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冬は終わるから
冬の終わりというのがいつか来ると、そう信じて。
寒いね、と寂しそうな顔で呟きながらも家に帰るとほっと一息をつく。コートを脱ぎ、手袋を取り、寒さに強ばった顔を温い水で洗う。エアコンから吐き出される温風がありがたい。
朝、地面を見ると土を押し上げる霜柱がきらきら光る。私はその眩しさにふと視線を反らすのだ。
冬がそこにいるということを実感し、その眩しさに目を反らしたくなるからだ。一つの季節がそこにある。それを嫌でも認めることになる。
それでも時間はほんの少しずつ前へ。前へ。前へ進み。
ポケットにいれた手を表に出して。そっと寒さを振り切る日というものが......来るということ。




