学食無料は最高???~エイジとマモルの友情から揚げ
昼休みの学食。
ワイワイガヤガヤ、揚げ物の香り、うどんの湯気。
そんな中、でっかい体をぎゅうっと折りたたんで、ちょこんと席に座る男がいた。
「うわ、今日もまたうどん2杯かよ」
タクトが笑いながらつぶやく。
「マモル、そんなにデカいのに足りんの?」
「うん、足りてないよ~。でもね、うどんなら2杯で300円くらいで済むんだよ!節約、節約っ」
ぴかぴかの笑顔で答えるマモル。おでこの汗まで清々しい。
「……え、節約のため?」とエイジが目を見開く。
「それ、誰に言われてんの?親?コーチ?学校のルール?もしそうなら今すぐ俺が全部――」
「ちがうちがう、俺が決めたの!」
マモルは手をぶんぶん振って否定する。
「俺、いーっぱい食べるから、学食だとけっこうお金かかるでしょ?だから平日はうどん2杯で我慢して、金曜日だけのご褒美に唐揚げ定食!ごはん大盛り!」
「……な、なんだそのルール!?そんなん気にせず唐揚げ毎日食えよ!俺が出すから!!」
エイジが机叩いて立ち上がる。
「だいじょーぶだいじょーぶ!」
マモルはほんわか笑って、天使みたいに光りはじめた。
「今の生活、めっちゃ幸せ感じてるんだ~!」
そこへ、タクトがストローを噛みながら冷静に割って入る。
「エイジ、それはダメだ。金銭感覚ってのは“育てる”もんだ。奢りグセがついたら、将来困るのはマモル自身だしな」
タクトは柔らかい目でエイジを見て、静かに言葉を続けた。
「それに何より――俺たちは“横の関係”だろ。仲間なんだから。」
一瞬、空気が止まる。けれど、それは冷たさじゃなかった。
エイジの胸の奥に、あたたかく響く。
“横の関係”。
これまで「上か下か」でしか見られてこなかったエイジにとって、それは新しい響きだった。
けれど――そのやさしい言葉が、逆にじわりと胸をえぐる。
(……俺、“金”以外で、ほんとうに、仲間になれてるのかな?)
(バグで役に立てないなら……俺に、何が?)
親の顔がふと浮かぶ。
いつも、お金の話ばかり。バグの価値、額面、取引先――。
(……俺、“金”以外で、誰かの役に立ててるのか?)
(バグで役に立てないなら、俺に……何が?)
そんな中――エイジの脳内に、**ピコーン!**とアイデアが閃いた。
「そうだ!自分で作ったら、材料費だけで済むし、たくさん唐揚げ食べられるんじゃないか……!」
でも料理なんて、やったことない。
でも――。
「マモル!」
エイジが顔を上げる。
「もしよかったら、うちのシェフに唐揚げの作り方教わって、一緒に作ってみないか?」
「えー!!いいの!?やってみたいよ!」
目をキラキラさせてマモルが即答する。
放課後・エイジ邸にて
近くのスーパーで鶏肉を2キロを割り勘で買ってきて、エイジの家の広すぎるキッチンで唐揚げパーティの準備が始まった。
「ほら、このタレに漬け込むのがポイントなんだって」
「うわ~にんにくの匂いだけでもう最高~!」
仕込みの最中、マモルがふとつぶやく。
「こうやって一緒にやってるの、なんかすごい楽しいなー」
「…エイジってさ、いつもいいタイミングで声かけてくれるよね。今日も、俺のためにこういう機会つくってくれてありがとう」
「え、そんなことで?俺は、マモルのためにできること、これくらいしか思いつかなくて……」
少し照れながら、エイジは手を止める。
「“そんなこと”じゃないよー」
マモルは鶏肉を指でぎゅっと押さえながら、まっすぐエイジを見る。
「その気持ちがすっごく嬉しい。力わいてくるもん!エイジってすごいよな」
「お、おう……」
エイジの心が、じんわりとあたたかくなる。
いただきます!
仕上がった唐揚げは、揚げたてサクサク、ジュワッと肉汁。
「……うまずぎ!!これ、学食超えてる」
「間違いない!ていうか、これまで食べたから揚げの中で圧倒的ナンバーワンだ!」
二人で笑って、唐揚げを山盛り頬張る。自分たちでつくったから揚げの味は格別だった。
翌週・学食にて
「マモル、最近肌つやつやじゃない?」
「腕、なんかパンプアップしてない?」「え、唐揚げ効果!?」
マモルのランチは今日も“うどん+お弁当”――
その中身はエイジと一緒に作った、思い出の唐揚げ!
「俺ね、このレシピ、完璧にマスターしたんだ!」
「このから揚げレシピうますぎだよな!!」
「へへっ、いつでも食べられるって最高~!」
そんなやりとりを見て、タクトも笑う。
「うまそうだな。」
「タクトにもレシピ教えるよー!」
「ぜひ教えてくれ!口頭で言ってくれたら、即座に暗記する!」
やる気満々のタクトに熱心にレシピを伝えるマモル。
エイジも、にやりと笑ってうなずいた。
あとがきお料理コーナー
:エイジ&マモルの「エイジ&マモルの友情から揚げ」レシピ
材料(2人分/がっつり男子向け)
鶏もも肉:2枚(約500g)
醤油:大さじ3
酒:大さじ2
みりん:大さじ1
にんにく:1片(すりおろし or チューブ小さじ1)
しょうが:1片(すりおろし or チューブ小さじ1)
ごま油:小さじ1
片栗粉:適量
サラダ油:揚げる用(フライパン底から1〜2cmでOK)
作り方
① 鶏肉をカット!
→ 一口大にカット!皮つきのままでOK。包丁使うの苦手な人はキッチンバサミでも◎
② 漬けダレにイン!
→ 醤油・酒・みりん・にんにく・しょうが・ごま油を全部混ぜて、鶏肉を漬け込む!
→ 漬け時間は最低15分。できれば30分〜1時間おくともっとウマい!
③ 片栗粉でコーティング!
→ 揚げる直前に片栗粉をたっぷりまぶす。ビニール袋でシャカシャカすると楽。
④ 揚げる!(二度揚げが神)
→ フライパンに油を熱して、中火で4分揚げて取り出す
→ 3分休ませたあと、強火でサッと1分再度揚げる!
→ これで外サク中ジュワの最強から揚げ完成✨
⑤ 完成!
→ お好みでレモン・マヨネーズ・七味を添えて召し上がれ!
ポイント:
にんにく&しょうがの香りが食欲バク上がり
二度揚げでプロ級の食感に!
お弁当に入れるときは、冷めてもサクサクにするために揚げすぎ注意&油切りしっかり
冷凍OK!
たくさん作って、冷めてから1個ずつラップ→冷凍保存も可能!朝レンチンでお弁当にGO!
揚げたてのから揚げおいしいですよ。ぜひつくってみてください!