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第553話【ドズルルに旅立つ】

俺はゴリの実家の客間で目が覚めた。


収穫祭が終わった次の日である。


一晩ゆっくりと寝たので、これからドズルルの町に旅立つ予定だ。


窓の外から燦々と朝日が差してくる。


「眩ちぃ……」


俺は寝ぼけた眼を擦りながらリビングに下りて行った。


「おはよ~う」


「おはよう、アスラン」


朝の気軽な挨拶が飛び交う。


リビングでは大きなテーブルを囲みながらゴリの家族やガイアたちが朝食を取っていた。


「皆、朝から早いな~……」


ゴリの父ちゃんが答える。


「我々農家の朝は早いんだよ」


「ああ、そうか。本業は農家なんだっけ……」


更にガイアが言う。


「ガイアは寝ないから朝も関係無いのだ」


そう言えば、ガイアって眠らないんだったっけ。


それじゃあ疲れが取れないじゃんか……。


てか、疲れないのかな?


このガキはいつも遊んでばかりだから疲れないのだろう。


羨ましいな……。


ゴリの母ちゃんが言う。


「アスランさんも朝食をお取りになりますでしょう。ほらほら座って座って、食べて食べて~」


微笑みながらゴリの母ちゃんが俺の分の朝食を出してくれた。


「はい、ど~ぞ。たんとお食べ~♡」


ゴリの母ちゃんが唐揚げを山盛りで俺の前に置く。


朝から鳥の唐揚げか~……。


ちょっとヘビーだな~……。


まあ、食うけれどさ。


じゃあ、飯を食いながら読者に覚えた新スキルの紹介だけでも済ませておこうかな。


今回の喧嘩祭りでレベルが二も上がったからスキルも二倍覚えてますわん。


でも、トータルで四つです。


たぶん二つずつ覚えたのかな?


まあ、兎に角、この四つを覚えました。


一つ目は~。


【金的マスタリー。対戦者の金的を狙った際に、命中率と攻撃力が向上する】


確かに予選会で何人ものキャン玉を蹴飛ばしたもんな~。


こんなスキルを覚えるのは無理も無いね。


続いて二つ目は、これだ。


【全裸ヘイトスキル。全裸になると注目を集められるようになる】


首を傾げるようなスキルだよね。


そりゃあ全裸になれば注目だって集められるだろうさ……。


そもそも注目されたいから全裸になるのにさ。


それじゃあ、このスキルで、もっと注目が集まるのかな?


まあ、今度試してみるか。


差が分かるかどうかは分からんけれどね。


さて、三つ目は~。


【喧嘩手加減マスタリー。素手の喧嘩の際に、相手に致命的なダメージや後遺症を残さないように倒せる】


ああ~、これは役に立つかな~。


手加減は大切だよね。


これで人を殺さずの誓いを継続しやすくなったぞ。


そして、最後の四つ目は~。


【受け身スキルマスタリー。投げられた時に受け身が取れて、更にダメージを軽減できるようになる】


前に覚えていたスキルのマスタリーだね。


たぶんジオンググに叩き付けられたから覚えたんだろうさ。


叩き付けや投げ技はこわいから、あったほうが良いやさね。


まあ、今回二つもレベルアップして覚えたスキルはこんなもんでした。


よし、飯も食べ終わったぞ。


それにしても口元が油っこいな……。


俺が口をタオルで拭きながら席を立つとゴリが言う。


「なあ、アスラン。お前の転送絨毯で俺たちをソドムタウンまで送ってくれないか」


「ああ、そうか。お前らはソドムタウンに帰るんだもんな。移動は転送絨毯でもいいのか」


俺はリビングの隅に転送絨毯を引くと三人とパンダを連れて魔王城街の宿屋に帰った。


ゴリが部屋の窓から外を見て言う。


「なんだ、お前の転送絨毯って、魔王城街に繋がっていたのか」


「ああ、そうだ」


「そう言えばグラブルさんが言ってたぞ」


「グラブルの野郎が何を言ってたんだ?」


「今、アスランが持ってるサイズの転送絨毯を数枚ほど量産しているから、出来たら持って来るってさ」


「へぇ~、それは便利な話だな~。それよりもお前らグラブルと話してるのか?」


「ああ、最近グラブルさんがスカル姉さんのところに遊びに来るんだよ。なんでもスカル姉さんとお茶友達らしいぞ」


「あのドラゴン、スカル姉さんと仲良くなってるのか……」


するとメタルキャリアが述べた。


「そう言えば、この前さ、アンって言うドラゴンの女の子がガイアちゃんやテイアーちゃんと遊んでたよな~」


ガイアが言う。


「アンちゃんはガイアと友達だよ。あの子は馬鹿だけど良い子だよ」


馬鹿呼ばわりかい……。


まあ、アンは間違いなく馬鹿だけれどさ。


それにしても──。


「なんだか友達の輪が、俺の知らないところで広がってるな……」


しかも人外どもなのに……。


段々と魔王城街が本当の魔王城として磨きが掛かってるような気がするぞ……。


まあ、いいか……。


「よし、それじゃあ俺はガルマルの町に帰るぞ。いいな」


「ああ、送ってくれてありがとうな、アスラン」


俺は三人に別れを告げると転送絨毯でゴリの実家に帰った。


すると転送絨毯の前にはゴリの父ちゃんと母ちゃん、それに双子の妹が待っていた。


「じゃあ、皆さん、俺もドズルルに旅立ちますわん。この数日の間、大変お世話になりました」


俺はペコリと頭を下げた。


「いえいえ、こちらこそ。アスランさんも気を付けて旅を続けてくださいね」


ゴリの父ちゃんが言うとゴリの母ちゃんが包みにくるまれた箱を差し出す。


「お弁当です。お昼にでも食べてくださいね」


「ありがとう、ゴリの母ちゃん」


マジに母ちゃんとしては出来た奥さんだよな。


これで顔が人間だったら完璧なのに……。


残念……。


「これからも息子を頼みます」


二人が深々と頭を下げた。


なんか……、なんと言いますか……。


本当に優しい両親だよな。


ゴリには勿体無いわ。


こうして俺はゴリの一家と別れてガルマルの町を旅立った。


目指すはギレンが潜むドズルルの町へ。



【つづく】

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