2 3人の王子からの求婚
ドレスも出来上がり、パーティーに出席する。
2 3人の王子からの求婚
ドレスは2週間で出来た。大人の物を小さくしたものではなく、薄ピンクのドレス風の子ども服にしてウエストを極端に絞る様なものにしなかった。礼を失しない程度のフォーマルウェアーだ。ジュエリーもつけず小物だけは借りた。
当日姉と王城に向かった。すでに何人かの令嬢はついており姉と別れて同じ年齢の子ども達の集まりに参加した。一応に戸惑いの表情だ。ドレスを纏う少女達も居ればマリエールと同じようドレス風の子ども着を着ている少女達も居る。同じ年頃の少女達だ。陽気に振る舞う少女も居れば陰気な少女達も居る。ただ一応ここに居る理不尽さは共有出来る。姉達は興奮気味だ。3王子登場の時を明るく待つ。場馴れしているのだ。
パーティーが始まった。料理や飲み物が運ばれて来る。司会は3王子の登場を告げる。今回は伯爵以上の12 歳から18歳迄の未婚女性だけが参加者なので人数は少ない。50人はいないだろう。そこへ3人の王子が登場する。3王子の自己紹介の後挨私達は拶の列に並ぶ。伯爵家の我々は最後尾に近い。列に並ぶのは楽しいことではない。姉と小声で雑談するが列は中々進まない。
やっと我々の番が回って来る。姉が始めに挨拶する。招待への御礼、姉の自己紹介だ。続けて私が、
「次女のマリエール」
と名乗る。質疑応答が始まる。主に私に。3人の関心が私に集まったようだ。3人が思い思いに聞いてくる。
「そのドレス似合っているよ。子どもらしくて可愛いいよ。きみが選んだのかな。」
例えばこれは第1王子の質問だ。
「母と仕立屋さんと相談して3人で決めました。成人していない身で正式のドレスを仕立てるのは可怪しいと思いました。」
30分くらいの問答が有って後続の人達の苛立を感じ始めた。
「後は挨拶が済んでからでどうでしょうか。お待ちの方も見えます。」
3人はやっと気付いたようだ。
「そうだな。きみにばかり気を取られていた。続きは後で。」
取り敢えず解放された。正直楽しい時間ではない。まだ続きがあるのだろうか。
また同じ年頃の少女達が集まっているところに行って、料理や飲み物を取り雑談した。仲の良くなった伯爵令嬢が、
「あなた凄いはね。あなた一人で3人を手玉に取っているように見えたわ。」
何それ手玉に取られているのはこちらよ。
「少し興味持たれたのかも知れないわ。でもそれだけよ。」
全員の挨拶が終わり、また3人の王子達がマリエールのところに集まった。王子というのは、満遍なく人々に声をかけるものではないのか。面と向かってそんなことも言えないので適当に流した。王子達が集まるので女性達も集まる。チャンスと思って抜け出すと王子の誰かはついて来る。そして告白だ。
「私の思いを受け留めて欲しい。」
3人の王子に告白された。やんわり断った。
「国王陛下にお尋ね下さい。」
でも断ったことにならなかった。数日後
「マリエールを第1王子の婚約者とする。」
と発表された。
マリエールは第1王子の婚約者になった。