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森の中で2

 あの後、僕たちが合流するのにかなりの時間を浪費した。あんな森の中でよく再会できたものだ。


 かなり久しぶりに一人で眠りにつくことになり、自分がたった一人の勇者で無かったことを身に染みて感謝した。最終的には索敵魔法が役に立った。周りと比べて明らかに大きい二人の魔力は簡単に見つけることができるのだ。


「……まだ背中がヒリヒリするよ、」


「回復、いる?」


「そこまでじゃないから大丈夫だよ。」


 イサノは僕の返事に少し残念そうな顔をしていた。僕とアクナに比べてあまり出番がない彼女からすると、絶好の活躍の場面だったのかもしれない。手間になるだろうからと断ったが、彼女も彼女なにりに役に立ちたいのだろう。


「……やっぱりお願いするよ。」


「うん、いいよ」


 無表情ではあるが、彼女の声色は心なしか弾んでいるような気がした。アクナはいつものように、そんな僕たちを微笑ましそうに笑っていた。

 落下の衝撃で負った痛みは、彼女の回復魔法によっていとも簡単に取り除かれてしまった。痛みが一瞬で引いてゆくこの感覚はなんとも言えない爽快がある。


「ずりいーなー、俺にもあれ、疲れを消すやつくれよ。」


「………アクナは、ダメ」


 えーなんでだよというアクナのブーイングを、アクナいつも元気だから必要ないと一蹴し、それにあれは私が疲れるから、と付け加えていた。


 残念そうに落ち込んだ顔をあからさまにし始めたが、イサノには効果が無いようだった。


 今日も仲がいいようで何よりだ。


 ふと、足に何かぶつかって下を見下ろす。妙に軽いと思ったら石ころだったらしい。蹴飛ばしてしまって、悪いことをしてしまった。

 しかし彼らは見た目通りに頑丈で、すぐに立ち上がって走り去っていった。


 最近発見したのだが、石ころたちはいっちょうまえに縄張り争いをする様で、群れ同士でその硬い体を勢いつけてぶつけ合って戦いをする。


 どうやって仲間を見分けているのか分からないが、もみくちゃになって戦っていた。


 最近はその様子をただ眺めるのが唯一と言っていい娯楽になっている。これが意外と面白くて、カブトムシの戦いを見ている気分に近い。


 今日も彼らは自分の土地を守るために戦うのだろう。走り去っていくその小さな背中に、僕は小さなエールを送った。


 ━━━━━━━━━━━━━━━


 話がそれたが、結局あの移動方法はボツになった。理由はいくつかある。まずひとつは危ないから。当たり前だ。奇跡的に助かったけど、下手すれば大怪我だったんだ。

 そしてもう1つは制御が効かないから。あの後何回か出力を下げて試したが、どれも変な方向に飛んでいってしまった。なかなか難しい問題である。

 最後に、失念していたが、浮遊魔法を使えるのは僕だけだということだ。そして僕が持ち上げて飛べるのはひとりが限界だ。だから一人置き去りにすることになる。


 いいアイディアだと思ったが、使い道は無さそうだった。


 しばらくはずっと徒歩になるであろうという事実に、思わず小さなため息がこぼれた。

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