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読んだらちょっと為になる!メンタル強化特別授業!

朝。


昨日の水泳で全身がバッキバキ。

誰かがぼやいた。「笑うだけで腹筋つる……」

「今日、俺、走れるかな……」


無慈悲に鳴り響く館内放送。

朝日が昇る前、まだ薄暗い砂浜に集合し、筋肉痛のまま早朝ランがスタートする。


昨日はさわやかだった朝の光が、今日は刺さるように眩しい。


それでも、走る。


「この一歩の積み重ねが、人生の耐久力になるッ!!」


マモルは今日も元気だった。


──午前の講義、開幕。


広がる野外ステージ。

そこに現れたのは、白シャツにジャケット、サングラス姿の男。


「今日の講師は……私だ」


スチャッとサングラスを外す柊先生。

一瞬にして空気が変わる。


「先生直々に!?」「あのメンタリストの柊先生が!?」


全員、背筋が伸びた。


「今から君たちに教えるのは、“自分を操作する術”だ。

脳科学、心理学、記憶術、感情統制、集中力……すべてを融合させた、柊式メンタル強化メソッドを伝授する」


パチン、と指を鳴らすと、ホワイトボードと謎のガジェットが展開される。

一体どこから出てきたんだ。





【柊式メソッド ─ダイジェスト講義内容─】

5秒呼吸法:集中モードに一瞬で入る呼吸テクニック。緊張時のリセットにも効果抜群。


アンカリング技術:特定の動作や言葉で、自分のベスト状態を再現する方法。


場所法(ローマ式記憶術):記憶を「空間」に結びつけて超効率的に覚える手法。


メンタルスイッチ:やる気が出ない時、自分に“起動ボタン”を押すキーワード設定。


質問術:相手の考えを自然に引き出し、本音を知る。


高速リカバリー:失敗や恥ずかしさから即座に立ち直る心の筋トレ。





「今、目の前で世界を変える力が自分にあるとしたら、どう動く?」


そんな問いかけに、生徒たちの表情が変わっていく。


「うそでしょ……たった1時間でこんなに集中できるの?」 「これ、勉強っていうより、人生の攻略法じゃん……」


「今日は君たちに、私の技を伝授する!!」



◆5秒呼吸法:集中モードに一瞬で入る呼吸テクニック


「まずは“5秒呼吸法”からだ」

柊先生が静かに言った。

「5秒で吸って、5秒止めて、5秒で吐く──これを3セットだ」

「吸うときは“やる気”、止めるときは“ためる”、吐くときは“ととのえる”って心の中で唱えるといい」


生徒たちが一斉に深呼吸を始めた。

空気が変わった。


「……あれ、なんか静かになったね」

「なんか、スッとする……」



◆アンカリング技術:ベスト状態の“再現スイッチ”


「次。アンカリングだ」

「これは、“自分が最高の状態だったとき”を体に覚えさせる技術」

「例えば、すごくうまくいった発表のとき、手をギュッと握ってたなら──これからも手を握れば、その集中感が戻る」


柊先生は軽く指を鳴らして見せる。

「俺はこれ。集中スイッチ」


「まじか。俺、ライブ前は手をパンって叩いてたかも」

「それだよ。それを習慣にすれば、自分を呼び戻せる」



◆場所法(ローマ式記憶術)


「古代ローマの賢者たちは、覚えたいものを“場所”に結びつけた」

「自分の部屋を思い浮かべて、教科書の章ごとにアイテムを配置する」

「思い出すときは、その部屋を歩けばいい」


「え、俺んちの風呂に世界史入れていいの?」

「むしろ風呂場に“産業革命”を置けば、一生忘れない」

生徒たちがくすくす笑う。



◆メンタルスイッチ


「朝起きたら“やるぞ!”って叫んでみろ。それだけでスイッチが入る」

「声が出せなきゃ、手の甲をポンと叩くだけでもいい」

「“やる気”は起きてからつくるものじゃない。“起動”するものだ」



◆質問術


「相手に“はい or いいえ”で答えさせるな。

“どう思う?”“なぜそう感じた?”って聞け」


柊先生が言うと、マモルがノートにガシガシ書き出す。


「これは……使える……ッ!」


「何か聞き出したいとき、相手に“気持ち”をしゃべらせろ。それが本音の扉だ」



◆高速リカバリー


「失敗したときは、1秒以内に“やった!”って言え」


「えっ、失敗して喜ぶの?」


「そう。“今ので学んだ”って脳に思わせる。恥ずかしさや焦りを“成長の証拠”に変える」

「そう思い込めば、次の行動が早くなる」


タクトが小声で、「やった……」とつぶやいて、周りが爆笑。

でも、なんか空気が軽くなる。




──そして午後。


頭フル回転の状態で、次のステージへ。


「今日、君たちは“自分”を知った。

次は──自分を超えてみろ」


柊先生の言葉とともに、バスが走り出す。

その先にあるのは……巨大なバンジージャンプ台だった。


「恐怖を超えるには、理屈じゃない。一歩だけだ」

「夢を叫びながら、飛べッ!!」


一番に飛んだのは、タクトだった。


「俺の夢は子どものころから決まってる」

少し足が震えていたけれど、彼は飛び出した。


「“俺は、世界の名著を全て原書で読むぞおおおおお!”」


風を切る叫びが、空に響く。


次々に続く仲間たち。


「俳優になるぞーーー!!!」

「絶対デザイナーになってやる!!!」

「世界一強いやつと戦いたい!!!」

「もう逃げねぇぇぇぇぇ!!!」

「美術館をつくるううううう!!!」


そして、エイジは当然のように叫ぶ。


「思いっきり青春を楽しむぞおおおおお!!」


笑って、泣いて、叫んで、空を駆けた。

その日、空はどこまでも青く、風は強く、心は自由だった。


「なかなか見どころのある奴らだな」

柊先生がぽつりとつぶやく。


その声に、大自然の風が応えたかのように吹き抜けていった。

柊式メンタル強化メソッド・超ざっくりまとめ


◆ 5秒呼吸法(集中モードに入るテク)

「吸って、止めて、吐いて、止める」を5秒ずつ。

呼吸のリズムを整えることで、脳が“今ここ”に戻る。

試しに一度、静かにやってみて。5秒×4の呼吸サイクルを3セット。

→ 緊張がすーっと引くよ!


◆ アンカリング技術(自分の“ベスト状態”を起動)

自分がめちゃくちゃ集中していた瞬間・うまくいった瞬間を思い出し、

その時の動作(拳を握る、胸に手を当てるなど)をセットで覚える。

繰り返すことで、その動作が“スイッチ”になる!


◆ 場所法(ローマ式記憶術)

覚えたいことを、自分の部屋や通学路など“よく知っている空間”に置いていく。

例えば「英単語=玄関の靴」「歴史年号=台所の冷蔵庫」みたいな感じ。

記憶を“映像化”して置くと、超覚えやすくなるよ!


◆ メンタルスイッチ(やる気の起動ボタン)

自分専用の「がんばるための一言」を用意しておく。

例:「今こそやるとき!」「燃えろ、オレの小宇宙!」

その言葉を心の中で唱えるだけで、集中スイッチが入るようになる。

お気に入りのセリフを探してみて。


◆ 質問術(相手の心に寄り添う技)

相手の言葉を否定せず、「どうしてそう思ったの?」と素直に尋ねてみる。

答えを探るのではなく、“その人の物語”に耳を傾ける。

マモルがこれにどハマりしてたのは内緒!


◆ 高速リカバリー法(失敗からの即立ち直り)

恥ずかしかった出来事は、10分以内に“言葉で書き出す”!

そして「これは経験値!」とつぶやいて自分を肯定する。

心の筋肉を鍛えるのも、結局は日々の“練習”。


こんな感じで、今回は“自分の中にある可能性”に目を向ける時間でした。


恐怖や不安を乗り越える方法って、必ずしも“強がること”じゃないんだよね。

ほんの少し、自分を理解して、自分の味方になるだけで、世界はちょっと変わる。


次回、夜の時間はぐっと静かに、心の距離がぐっと近づきます。

まだ誰にも言えなかった本音も──きっと、言える夜になる。

どうぞお楽しみに。

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