13 暗躍
反皇太子派はクーデターを企む
13 暗躍
緒戦勝利は皇太子の評価を上げたが反皇太子派の警戒感を強めさせた。第2王子第3王子のサロンでは派閥の集まりが活性化する。ここもそんな一つだ。
「先日の役人たちの暗殺事件、皇太子の緒戦勝利、裏で繋がってますよ。暗殺事件の犯人は皇太子派の者だと警察庁長官に言って於きましたがあれもどっちつかずと言うか、中々本気で動く気配がありません。」
貴族の一人が愚痴る。賛同するものも多いがもっと深刻な問題がある。
「東の国との連絡が途絶えるのではないかと心配するものがいます。工作資金が途絶えると派閥から抜ける連中も出て来ますよ。」
皇太子が国王になる可能性が高まった。実績もあり、経済活動でも力を付けている皇太子と工作資金があり東の国との関係こそ大切だと思って繋がって来たこの派閥の意味がなくなっている。
「今更皇太子に頭は下げない。この国にもなお5万の東の国の軍勢がいる。派閥が力を合わせれば同程度の軍勢が集まる。東の国から10万の軍勢が来れば我々は勝つ。内と外で鋏打ちにするのだ。」
ク―デタ―だ。その必要性は前々から派閥で議論されて来たが東の国は賛成しなかった。しかし今動かないならもはや派閥としての態を成さなく成るだろう。じり貧で派閥のメンバー一人一人が殺されるのを見ているだけの集団に成るだろう。自分はこの国に良かれと思ってこの派閥を立ち上げたのだ。決して工作資金で動いたわけでもない。出来るだけ穏便にこの国を東の国の属国にしたかっただけだ。それをあの皇太子は計画めちゃくちゃにしやがって、不敬なこと考えているが彼に取って王子は単なる駒だ。勝手に動き回れる皇太子こそが悪なのだ。
マリエ―ルはマリエ―ル商会に戻って幾つかの報告を受け幾つかの指示を出した。最大のポイントは皇太子派閥にだけ恩恵をもたらす事だ。皇太子派閥は意外と少ない。工作資金を手に出来る第2王子第3王子の派閥と違う。どちらの派閥にも属さない連中もいる。皇太子派閥にだけマリエ―ル商会を開設して産業事業を展開していく。地域ごとの経済格差が顕著になる。どちらの派閥に属さない連中には僅かに援助がある。
国が割れる予感がある。国王は皇太子のやり方に苦言を呈するが皇太子は自分の正論を述べるだけで国王の言に耳を傾ける事はない。事実上皇太子が政権を担い始めた。反対するものへの処分は日常的だ。しかし、皇太子の業務に関わることだけだ。
マリエール商会確実に力を伸ばしているアンドロイドは1000体を超す。王都に4店舗王都外に8店舗、皇太子、皇太子妃の店舗で貸借料もなく利益は皇太子、皇太子妃、領主に払われる。最高級の品物でも他店の数分の1の値段だ。反発して店主が不敬罪で処刑されることもあり、第2第3王子派の役人たちの失踪は良くある話しだ。無所属の貴族には良く硬貨付きの送りものが届く。採点表の様なものが挟まれ皇太子への貢献度によって金額が変わり、反皇太子の動きがあれば、送りものが無くなりマリエール商会との取引もなくなる。
皇太子と距離を置くことは経済的に不利だ