表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/602

第6話【レベルアップ】

ダンジョンの入り口は高さ2.5メートルぐらいで、横幅は1.5メートル程だった。


扉は無い。


階段を下って行くと、同じサイズの一本道が続いていた。


俺は骨の棍棒(ボーンクラブ)を片手に進んで行った。


長そうな一本道が続いている。


しかし、甘かった……。


草原のド真ん中で発見したダンジョンに入って、10メートルも進まないで後悔した。


いいや、後悔ではないだろう。


自分の愚かさを知ったといえば、正しいのかも知れない。


そう、俺は馬鹿だった。


ダンジョンの入り口から直線状に進んで10メートルぐらいで気付いた。


ダンジョンの中は────。


暗いじゃんか…………。


真っ暗じゃんか!


俺、明かりを持ってないじゃんか!


松明もランタンも無いじゃんか!


奥が見えねぇ!!


駄目じゃんか、俺!!


そもそもダンジョン探索の準備を何一つしてないじゃんか!!


これが登山だったら、間違いなく遭難してるな、俺!


だが、幸いなことに10メートル程で自分の愚かさに気付けたから良しだ。


このぐらいから太陽の光が届かない。


これは無理だ。


ダンジョン探索どころじゃないわ。


だって奥は真っ暗だもん。


灯りもないもん。


俺、ダンジョンを舐めすぎてた。


いいや、ファンタジーを丸ごと舐めてたのかも知れないな……。


そりゃあ~、ダンジョンだもん。暗いの当たり前じゃんか。


灯りが設備されてるわけがないじゃんか。


とりあえず、引き返そう。


そう思い俺が踵を返した時である。


ダンジョンの奥から音が聞こえて来た。


ガシャガシャと乾いた音である。


なんだろう?


俺は振り返り闇を凝視した。


音が段々と大きくなって来る。


騒がしい音であった。


それは、複数の音である。


音の正体は直ぐに分かった。


俺は骨の棍棒(ボーンクラブ)を片手で構えて待ち受ける。


来る!


見覚えの有るヤツだった。


いいや、ヤツら(複数形)だった。


スケルトン四体が走って来る。


幸いにも武器無しスケルトンだった。


しかし、敵は四体居る。


勝てるか?


逃げるか?


いや、逃げるは愚策だろう。


外に出れば広い。追い付かれたら囲まれる。


ここで戦えば狭い。


敵は一列に成って、一匹ずつしか掛かって来れないはずだ。


四連戦に成るが、一匹ずつ戦える。


よし、ここで迎え撃つぞ!


てか、なんだか俺、カッコ良くねぇ!


咄嗟に策戦なんか立ててるよ!


すげー、冒険者っぽくねぇ!!


よーし、頑張っちゃうぞ!!


そして、俺は気張って骨の棍棒(ボーンクラブ)を振りかぶった。


走り来る四体のスケルトン。


やはり一列だった。


これなら勝てるぞ!


来いや!!


すると───。


───先頭を走るスケルトンが何もないところで躓いて転けた。


勢い良く転けて顔面を煉瓦の床に打ち付ける。


ぱかーん、といい音がダンジョン内に響いた。


頭蓋骨が木っ端微塵に砕けてる……。


そして、残った体に後方から走り来るスケルトンたちが次々と躓いて、俺の前で倒れて重なる。


えい、えい、えい……。


俺はここぞとばかりに倒れたスケルトンたちの後頭部を殴って砕く。


頭が砕けたスケルトンたちは動かなくなった。


四体ともだ……。


圧勝である……。


その時で有った。


頭の中に女性の声が響く。


【おめでとうございます。レベル2に成りました!】


や、やったね……。


レベルアップだぁ~……。


な、なんか、違う…………。


【つづく】

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ