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作戦

 

 私は、どういう訳かお兄さんに連れられて、家の外へと出てきていた。


 ━━━━━━━━━━━━━━━

 一緒に食料でも探しに行こう、

 ━━━━━━━━━━━━━━━


 彼はそう言っていた。


 お兄さんが出ていったあと、一人で死ぬつもりだった。こんな場所で一人で怪物に脅えて生きてゆくのも、空腹を耐えるのも嫌だったから、


 お兄さんが来なくても、最初からそうするつもりだった。私はどうやら一人がとても嫌いらしい。一人になってからというもの、この場所で生きていくのは耐え難い苦痛になっていた。

 だからお兄さんが来てくれて良かった。最後の最後にひとりじゃないから。


 だからお礼として、私の最後の1つの缶ずめをあげることにした。

 文字通り、私の命綱の最後のひとつを。


 だが、彼はそれを拒んだ。そして一緒に食料を探しに行こうと言うのだ。一体何を考えているのだろう。

 私には測れなかった。


 ━━━━━━━━━━━━━━━


 僕は自分を測れなかった。なぜ、この少女を連れ出したのか、なぜ彼女を助けようとしているのか、

 殺すべき対象(・・・・・)である人間


 情でも湧いたか、、、そんなまさかな、


 外を歩いてみて、やっぱりここが地球の、それも日本であるということが信じられなかった。

 かつての文明の痕跡はほぼなく、燃え尽きた街の跡地は緑の植物がところどころに頭を覗かせていた。


 人の気配はなく、音一つもない。静寂が僕らを包み込む。地球をこんなにした化け物とやらも、全く見かけない。

 最近になって活動が少なくなったと聞いたが、本当のようだ。少女の話によると、今までにたった一体だって討伐できた例がないらしく、人間は奴らに為す術なく蹂躙されたらしい。


 怖い話である。


 この場所は恐ろしく静かだ。少女は黙り込んでるし、僕から話しかけようとも思わない。自分たちの足音だけが空気を揺らす。


 だがそれが幸をそうした。自分たちに近ずく物の音にいち早く気がつけるからだ。


 急な騒音が僕たちの耳を貫いた。廃墟になったビルの窓を突き破って、巨大な何かが体当たりをしてきたのだ。


 僕が1秒早く反応して、少女を庇いながら防御魔法を使った。


「だいじょうぶか?」


 反応がない。


「ん?」


 うそだろ、失神してる、、、あまりのことにびっくりしすぎたようだ。僕は彼女を片手に抱えたまま立ち上がった。まっすぐと相手を見据える。


 ………それにしても、


「やっぱりか、、、」


 やっぱり、、、こいつには見覚えがある。


 魔物。


 僕が元いた、、異世界の、魔物だ。


 やっぱり、人間にはこいつらってことですね。神様、、

 魔物は、魔法か魔法で作られた武器でしか殺すことができない。銃火器が効かないわけだ。魔物、こいつらが例の怪物ってわけか、、、


 つまり僕の得意分野だ。


 魔物なんて、あの世界で何百回でも殺したことがある。それにこいつは僕の知ってく限り弱い方だ。


 久しぶりに大魔法だ。


「なんだか、懐かしいな、」


 仲間と一緒に魔物を倒したあの日々が、、、

 魔王を殺す、あの旅が、、、


 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 草原を山に向かって進んだ。遠くにぼやけて見えた巨大な山岳も、今では木々の緑がわかるほどになった。


 そしてもうひとつあることに気がついた。

 山の麓に小さな町があるのだ。

 しばらく観察して、人間の街だということがわかった。


 つまり、ついにあの作戦を決行する時が来たのだ。あの、【髪染め作戦】を、、、


 泥ペンキだ。

 色が人の髪の色と同じになるように何度も調整した。ほぼ見分けがつかないだろう。


 しかしこれにも問題があった。

 1髪が痛むこと、

 これはイサノが回復魔法を持続的にかけ続ける事で防ぐことにした。


 2髪がカピカピになること

 これは僕の水魔法で水の膜を髪に微細に構成することで解決した。


 3匂い

 これはまあ、、、どうしょうもない。


 4まあ、これは何となく個人的なものなのだが、

 イサノの綺麗な白髪を見れなくなるのは少し残念だ。

 


……やっぱり忘れてくれ


 という訳で、ちょっと臭う茶髪の3人組が完成した。

 大丈夫だ。バレたら逃げればいい。逃げる手段ならいくらでもある。


 僕らは朝まで待ち、街の門まで歩いた。途中で止められる事はなかった。ここまで順調だ。


 門の前には少しの列ができている。検問待ちだろう。次々と許可を得た人達が中へ入ってゆく。

 もう少しで僕らの番だ。緊張で唾を飲みながら、僕らはゆっくり1歩踏み出した。





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