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煙草を口に咥えようとするも、止めてそのまま灰皿に押し付けるように火を消す江藤。
「まだ難しいだろうけど、そろそろ赤也自身の幸せも考え始めろよ?」
「どうした急に?」
不意を付かれ、煙草が口から零れ落ちてしまった。慌てて拾いあげ、灰皿に押し付ける。
「せっかくイケメン二代目社長でモテてるんだから、売れてる内にちゃんと売りに行け。チビ達が成人するまでなんて言ってたら40超えちまうぞ。」
「へいへい。」
火が消えたのを確認して後、この話は終わりだと言わんばかりに出口へと歩き出す。
「赤也!」
「心配してくれてありがとう。まあ何だかんだ雪には感謝しているよ。」
出口まで来ると足を止める。前を向いたままそう言うと、そのまま出ていった。
喫煙所に向かって小走りしている幸。喫煙所が見えてくると歩調を緩める。入り口に差し掛かると話し声が聞こえてきた。
「まあ何だかんだ雪には感謝しているよ。」
「えっ。」
ゆき、幸、私?いやいや、違う違う。
両手をバタつかせて心を落ち着かせようとする。
「あれ、小沢さん喫煙所でどうしたの?俺か江藤に用事?」
「あ、はははい。取材の時間になったので。はい。」
何故か慌てている幸に首を傾げる赤也。
あ~首を傾げる社長も格好良い。って業務中よしっかりしなきゃ!!
「了解。じゃあ行こうか。」
「は、はい。」
あ~今社長の顔を見られない〜!!
赤くなった頬を仰ぎながら赤也の後ろを追いかける幸であった。
赤也編プロローグ、これにて終了です。
次回の投稿は8月28日08時を予定しています。
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