがラースは更に質問を繰り返した。

「神楽って女性、本当に知らない?たしか金髪の女性だったんだけど」

「金髪……ですか?見た事無いですね、私は名前を聞いた事も会った事もありません」

「んー、金髪じゃないか。たしか赤紫色の綺麗な髪の女性だったね」

「えっ?し、知りませんよ、そんな人……」

「うん、君は実にわかりやすい。人に嘘を付けないタイプだね」

「え、ええっ?」


───「お待たせいたしました、ご注文になられたお料理を持ってきました」

ウエートレスはおぼんの上に置かれている料理をテーブルに並べると、頭を下げてその場から離れる。

レンの頼んだホットケーキは焼きたての熱々。

ホットケーキの上にはホイップクリームで綺麗にデコレーションしてあり、蜂蜜がタップリ掛かっている。

蜂蜜の甘い香りが漂ってくると思いきや、甘い香りではなく何やら香辛料のような辛い香りが漂う。

羅威の目の前に置かれたのは出来立てのカレーだ、しかも色が茶色ではなく少し赤い。

そのカレーの匂いに釣られ俯いていた羅威がふと顔を上げた。

「カレーか……」

「朝から晩までカレーを食べるのが君じゃないか、遠慮せずに食べていいよ」

羅威は銀色の光沢を見せるスプーンを手に取ると、一口カレーを食べてみる。

「美味いな、朝からカレーも悪くはない」

「気に入ってもらえてよかったよ」

ラースの前にはお皿の上に数枚のサンドイッチが並べられており、それを一つ手に取ると無言で口に運ぶ。

レンはフォークとナイフを常時に使い、一口サイズにホットケーキを切って行くと笑顔で食べている。

すると、甘い匂いに釣られてきたのか、一人の小さな少女がレンの隣に立っていた。

少女は羨ましそうな目でホットケーキをじっと見つめ、口から今にもよだれが垂れそうな程に口を開けている。

それに気付いたレンはホットケーキをまた一口サイズに切ると、それをフォークに刺してそっと少女の口元に持っていく。

「はい、あーんして」

「あーん!」

レンがそう言うと少女は嬉しいのか笑みを見せながら目を瞑り、その小さな口を開けた。

その口の中にホットケーキをそっと入れると、ぱくっと口を閉じて一口サイズのホットケーキを食べる。

「美味しい?」

「うん!おいしい!」

「もう一切れ食べる?」

「たべるたべる!」

そう言うと少女はまた目を瞑って口を開け、甘くて柔らかいホットケーキを待っていた。

レンもそれが嬉しいのか、またホットケーキを綺麗に一口サイズにすると、またそれを少女の口に運ぶ。

っが、その時。少女が突然後ろに下がる、少女が口を閉じてもあの美味しいケーキの食感は何処にも無い。

「こらこら、人の物勝手に貰ったら駄目だろ」

少女の後ろには服を掴んで後ろに引っ張る男性の姿があった。

目の前にあるケーキを食べようと前に進もうとする少女だが、男性は服を掴んだまま決して放そうとしない。

「あー!ケーキたべれないよ〜!」

「ケーキなら買ってあげるから自分の席に戻るぞ、人に迷惑かけたら駄目だろ?」

「あの、私は別に迷惑ではありませんよ」

レンはそう言いながら男性の顔を見上げると、男性は驚いたような顔をしてレンの顔を見つめていた。

「なっ、おま、どうしてこんな所に!?」

驚いたような男性の声に食事をしていたラースや羅威も反応して男性の方に顔を向ける。

ラースは然程驚いた様子ではなかった。だが次の瞬間、羅威の手からスプーンが落ちた。

大きな帽子を被っている青髪の少女に、黒髪の男。その男の眼は決して忘れる事が無い、魔神の眼。

「か、甲斐斗!?何故お前がここに!」

「うおっ!BNの奴までいやがる、てかなんでお前等こんな所で飯何か喰ってんだよ!」



───合計5人が椅子に座る、あの帽子の少女は頼んでいたパフェを食べていたが、残りの俺達は飯所では無かった。

「お前等BNとNFは敵だろ、どうしてこんな所で仲良く一緒に飯食ってんだ?」

甲斐斗が不思議に思うのは当然、俺達BNとNFのこの子が一緒にいれば誰でもそう思う。

俺が甲斐斗の第一声の質問に答えようとしたが、帽子の少女の隣に座っているレン本人が答えた。

「私は今人質って事になっているんですよ」

「人質?」

自分から人質と言う人質はいないと思うが、人質という事は間違いではない。

すると俺の隣に座っているラースが徐に口をあけて会話の中へ入った。

「その事なら僕が話すよ、初めまして甲斐斗。僕はラース、隣に座っているのが羅威だよ」

「ああ、初めまして」

「待てラース、こいつに俺達の事を話しても大丈夫なのか?」

「彼は仲間の命を助けてくれた人らしいじゃないか、少しぐらい話したって構わないじゃないか。僕も色々と彼に聞きたい事があったし」

ラースは前からこの男について興味を示していた、あのERRORと混ざった機体を見てからだ。

徹夜をしながら機体の分析を行い、この男の乗る機体についての情報をかき集めていたからな。

「実は昨日、BNはNFやSVと戦ってたのさ。負けたんだけどね、それで脱出用の地下通路を通ってきてここに来たんだ。ちなみに彼女は無意識にBNの基地に来ていたらしいよ、僕達が発見してここまで連れてきた訳だけど」

「やっぱりそうか、あの艦隊はBNを狙ってたんだな。んで結果はBNの負けか。ってか、レンが無意識に基地に来てたっておかしくないか?」

甲斐斗は眉を潜めるながらテーブルに置かれたお冷を手に取り、一気に水を飲み干す。

これもまた不思議に思うの当然だ、現に俺も不思議に思っている。

「嘘と思うなら彼女本人に聞くといい」

ラースは前斜めにいるレンに視線を向けると、レンは小さく頷いて口を開いた。

「はい、私も余り憶えていないんですが。気付いていたらBNの基地にいたんです……」

「夢遊病かっての、全く……んじゃさ、俺の事は憶えてるよな?」

「はい、憶えてますよ。前に1度基地で会いましたよね、貴方ってNFの兵士じゃなかったんですか?」

レンの話しを聞いて納得がいかないのか、甲斐斗は不満そうな顔をしてレンに問いを繰り返した。

「いやいや、その前。俺と話した事も、会った事もあるよな?」

「えっ……私が貴方と話したのは1度しかないと思いますけど?」

「惚けるなよ?んじゃこれは憶えてるはずだ、ルフィスの死体を見た事あるだろ」

「ルフィスさんの?何ですかそれは、知りません……」

不満そうな顔が更に不満に変わる、腹が立っているのか甲斐斗は落ち着かない様子でレンを見つめている。

だが彼女は本当に憶えていないの様子だった、彼女は訳のわからない話しをされて戸惑っている。

しかし現に彼女は何かを隠している素振りを俺に見せていた、これは演技なのか、それとも……。

「俺は憶えてんだよ、お前が俺に銃を渡した事や、お前が死体を見て混乱したり、震えながらお兄ちゃんとか言ってた事も全部」

待て、今この男はなんて言った。レンには姉がいるが、兄はいないんじゃなかったのか?

「知りません、勝手にいい加減な話しを作らないで下さい。私は貴方と話した事は1度だけです!」

店内全体に聞こえる程の大きな声で否定したレンは、

自分の感情を必死に抑えながらテーブルに置かれているガラスコップを握り水を飲んでいく。

俺は知りたい、このレンが、俺の妹なのかどうか。根拠も無いのに何故俺はここまで心に引っかかるのかわからなかった。

顔が似ている、ただそれだけの理由。もしかして俺は玲が死んだ事を認めたくないだけじゃないのか?

「これ以上話しても無駄みたいだな、ミシェル。行くぞ」

不機嫌そうな甲斐斗は勢い良く立つと、少女の座っている椅子に向かう。

少女は多きなパフェの半分を食べ終えた所だったが、まだ食べたり無さそうな顔をしていた。

「うぅ〜……」

「んじゃ食い終わったら奥のテーブルに来てくれ、俺はそこで飲み物でも飲んでるから」

甲斐斗は少女から離れると喫茶店の一番奥の部屋のテーブルの椅子に座り、ウエートレスを呼んで何かを注文している。

甲斐斗、危険な男なのはわかるが、奴には色々と聞きたい事がある。

今ここで動かなければ奴には二度と会えないかもしれない。

「ラース、俺はちょっと奴と話してくる。ここは頼んだぞ」

「ん、そうかい。君が行かなければ僕が行こうと思ってた所さ。いってらっしゃい」

サンドイッチを食べながら右手を振るラース、レンは少女と何か話しをしているが、今は奴と話しをしよう。

俺はラース達のいたテーブルから離れると、一番奥のテーブルの椅子に座った、奴のまん前の席だ。

「俺に何かようか?今メロンソーダ飲むのに忙しいんだけど」

不貞腐れた態度、よほどレンとの会話に不満を持ったのだろう、不機嫌そうにストローを銜えてガラスコップの中のメロンソーダを吸い上げて飲んでいた。

「ああ、レンという女性についての事だが。レンは兄がいると言っていたのか?」

「兄がいるとは言ってなかったが、お兄ちゃんって、小声で言った後意識が遠のいたな。それがどうかしたのか?」

「いや、そうか……わかった、所でお前が何者なのか、教えてくれないか?」

「普通それを1番最初に聞くだろ、どーせ言ったって信じてもらえないと思うけど、言っとくか」

「俺は別世界の人間であり、この世界の過去から来た男だ。教えたぞ、理解できたか?」

甲斐斗の口から出たのは意外な言葉だった、別世界という時点で俺の予想は全て砕かれたのだからな。

しかしコイツの言っている事が嘘に聞こえない、人間とは違う、別の気配、力を感じる。

あの時もそうだ、彩野とアリスを助けてくれた時。

コイツは得体の知れない機体に乗って現れた、この男にもまた謎が多過ぎる。

「理解に苦しむな。質問を変える、お前の目的は何だ、それにお前は俺たちの敵なのか?」

「俺の目的は沢山あるんだよ、まず『神』とかいう兵器をスクラップにして。ERRORとかを暇潰しにぶっ潰して、過去に戻る事だ。ちなみに俺はお前等の敵じゃないが、味方でもない。俺は自分の思うがままに行動してるからな。時には敵、時には味方。みたいな、どーよ?」

「それじゃあ、今は敵なのか?味方なのか?」

「味方……にしといてやるよ、俺も敵はあんま作りたくないからな」

どうやらBNとの敵対心は今の所無いらしい、だがこの男の噂はNF,BN,SVでは知れ渡っている。

謎の機体を扱う男、その機体は『M,D』と言われ恐れられている事も。

「所でさ、お前は機体の整備。メンテナンスとか出来ないの?」

「機体の整備?それなら俺より腕の立つ奴がいる。あのラースという男だ、アイツはDシリーズの事なら何でも知っているし、メンテナンスも軽々とやってのける」

「まじかっ!?実は機体の調子悪くてここら辺に来るのにもすごい時間かかったんだよ。だからさ、俺の機体をちょっと見てくれないか頼んでくれないか?」

「わかった、話してみるよ」

俺はそう言ってテーブルから離れると、サンドイッチを食べ終え携帯電話を見ているラースの元へと向かった。

「ラース、甲斐斗がお前に機体を見てもらいたいと言ってるんだが……」

「本当?やったね、僕からお願いしようと思ってた事を彼がしてくれるなんて。でも機体の整備だと軍事基地でやった方がいいと思うから、良ければ彼に来てもらえないかな、BNの基地に」

「わかった、話しておこう」

「それと、メールが来てたよ。NFの兵士から」

「メール?どんな内容だ」

「取引をしたいそうだよ、実はNFもBNの兵士を捕まえているらしい。その捕虜と交換って事らしいけど」

「捕虜?名前は?」

「それは書かれてない、どうする、羅威。奴等は僕達に脅しみたいな事をしてきているけど」

たしかにラースの言う通りだ。BNの捕虜がいるとわかれば俺達も黙って見過ごす訳にはいかない。

その考えをするのも、恐らくNFの奴等は知っている。つまりレンの無事を強く願っているという事だ。

もしレンを殺せば、同様に捕虜を殺すつもりだろう。

だが奴等にはBNの捕虜など最初からいない可能性もある、単なる時間稼ぎという事も考えられるな。

しかし、俺達はレンに危害を加えようとは思っていない、今日中に助けが来れば彼女は解放しようと思っている。

という事は、上手くいけばBNの捕虜をこちらに連れ戻せるという事になる。

「ラース、他には何か詳しく書かれてないのか?」

「時間や場所は不明の用だけど、僕達がこの町にいる事は既に調べられているかもね」

「ん?メールの電波を追って来るって事か?手が込んでいるな、それ程彼女が大事という事か」

「そういう事、それでさ、どうする?取引に応じる?」

「……そうだな、危険かもしれないが取引に応じてみたい。元々彼女は解放するつもりだったしな」

「了解、それじゃあ僕が上手くメールを返しておくよ。返信が来たらまた知らせるね」

「ああ、頼む」

ラースは俺が言わなくてもテキパキと物事をこなしてくれるから助かる。

出会ってから余りラースと喋った事がなかったが、話してみると結構頼りになる男だ。

後は甲斐斗の性格を知らないとな、まぁ見ても話してもわかりやすい性格だったが……。

俺が甲斐斗の席に戻ると、メロンソーダを飲み終えた甲斐斗はコップを逆さまにして大きな氷を口に頬張っていた。

その氷を音をたてながら噛み砕いているが、何をやっているんだこいつは……。

「もほ、ほうはっは?」

何を言っているのかわからない。

とりあえずラースが機体の整備を承諾した事について話しておこう。

「ラースが機体の整備をしても良いと言っている。しかしこの場では出来ない、BNの基地に来てもらう事になるが、それでもいいか?」

また大きく氷の噛み砕く音が聞こえる。

「ああ、いいぜ。でも俺が行って大丈夫なのか?二つの意味で」

二つの意味、恐らく甲斐斗は自分が危険な存在だというのを自覚している。

そんな男を勝手に基地に連れて行っていいのか。

という意味と、甲斐斗がBNの基地に行って身の安全を保障してくれるのか。この二つだろう。

「大丈夫だ、安心してくれ」

「ほー、お前両方の意味で、って意味わかったのか。やるじゃん」

その時、後ろから帽子を被ったあの少女が俺を抜いて甲斐斗の前へと走っていく。

「かいと、ぜんぶたべたよー」

「美味しかっただろ?んじゃホテルにでも泊まってゆっくり昼寝でもするか」

「うん!」

そういうと甲斐斗は立ち上がり、レジの方へと歩いていく。

「待ってくれ、俺達の仲間は今日来るんだ。何かお前と連絡する手段が無いと……」

「俺ならあのホテルで休んでるから、準備出来たら来てくれ」

甲斐斗が指差す方向には、2階建ての小さなホテルが見える。

こじんまりしているようにも見えるが、見た目は綺麗なホテルだ。って、あのホテルはたしか……。

俺が視線を戻すと、そこに甲斐斗の姿は無かった。

それに気付いたと同時に喫茶店の出口の扉が開き、小さな鈴の音が聞こえてきた。

奴の向かうホテルは、俺達が昨日から泊まっているホテルじゃないか。

「羅威、僕達もホテルに戻って休もう。君はまだ疲れが取れていないはずだ」

その声に反応して横を向くと、財布にカードを入れ終わり、その財布を上着の内ポケットにいれているラースが立っていた。

隣にはレンもいる、しかし喫茶店に入ってきた時より表情が暗く、不機嫌そうな顔をしている。

「あの人って一体何なんですか、変な話しばっかしてきて……本当にもう!」

独り言をブツブツと言いながら喫茶店を出て行くレン、それに続いてラースも店から出て行く。

俺も喫茶店から出ようと扉の前に立った時、ふと前を見ると、人ごみに紛れてある男の顔が見えた。

俺がよく知っている人、命の助けてもらった人、姿に顔。懐かしいが、決して忘れた事の無い人物。

「愁?」

呟いた時、既に愁の姿は人ごみに紛れて消えていた。

ラースの言っていた通り、俺は疲れているのだろうか……愁がこんな所にいるはずがない。

信号が変わらない内に俺は横断歩道を渡り、足早に泊まっているホテルへと戻った。

正式名不明

全長-20m 機体色-黒 動力-不明

甲斐斗の愛用機、『MD』(Malevolent Deity)と呼ばれ皆から恐れられているが、甲斐斗自体まだ名前を決めていない。

元の機体とは程遠い外見をしており、全身分厚い黒色の装甲で覆われている。

また機体はERRORの力で自動的に修復するようになっている、出力、突破力は並外れた機体。

しかし重火器や銃器の武装は一切しておらず、剣一本で戦闘を行なっている。


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