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第435話【家臣と家来】

俺は四本の剣を床に突き刺し、その正面に胡座をかいて座っていた。


剣は俺が突き刺したのだ。


床に突き刺されて立っている剣の柄には顔がある。


暗闇のハイランダーズだ。


一つは乙女で、三つは青年中年老人である。


「でぇ、お前ら何者よ?」


俺の質問に答えたのは青年の顔だった。


「く、暗闇のハイランダーズです……」


「それは知ってるよ、ボケ!」


「「「「ひいっ!」」」」


うわぁ~~……。


こいつら完全にビビってるよ。


「名前だ。名前ぐらいあるだろ?」


乙女から簡単な自己紹介を始める。


「私がリーダーのタピオカと申します……」


「我々は配下のキャッサバ、スターチ、プディングと申します……」


なんだか女子高生の好物っぽい名前だな。


そして四人が声を揃える。


「「「「四人合わせて、暗闇のハイランダーズです!!」」」」


うわぁ~……。


声が揃ってるわぁ……。


そこが結構ウザイわぁ~……。


「でぇ、お前ら四人だけなのか、ハイランダーズってのは?」


俺の質問に答えたのはタピオカだった。


その声は暗い。


「我々ハイランダーズは、以前までたくさんいたのですが、今は我々四人だけです……」


「どうした、冒険者にでも退治でもされたか?」


「いえ、違います。他の者たちは、謀反をおこして別グループを立ち上げまして……」


「うわ、ダサ!」


こいつら仲間に裏切られてやんの。


うーけーるー。


タピオカが怒った口調で抗議してきた。


「本当だけど、ダサイって言うな!!」


「「「そうだそうだ!!」」」


「うるせえよ。ウザイな~」


「本当だけど、ウザイって言うな!!」


「「「そうだそうだ!!」」」


「もう、キモイな……」


「本当だけど、キモイって言うな!!」


「「「そうだそうだ!!」」」


マジでダサくてウザくてキモいぞ、こいつら……。


「まあ、分かった。それで、謀反をおこした奴らは何人ぐらい居るんだ?」


「二十一人です……」


結構な数が居るな。


でも、そいつらがこいつらと同じぐらいの強さなら、たいして問題でもないかな。


二十人ぐらい分断して撃破すれば容易いか。


そもそも戦う必要も無いから、そのまま素通りできたら一番楽なんだけどな。


「よし、分かった。情報ありがとうな。それじゃあ俺は行くからさ」


そう言い俺が立ち去ろうとすると、ハイランダーズたちが慌て出す。


「ちょちょちょちょちょ、ちょっと待ってください!!」


「待って、行かないで!!」


俺は振り替えると白い目で剣たちを見た。


「なんだよ、うっせえな……」


「私たちをこのまま放置しないでくださいよ!!」


「なんでだよ?」


「だって私たちは、鎧が無いと動けないんですよ!!」


「鎧ならそこに倒れているじゃあねえか?」


「すいません、そこまで我々を動かしてもらえませんか……?」


「もしかして、お前らは自力で動けないのか?」


「当然ですよ。だって私たちは剣ですからね。剣がひとりでに動いているところを見たことありますか?」


「いや、剣が鎧を動かしているところも見たことないぞ……」


「さっき私たちが動かしてたじゃあないですか!?」


「あっ、そうか……」


これは一本取られたぜ。


「すみません。ちょっと本体の剣が鎧に触れられれば、あとは私たちでやりますんで、少し手を貸してくれませんかね~?」


「なんで?」


「なんでって、あんた!?」


「なんで俺がモンスターに手を貸さにゃきゃならんのだ?」


「いやいやいや、だって私たちがこのまま放置されたら朽ち果てて死んじゃうじゃないですか!!」


「そんなの知らんがな」


「「「「ひどっ!!」」」」


「だってお前らは俺の命を狙った奴らだよ。しかも卑怯な騙し討ちで仕掛けてきた奴らだよ?」


「そ、それは……」


男たちが声を揃えて謝った。


「「「ごめんなさい!!」」」


「タピオカ。男たちは謝ったぞ。お前はどうするよ?」


「わ、私は……」


「なんだか謝りたくない様子だな?」


「わ、分かりましたわ……。私を鎧に戻してくれたら、何だってしてあげます。舐めろって言われれば舐めます。飲めと言われたら飲みます。産めと言われたら産みますわ!!」


「ええっ!!」


こいつ鎧で飲めたり産めたり出来るのか!?


「姫様にそんな卑猥なマネはさせませんぞ。代わりに私が舐めますぞ!!」


「じゃあ、代わりに私が飲みますぞ!!」


「それならば、私が代わりに産みますぞ!!」


「気持ち悪いことを言うな!」


俺は三本のショートソードを順々に殴った。


「冗談なのにマジで殴ったよ……」


「この人は冗談が通じないようだな……」


「ジョークのセンスが無いんだよ、きっと……」


「好き放題言ってると、溶鉱炉に投げ込むぞ、糞野郎ども!!」


「「「ごめんなさい!!」」」


畜生、なんなんだ、こいつらは?


でも、面白い奴らだな。


なんだか欲しくなってきたぞ。


こいつらだって魔法の剣だろ?


マジックアイテムだろ?


インテリジェンスソードだよな。


ならば俺が保有してもいいのかな?


ちょっとカマを掛けてみるか。


「おい、ハイランダーズども」


「「「「はい!?」」」」


「ここに放置されたくなかったら、俺の配下に入らないか?」


タピオカが言う。


「家臣になれと……?」


「まあ、そんな感じだな」


すると男たちが言う。


「姫様がそれで宜しければ、我々は反対しませんぞ」


さっきから姫姫言ってるが、タピオカって姫様なのかな?


まあ、どうでもいいけれどさ。


「こ、この場に放置されるよりはましですわね……」


「よし、じゃあ今日からお前らは俺の家来な!」


「ですが、この身はあなた様に開きはしませんわよ!!」


「いや、一生開かなくってもいいからさ……」


言いながら俺はタピオカを床から抜くとピンクプレートの上に置いた。


するとピンクプレートが動き出して、タピオカ本体のロングソードを掴んだ。


そして俺は次々とショートソードをブラックプレートの上に置く。


「おい、こら、それは俺の鎧だぞ!」


「いや~、前からこの鎧が欲しかったんだ~」


「返せ~!」


「あー、私は両腕を切断されているから本体の剣が持てませんな……」


「ほら全員ならんで、挨拶しますわよ!」


両腕が無いプディングはヘルムを取って、そこにショートソードを刺している。


鎧の首から剣の柄が見えているんだけど、丁度そこに顔があるから可笑しな風貌に見えた。


そして、改まってタピオカが言う。


「我が主、えーーっと……」


「アスランね」


「我が主、アスラン様。我々ハイランダーズは、今後忠誠を誓いますゆえ、謀反をおこした連中の討伐を宜しくお願いいたします!!」


「「「いたします!!」」」


「討伐とか聞いてねーーーよ!!」



【つづく】

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[一言] 魔王にふさわしい配下が増えていく。
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