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第469話【死海エリアの平和】

この作品を書き始めて初めての連休を貰いましてキャンプに泊まりで行ってました。

今後は出来るだけ休まず更新していきたいと思いますのでお付き合い願います。

俺はガルガンチュワと一緒に泳いでノーチラス号まで引き返していた。


「いいか、ガルガンチュワ」


「ああ、分かってる」


「お前が地上で暮らすにあたってのルールを守ってもらうぞ」


「さっき約束した内容だろう」


「じゃあ決めたルールをもう一度反芻してみろ」


「はいはい、しつこいな~」


海底トンネルを俺と二人で並んで泳ぐガルガンチュワが、先程決めたばかりのルールを語る。


「一つ、人間を食べない。殺さない」


まず、これが一番大切だろう。


ガルガンチュワは敵対していた冒険者を食らっている。


所謂のところ、人食いモンスターなのだ。


まあ、モンスターが人と戦って勝利すれば、報酬として血肉を食らうのは珍しい話ではないだろうさ。


許せないが、許すしかない。


だが、今後のガルガンチュワは人間に擬態して暮らすことになるのだ。


ならば、最低限のルールは守ってもらわなくてはならない。


出来ればガルガンチュワには、地上に出てまで人食いモンスターとして暴れまわってもらいたくないのだ。


だからの約束である。


続いて──。


「一つ、仕事をして生活の糧を築くこと」


二つ目はこれだろう。


働かざる者、食うべからずだ。


ガルガンチュワが溜め込んだ財宝は、俺がガルガンチュワを倒したことにしたいから全て没収である。


マジックアイテム以外の財宝は乙姫にくれてやる約束だからな。


あいつらも仲間を食ったクラーケンが、まだ生きているとなれば穏やかではいられないだろう。


だから死んだことにしたいのだ。


幸いガルガンチュワには金妬くが無いモンスターだったので、これは簡単に飲んでくれた。


それに俺がマジックアイテムを貰う代わりに地上での寝床や仕事の面倒、それに人間世界のルールを指導すると言う条件を結んだのだ。


まあ、これは一石二鳥なので良いだろう。


正直なところ、俺にも都合が良い約束である。


続いて──。


「一つ、私がクラーケンであることは、出来るだけ知られないこと」


これも大切な約束だろう。


こいつがクラーケンと知られれば、無駄に争いが起きかねんからな。


まあ、魔王城で暮らせばサイクロプスとかも居るぐらいだから、バレても問題は無いと思うのだが……。


「この三つを守ればいいんだろ」


「ああ、そうだ。大丈夫だよな?」


「任せておけ!」


本当に大丈夫かな~……。


少し心配が残るが、心配を深めても仕方ないだろう。


なるようになるさ。


そして、最後の一つだ。


「一つ、私が死んだら体内の真珠をアスランに譲渡する」


本来それがあれば俺の呪いだって解けていたかも知れないのだ。


出来たら欲しいもんな。


ガルガンチュワが涼しそうに言う。


「まあ、人間で言うところの、死者の骨を拾ってくれる相手が居るってのは、悪くない気分だよな」


そう受け取るのか……。


やっぱりタコの考えることは分からないぜ……。


「ところでガルガンチュワ。ついでに訊きたいんだが」


「なんだ、アスラン?」


「お前って雄なの雌なの。どっちよ?」


「お前は私のサイズを見ても分からないのか?」


「サイズ?」


「あれだけ大きなクラーケンなんだぜ。そりゃあ雌に決まってるだろ!」


あー、雌か~……。


タコって雌のほうが身体がデカイのね~。


まあ、中身が雄なのに外観だけ雌ってのは気持ち悪かろうから、これはこれでいいのかな~。


何よりエロイしな。


なんでこいつは遺品の衣装だけで、これだけエロイコーディネートが出来るかな~。


産まれついてのエロセンスだわ。


マジで末恐ろしいタコ娘だよ。


俺が考え込みながら泳いでいると、ガルガンチュワが前方に見えてきた船に気付いて言った。


「おお、ノーチラス号が見えてきたぞ」


ガルガンチュワの言う通りだ。


泳ぐ俺たち二人の前に、洞窟の入り口に浮かぶノーチラス号が見えてきた。


すると更にガルガンチュワが述べる。


「大きいな~。昔は小さく見えていたのに──」


「それだけお前が小さくなったんだよ」


乳もそんなに大きくないのが残念だ。


でも、卑下するほど小さくもない。


ほどほどのサイズだ。


いたっ………。


畜生……。


あー、もー、呪いがマジでムカツクわ~!!


俺たち二人は二重扉のハッチからノーチラス号の船内に入る。


ガルガンチュワは鉄の船内が珍しいのか、興味深そうにあちらこちらを眺めていた。


そして俺たちは乾燥室でカラッカラに乾かされてから操縦室に向かった。


「よーーう、ただいまーー!!」


俺はコックピットのハッチを潜ると元気良く挨拶を飛ばした。


すると変態ネモ船長が驚きの表情で迎え入れてくれる。


「生きてたか、アスラン!!」


「ああ、死ななかったぜ」


「じゃあ、クラーケンは倒せたのか!?」


「ああ、倒したぜ」


大嘘である。


勝つには勝ったけど、負けに等しい勝ちである。


それでも俺がドヤ顔で言うと、変態ネモ船長が俺の隣に立つガルガンチュワを見つめながら言った。


「でえ、こちらのエロイ娘さんはどなたかな?」


やっぱりこいつの目から見てもエロイんだ。


「こいつは、クラーケンを倒したあとに知り合った冒険者で……ピポポタマスって言うんだ」


咄嗟に出た名前だけど、ピポポタマスってなんだよ……。


「へえ~、そうなんだ」


信じてくれたのかな?


だいぶ怪しそうに見ているから信じてないかな?


「それにしても、エロイ娘さんだな……」


よし、信じたぞ。


骸骨の癖に煩悩に負けやがったぜ。


まあ呪われている俺が言うのは可笑しいが、確かにガルガンチュワの身形はエロイ!


なんだよ、ビキニブラの上に革のレザージャケットとかってよ。


それに生足剥き出しのホットパンツにロングブーツって組み合わせは反則だろ。


それよりもだ。


兎に角この隙に話をすり替えよう。


「なあ、変態ネモ船長」


「なんだ、アスラン?」


「俺はこのままクラーケンの洞窟から奥に進んで、この死海エリアを出て行こうと思うんだ。だからクラーケンの財宝を乙姫たちに勝手に回収しろって言っといてくれないか。俺は俺の取り分のマジックアイテムは回収してあるからってさ」


そう、俺は既に巣穴の財宝からマジックアイテムを回収してある。


かなりの数のマジックアイテムを回収出来た。


まだアイテム鑑定を行っていないが、なかなかの数と質をゲットできている。


久々にハクスラスキルが超爆発の大フィーバーだったのだ。


流石はクラーケンの財宝であると感心できるほどであった。


もうホクホクである。


俺が伝言を頼むとネモ船長が腕を組んで何かを考え始めた。


「どうした、変態ネモ船長?」


「いやな~。ほら、クラーケンの財宝なんだが……」


んん、何が言いたいんだ?


「俺がパクっていいかな~って、思ってさ」


うわ、ずれー……。


何もしていないくせに横取りを考えてやがるぞ、この変態船長は……。


「まあ、俺は構わんぞ。ただ、その後に乙姫たちと戦争にならないか?」


「んん~、せっかくだから、次の成人式まで半魚人たちと戦争でもやらかそうかなって思ってさ。そうなると、これっていい切っ掛けにならないか?」


「えっ、なに、切っ掛けって、戦争がしたいの?」


「ほら、俺って海賊の前は軍人だしさ。それに一年限定の戦争なら半魚人たちも付き合ってくれるかな~って思うんだわ」


「俺は別に構わんけれど……」


あー……、この変態野郎はスケルトンになって脳味噌が無くなってるんだ。


バカで、アホで、変態なんだ……。


まあ、好きにやらせてやろうじゃあないか。


どうせ迷惑が掛かるのは半魚人たちなのだからさ……。


「じゃあ、そういうことだから、俺たちは次のエリアを目指して進むからよ」


「ああ、分かった。アスラン、元気でやれよ」


「ネモ船長も竜宮城にあんまり迷惑ばかり掛けるなよ」


「分かってるって」


この変態野郎は笑ってるけど、本当に分かってるのかな?


いや、分かってねーだろ。


まあ、いいか……。


こうして俺は再びノーチラス号からクラーケンの洞窟に出て行った。



【つづく】

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