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ほの暗い淵のよう
重ねただけ深みが出るとは本当だろうか。いつか来た道にまた舞い戻っているような、そんな目の前が暗くなるような瞬間がフラッシュバックする。
嫌だな。何が? 嫌は嫌さ。何がってわけじゃない、今の気持ち、今の自分、今の環境が嫌さ。
分かっている。単なるわがままだって。もう子供じゃないんだ、いやいやをするのは止めて。目の前の問題に取り組めと叱咤して。
頼りない手を動かすことくらいは出来るだろう、生きているのだから。
考えている内は、まだやれるってことだ。予想どおりに進まない物事にいらいらするのは止めて、冷静にならなくてはいけないと言い聞かせ。
目を閉じる。瞼の内の闇にひっそりと息づくのは何だろう。自嘲? 逆恨み? 止めておこう、悲しくなるだけだから。
好きな飲み物でも買ってみたら、少しは楽になるんじゃかいか、ほら、深刻ぶるなと自分の背中を蹴っ飛ばす。




