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 強面の門番は僕たちを見るなり、見るからに嫌そうな顔をした。


「汚い格好だな、それに少し臭う、、、お前ら、乞食か何かか?」


 早速匂いについて指摘され、内心ビビりながらも顔だけは平静を装った。

 こういう時必要なのはアドリブ力だ。僕たちの中でいちばんそれが得意なのはアクナだった。


「いやいや、とんでもない。長旅で少し汚れてしまっただけですよ。」


「………お前ら、旅人か。、、しかし、一体どこから来たんだ。お前たちがやってきたのは南、南の迷いの森は絶対に抜けてはこられないはずだ。」


 そうだった。普通ゴブリンの国を突っ切って来たなんてありえない話だ。


「森を迂回してきたんですよ、ほら、長旅だったって言ったじゃあないですか。」


「むう、確かに、それなら本当に相当な長旅だったのだろう。中継になるような街もないしな。」


 なんか、いい感じに行きそうだぞ、


「ところでお前たちは武器を持っているか?もし持っているのなら通行証が必要になるぞ。」


「いえ、持っていません!」


 幸い僕とイサノは魔術師だし、アクナの剣は魔法で生み出すやつだから問題ない。


 ボディチェックがすんだ後、なんだかんだ上手くいって、街の中に入ることが出来た。

 思っていたよりざらな警備だな、、よく考えたら、僕たちは髪の色以外は普通の人間と変わらない。エルフのように耳が尖っている訳でもない。警戒されなくて当たり前か、、、


 ━━━━━━━━━━━━━━━


 タリアアナ前線は2代前の皇帝の名によって作られた、いわば帝国都市である。

 タリアアナは、この世界の言葉で「中継地点」を意味する。


 200年ほど前、各地からゴブリンが一掃され、元々小さな団体で生活をする種族であった彼らは、簡単に制圧されていった。しかし、森に逃げ込んだゴブリンたちは、自然と小さな団体の塊になってゆき、世界中に巨大な王国が出現した。


 そのうちのひとつが、迷いの森への、崖を迂回せずにすむ唯一の通り道に位置している、あの国である。


 森への通行ができなくなり、南北間での物流は壊滅的に悪化した。

 人間の国は、迷いの森を挟んで南北に別れる巨大な2つの国に勢力が別れている。

 北のサンライン帝国、南のアード王国。互いに交易ができなくなるのは相当な痛手、帝国と王国は、三度兵を送った。しかし、その三度とも結果は敗北に終わった。


 徒党を組んだゴブリンの強さを侮っていたのがひとつ、地理的不利がひとつ、、、

 とにかく敗北したことにより、互いを行き来する最短の近道を失った。つまり、普通より数年も時間をかけなくては行けなくなったのだ。


 そこで、両国は迷いの森の近くに街を作った。崖を迂回する長い旅を控えた商団や旅人が準備する中継の街。


 それが中継地点(ダリアアナ)前線の名前の由来である。


 ━━━━━━━━━━━━━━━


「おっきな、街、、だね」


 外から見たら小さく見えたが、中に入ってみると、その大きさに驚いた。それに、すごい密度でレンガの建物が並んでいる。


 興奮しているのか、イサノは自然と笑顔になっていた。

 緑しかない代わり映えのない場所から解放されて、実際、僕も内心楽しかった。5メートル置きに1人人がいるくらいの人口密度で、大通りに沿って人の流れができている。

 所々に露店があって、目を引くものが沢山売られていた。


 おお!丈夫そうなカバン、綺麗な服!え、皮袋もあるじゃないか!これは、、ちゃんとした地図?!


 心なしか冒険グッズが多いような気がする。僕たちにピッタリだ。

 しかし問題は、、、


「金がないな、、、」


 そう、金である。僕たちが手渡されたのは、せいぜい布切れ1枚買ったら終わってしまうレベルのはした金、いくら欲しいものがあっても、僕らはそれをただ指を咥えて見ることしか出来ないのだ。


 金を稼ぐこと、、、それが僕らの当分の目標になった。


「とりあえず、金持ってそうなやつのあとをつけてみようぜ」


 確かに、この世界での金の稼ぎ方をとりあえず知る必要がある。どんなことをすればいいか、取り敢えず観察してみるのもいいかもしれない。


「いいかも、そうしよう。」


 露店の店主たちの客寄せの怒号が飛び交う中、僕らは高そうな武器屋の前で、誰かが買い物をするのを待って張っていた。

 この人口密度だ。待つまでもなく、すぐに男がやってきて、かなり良さげな剣を購入していった。


 急いで後をつける、しかしまあ、かなり筋骨隆々な男だ。普通の仕事はしていないだろう。

 ちゃんと金を稼ぐヒントを得られるのだろうか。


 しばらく歩いたあと、路地を狭い方に曲がって、男は慣れた手つきで、木製の大きな建物の扉を開けた。


 その建物には大きな看板が下がっていて、何やら文字が書かれている。

 一応文字の勉強はされられてきたが、かなり怪しいレベルだ。暗号を解くような気分で解読に望む。


「えっと、、ぼうけなしやきると?なんだそれ、」


 振り返ると、イサノが高速で首を横に降っていた。

 アクナはちんぷんかんぷんといった感じで思考を停止させている。


「えっと、間違ってた?」


 今度は首を縦に降っている。どうやら間違えていたようだ。


「ぼうけなしやきるとじゃなくて、、ぼうけんしゃぎるど」


「ぼうけんしゃぎるど?なんだそれ」


「……わかんない」


 とりあえず、足踏みしていても仕方ない。僕らも入って見ることにしよう。

 このままだと、今日は野宿になってしまう。今日中に宿代くらいは稼がないと、、、目指すは億万長者だ!



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