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同じこと

 イサノの様子を伺っていてわかったのは、彼女は僕らのことを大切にしているということだ。


 会話こそなくなってしまったが、道のないもりの中を歩いて疲れている時、さりげなく体力を回復させる魔法をかけてくれていたり、戦闘が終わるとすぐに駆け寄ってきて、怪我は無いかと聞いてくる。


 ない、と言ったら、「そう、」とだけ言ってすぐにどこかへ行ってしまうのだが、、


 とにかく、彼女の根の部分は変わっていないようだ。


 後は信じてもらうだけ、いや、知ってもらうだけだ。

 僕らは何があってもイサノの味方だと言うことを。


 どうすれば信じて貰えるだろうか、


 ………というか、僕はどうやって2人を信じているのだろうか。


 ん?


 いやそもそも、



「僕の方が信じれていないんじゃないか?」


 イサノことをちゃんと見てないと、彼女が僕たちのことを大切にしている事に気がつけなかった。

 何があってもお互いの事を信じているなんて豪語していたくせに、実際見るまで信じきれていたかったのだ。

 しかもあろうことか、自分はイサノに嫌われたのではないかと疑いをかけたりもした。


 彼女も僕も、結局お互いを信じていなかった。


 そうか、


 僕とイサノは同じだったんだ。


 仲間を何よりも大切に思っているくせに、信じる事ができない。歩み寄りたいのに、それが怖い。


 でも僕が少しイサノと違ったのは、イサノが普段の行動で僕のことを大切にしていると示してくれたことと、アクナが自分から歩み寄ってくれた事だ。


 二人のおかげで、僕は今二人のことを信じられている。


 ………わかったよ。


 今度は僕の番だ。


 2人にしてもらったことを僕がもう一度するだけ、簡単なことだ。道は2人に示してもらった。


 僕は既に2人を大切に思っている。


 僕がするべきことは変に気を使うのではなく、普段通りの僕である事だ。

 それだけで十分証明できるんだ。


 そう考えると、なんだができる気がしてきた。


 いつも出来なかった、「いつも通りにする」ということが、


 二人に駆け寄りながら、笑顔を作った。


 本物の笑顔だった。


 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


「不思議なことがあります。」


「なんだ?」


「お兄さんは、、、なんで私を救ったんですか?」


「…………」


「私のことを殺すんじゃなかったんですか?」


「…………聞こえてたのか、」


「はい。」


「俺が君を殺そうとしているとわかっていて、一緒にいたのか?」


 少女は少し自慢げな顔をしながら言った。


「はい。どうせ死ぬつもりだったので、別にいいかなあって、」


 目を覚ました少女は、まだ意識がはっきりしていないのか、まるで、家族に向けるようなとても優しい口調だった。


 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 最近イサノの物腰が柔らかくなった。

 普段通り作戦が上手くいったようだ。


 後は僕が勇気を出すだけ、


 アクナみたいに、今度は僕が、


 イサノはいつも早起きだった。早起きして何かをする訳ではなく、僕たちが起きるのをただじっと待っている。


 その日は僕もかなり早くに起きた。


 でもやっぱり、イサノはもう既に起きていて、


 僕が早く目を覚ましたことに驚いているようだった。


「おはよう」


「お、おはよ、う」


 自然に口が動くようだ。


「ねえ、」


 隣で熟睡しているアクナを見る。僕にアクナはなんて言ったっけ、


 そうそう、


「僕らって最近気まずい雰囲気だよね?」


「………うん。そう、だね。」


 彼女はまた驚いた顔をした。

 うん。僕も前にこれを言われた時は驚いた。


「僕は、みんなと前みたいに話したいんだ。イサノは違う?」


「…………」


 ━━━━━アクナのセリフをそのまま借りただけ、でもここからは僕のセリフだ。ちゃんとね


「僕はさ、二人のことを信じることができてないんだ。これは最近気がついたんだよね。僕が思うに、僕は信じるのが怖いんだよ、多分ね。イサノもそうなんでしょ」


 イサノのことを信じようとしているからこそ、確信を持ってそう言える。


 目を逸らしながらも、彼女は黙って頷いた。


「二人が大切だからこそ、二人を信じるのが怖い。深刻だよね。」


「………うん」


「でもさ、これも最近気がついたんだ、、、別に、信じなくたっていいんだよ。お互いがお互いのことを大切に思ってる。それだけでいいんじゃないかな。と言うか、今まではずっとそうだったんだ。信じる信じないじゃなく、この気持ちだけでここまで来たんだ。」


 それを最近無理やり意識させられたせいでこうなっただけで、元々僕らはずっとこうだったんだ。


「そう、かもね」


「だから、まずは話をしよう。僕と、イサノで。」


「、、、うん。」


 ━━━━━━たくさん他愛もない話をした。


 久しぶりに彼女の笑顔を見た気がした。


 同時に、泣いているとことを見たのは2回目だ。


 やっぱり綺麗な白い髪を揺らしながら笑っていた。


 そうそう、これを見るために頑張ったんだ。


 しばらく、僕らは会話をした。初めはぎこちなかったけど、だんだん調子が戻っていくように、気がつけば前のように話をしていた。


 いつの間に目を覚ましていたアクナは目を丸くしてこちらを見ていた。


 一体どうやったんだ?


 と顔で語りかけてくる。


 簡単だよ。二人と同じ事をしただけなんだから、







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