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三題噺もどき5

鞄の中へ

作者: 狐彪
掲載日:2026/09/17

三題噺もどき―きゅうひゃくさんじゅうなな。

 




 黒板の前では、教師が授業をしている。

 すらすらとチョークで英文を書きながら、詳しい説明。

 ……何で英語ってこんなにわかりづらい。

「……」

 正直もう、英語に関してはほぼ諦めている。

 これも数学と同じように、理解度によってクラスが分けられている。

 もちろん、私は数学と同じように英語も苦手なので、一番下のクラス。

 なにも理解できない。単語はなんとなく分かるけど。

「……」

 黒板の内容をノートに書き写して、教科書を眺めて。

 教師が話していることをメモ程度に書いておいて……やっていることは他の授業と同じだし、むしろそれ以上に理解はしようとしているんだけど。

 どーにも、もう中学の頃から嫌いだからどうにも。

「……、」

 ノートと黒板を見比べて何か違和感を覚えれば、綴りが違うし。

 どうしたらこんなミスをするのかと自分ででも思う。

 黒板写すのも一苦労すぎる……ほんとに英語って嫌い。

「……」

 そもそも、英語の教師が嫌いだからっていうのも、絶対ある。

 数学の教師も嫌いだし。私がその教科を嫌いになったのは、教師に責任があると思う。他責思考もいいところだな。

「……」

 とりあえず、文句を頭の中で言っていても何も変わらないので。

 消しゴムを手に取り、綴りを書き換えるためにノートの上の文字を消す。

 もうその間に次に進もうとしているけれど……あの人ホントにこちらの理解度を理解しているんだろうか。

「……」

 そんな、たんたんと進められたところで、分かるものも分からない。

 じっくりとなんて言っている時期ではないのは分かるが、もう少しゆっくりしてほしいものだ……。まぁ、あの教師は、どっちかと言うと教えたかったのは頭のいい子達だろうからな。そんなのがひしひしと伝わるくらい、こちらを下に見つつ授業をしているのが分かる。

「……」

 一部、お気に入りの生徒はいるようだけど。

 今日はその生徒が休みだからか、尚のこと。

 何のための授業だよ。これだから英語は嫌いなんだ。

「……」

 止まらぬ文句をぶつぶつと、心の中で唱え、描き直そうとシャーペンを持ちなおす。

 消しゴムを持ったままと思ったが、邪魔なのでそこらに置いた。

 ―つもりだったのだけど。

「……、」

 何を見誤ったが、机のギリギリ端の方に置いてしまい。

 そのまま、下へと落ちて行った。

 その先にあるのは、いつも横にかけている小さな鞄。

「……」

 綺麗にそこに入っていったらしい。

 床を見てみるが、消しゴムらしき影は全くない。

 椅子の下かもしれないが、生憎スカートで隠れるので見えはしない。

 でもまぁ、落ちたような音はしなかったから鞄の中だろう。

「……」

 鞄の中には、小腹を満たすために食べるお菓子が入っている。

 朝食をいくら食べても、2時間目くらいにはお腹がすくのだから不思議だよな。

 まぁ、確かにあまり量は食べていないが、それでも昼食までは保つだろうと思って食べてきているのに。毎朝、吐きそうな思いをしながら。

「……」

 昼休みに弁当を食べるときに持っていく分も入っている。

 今日は、ましゅまろと、フルーツ味の飴、チョコレートをすこし。

 ましゅまろは、あの子が好きだとっていたやつを、たまたま見つけたので買ってきた。

 私はあまり食べないから、あの子にあげるつもりではある。

「……」

 うん。

 まぁ、そんなことは置いておいて。

 さっさと消しゴムを取って授業に集中し直さないと。

「……」

 なんとなく、黒板を見つつ、授業の流れを見つつ。

 右手だけを鞄の中に突っ込んで消しゴムを探し出す。

 袋の端が皮膚に当たり、地味に痛いが、消しゴムがないと困る。

 なんやかんや書き間違えた……また。

「……、」

 こつ、と硬いものがあたり、ゴムの感触だという事を確認する。

 指先でつまみ上げ、落とさないようにしつつ、鞄の中から、無事消しゴムを回収する。

 授業中に何をしているんだろうか。

「……」

 退屈な英語の授業も、もう終わりを迎える。

 この後は昼休みだ。

 ……さっさと終わらないかなぁ。











 お題:ましゅまろ・スカート・消しゴム

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