笑顔
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「━━━━さい!━━━━━てください!━━起きてください!!」
…………全く、どの時代でもどこの世界でも、起きる時間というのは制限されるらしい。
いくら強い勇者だって睡眠時間は人並みに必要なのだ、、、僕は、体制はそのまま、目だけを開けて辺りを見渡す。
少女が僕を見下ろしているのがわかった。そうだったそうだった。ここは「ちきゅう」だったな。
「全く、もうお昼すぎになりますよ!いつまで寝てるんですか。」
「もうそんな時間か、」
体の中に魔力が不足すると体が思ったように動かなくなったり、なかなか起きれなくなったりと、不便なことが色々とある。あと寝不足もあるかな。
………決して、僕が怠惰だという訳では無いからな
少女は、少し心配そうな顔をしながら僕の顔を覗き込んでいる。
「一体どんな夢見てたんですか?少し、というかかなり苦しそうにしてましたけど、」
そうか、苦しそうにしてたんだな、、、僕は。
「…………あー、まあ、昔のともだ━━━━━━━仲間の夢だよ。」
「へー、今まで聞いた話だと、かなり一人で孤独な話だったけど、お仲間もいたんですね。どんな人達だったんですか?」
……どんな人達ねえ、僕にあの二人について語らせたら、三日は必要かもな、というか必要だな。
「僕があの世界に行って5年がたったあたりかな、いきなり魔王退治に出かけることになって、その時一緒に旅することになったんだ。同い年の、2人」
おもむろに、少女が湯呑みを2つ目の前に差し出してくる。
「長い話になりそうなので、」
………はいはいわかってるよ、、、お湯くらい沸かしてやるさ、ああ、お茶だったな。
両手に湯呑みを持ち、片手間に質問をする。
「というか、僕の長話に付き合っている暇なんであるのか?君くらいの年齢だったら、学校とか行ってるんじゃないのか?」
まあそもそも、この家と周りの景色を見るに、そんな余裕は無いかもしれないが、、
「一体いつの時代の話をしてるんですか?今は人が学校に通うことができるような時代じゃないですよ。」
「…………ここって日本であってるよね」
少女は、少し考えたあと、いきなり合点がいったような顔をした。
「あーそうかそうか!お兄さんは別の世界にいたから、あの事件を知らないのか、」
「事件?」
「そうです、事件事件、っていうか災害ですかね、7、8年前に、いきなりやってきたんですよ。」
…………やってきた?
「自分のことを神?って名乗る人が全世界に同時に現れて……えっと確か、なんて言ってたんだっけ、、、確か、【己が種族の価値を示せ。人間は破滅の怪物に滅ぼされるだろう。生き残りたくば王を殺せ。これは試練である。】って」
王、か。まあ、人間からしたらさながら魔王だな。しかし王を殺せか、なんだか懐かしい響きだな。
「それの次の日だったかな、空に沢山の怪物が青空が見えなくなるくらい現れて、地上に降りてきたかと思うと人を襲いだして、それから8年でこんなことになっちゃった。って感じかな」
怪物、魔族みたいなもんか。
「まあそれでね、お母さんは殺されちゃって、お父さんはつい最近私を置いて逃げちゃった。こんな世界でもお金は大切なんだよね、借金してたんだって。私は多分、足でまといだったのかな。」
8年間、本当に大変だったのだろう。自分の話をしている少女の表情からはなんの感情も読み取れなかった。きっと、色々なことがありすぎたのだ。もう何も感じなくなるくらいに。
僕はこの少女に強い親近感を覚えた。なんて可哀想なんだろう。
うん。この子は早めに殺してあげよう。
痛みも、恐怖も感じるまもなく一瞬で。だって、子供にはなんの罪もないのだから……
「だから借金を取りに来た人たちが家に来た時、お兄さんに助けてもらって、本当に助かりました。まるで正義の味方みたい。って思ってたら、ほんとに勇者でしたね。」
初めて会った時、少女に暴力を奮っていたのは借金取りだったのか、それにしても、借金取りとはいえ、目の前で人を殴り殺したというのに、勇者、とはな。
「そういえばもう一つ、ちょうど1週間くらい前だったかな、また神様が現れたんですよ。それでただ一言、【王はこの世界に降りた】って、そもそも、王って一体何なんでしょうか。」
「…………まあなんにせよ、良くないものなのは確かだな。」
少女はしばらく下を向いてから、ぎこちない笑顔をこちらへ向けた。
「まあ、そうですよね、、、、話がそれましたね!確か、お兄さんのお仲間さんの話でしたよね。」
この感じで話を切り替えれるのはすごいな、
「そうだったね、」
「聞かせてくださいよ、私、お兄さんのお話好きなんです。」
出来上がったお湯、お茶を口にしながら、少女は僕の方をじっと見つめる。もう完全に話を聞く体制に入っていた。自分も何とか気持ちを切り替える事にした。
「…………何から話そうか、、、えーと、その2人は男の子と女の子でね、男の子の方はアクナっていって、すごく良い奴なんだよ。優しくて、強くて、」
僕は、小さく笑いながら話し続けた
「僕たちのお兄ちゃんみたいな感じかな。そしてもう1人、イサノっていう女の子で、初めて会った時は2歳くらい年下かと思ったんだけど、まさか、同い年だとは思わなかったな。イサノは、、、まあ、一言で言うと小動物かな。」
例のごとく、少女は楽しそうに話を聞いている。やっぱり、いい笑顔だ。




