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炎散る空
花火のことを英語でfire workと呼ぶと知った子供の頃、散文的だなと感じた。
火の作品だって。直訳過ぎる。
逆にflower fireと呼んであげて英語圏の人間に教えてあげたいよ。
花が咲いて散るように空中で一瞬の美を閃かせるあれはそう呼んで初めて真の意味があると思うんだ。
全ての努力を爆発の瞬間にまで凝縮し、魅了し、散っていく。
日本人的じゃないか、刹那の美。
桜に代表される散り際の美学が花火にだって適用されるのさ。
だからどんなに人混みがあっても、帰りが辛くても花火大会に人は集まるんだろうね。
・・・人生の全ての時間を燃焼させて一瞬にかけられることの出来る存在というものはプロのアスリートだと思うのだけど。
ああ、だから彼ら彼女らは美しいんだ。後のことを考えずに競技に打ち込む彼等の花火大会は情熱が咲かせる炎の花の競演だ。
目に焼き付けよう。
夜空に散る花火を凄艶なパフォーマンスを見せてくれる君達に重ねて。