表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

408/602

第408話【侠気勝負】

昼食を取った俺は、スカル姉さんと一緒にソドムタウンに来ていた。


今はスカル姉さんの診療所の二階でマッタリとしている。


俺は部屋の中を見回しながら言う。


「だいぶ引っ越しが済んだようだな、スカル姉さん」


「ああ、お陰さまで診療所も開店間近だ」


「開店っていつするの?」


「助手が見付かったらだ」


「助手?」


「コーヒーでも飲むか?」


そう言いながらスカル姉さんがコーヒーカップを二つ持って来る。


「ああ、いただく」


スカル姉さんはコーヒーを注ぎながら答えた。


「転送絨毯越しとはいえ離れた場所で私も二足のわらじ状態だ。助手でも居ないと回せないだろ」


「確かにそうだな。スカル姉さんには新装開店間近の診療所があるのに、町作りの面倒まで見てもらってるもんな~」


スカル姉さんがコーヒーを指し出したので俺も受け取る。


「まあ、私も好きで面倒を見ているんだ。構わんぞ」


スカル姉さんが優しく微笑んだ。


「サンキュー、便りにしてるぜ」


スカル姉さんは黙ってコーヒーを啜る。


するとコーヒーを一口飲んだところで、スカル姉さんが何かを思い出したようだ。


「あっ、そうだ。アスランに伝言があったんだ」


「伝言?」


「朝早くに冒険者ギルドから使いが来て、ギルガメッシュがお呼びのようだぞ」


「分かった。んんじゃあ、これから行って来るよ」


俺はコーヒーの残りを一気に飲み干した。


苦い……。


「そいじゃあ、行ってきます!」


「ああ、いってらっしゃい」


俺は診療所を出て冒険者ギルドに向かった。


そうだ、ゴリの講師役をギルガメッシュに探してもらおうかな。


こう言うことは人脈のプロのほうがスムーズに進むだろう。


そんなことを考えながら俺が冒険者ギルドに到着するとすぐさま二階のギルドマスターの部屋に通された。


俺はギルマスの部屋に入るや否や挨拶も無しに言った。


「なんだい、ギルガメッシュ。朝から呼び出しか~?」


ギルドマスターのギルガメッシュはマホガニーの机で書類に囲まれていた。


相変わらずのようだな。


なんでギルマスってこんなに事務仕事が多いのだろう?


そう言えばギルマス以外がデスクワークをしているところをほとんど見たことがないぞ。


もしかして、ギルドの事務仕事のほとんどをギルガメッシュが一人でやっているのかな。


まさかね……。


そして、書類に目を通していたギルガメッシュが仕事の手を休めずに言ってくる。


今手にしている書類から視線を外さない。


「呼んだのは朝だぞ。昼過ぎまで何をしていた?」


「ちょっと仕事だ。それに呼び出しの伝言を聞いたのは今さっきだぞ」


俺は勝手にソファーセットに腰を下ろす。


そしてズボンを膝まで下ろした。


「まあ、いい──。それよりもだ。町作りはどうなってる?」


畜生……。


ズボンを下げたのに見ていやがらねえ……。


「順調だが、いろいろ困ってる」


「それは普通は順調とは言わんぞ」


「兎に角、資金不足に人材不足だ。資材だけは天然から取り放題だけどな」


「なるほどな。まあ、頑張れ」


「そこでギルマスにお願いがある」


すると書類を見ていたギルガメッシュの目が俺を見た。


「なんだ?」


「引退したヤツでいいから、土木の指導員を探してるんだ。夜勤専門でな」


「夜勤専門の土木指導員だと?」


俺の言ったことを反芻しながらギルガメッシュが椅子から立ち上がる。


そして、ズボンを膝まで下ろす。


「そうだ、深夜の時給は1.25倍にするからさ。肉体労働は無しでいいから、指導だけしてもらいたい」


「分かった、当てが二三あるから当たっておいてやろう」


「サンキュー!」


流石は顔が広いギルマスだぜ!


こんなに話が直ぐに進むとは思わなかった。


「では、代わりに俺からの依頼だ」


「依頼?」


言いながら今度はギルガメッシュがパンツを膝まで下ろした。


ちっ、やりおるわい……。


「そうだ。冒険者ギルドからの冒険の依頼だ」


「なんか久々だな。冒険者ギルドからの依頼ってさ~」


俺が思いに耽っているとパンダゴーレムが紅茶を出してくれた。


そう言えばうちのパンダゴーレムがお茶出しをしてくれたことは一度も無いよな。


やっぱり頭が壊れているんだ。


まあ、ガイアの子守りができていれば十分か──。


そんなことを考えながら俺もパンツを膝まで下ろした。


パンダゴーレムが無言のまま部屋から出て行く。


無反応がちょっと寂しい。


「今回の仕事先はゴモラタウンだ。依頼人はワイズマン殿を頼って来た貴族だそうな」


「えー、貴族か~。なんかムカつくヤツだったら殴るよ、俺」


ギルガメッシュが股間を手で弄りながら言う。


「その人物がムカつくかムカつかないかは知らんが、金にはなる仕事だぞ」


俺も股間を弄りながら訊く。


「仕事の内容と、依頼料はいくらだい?」


「仕事内容は分からないが、ワイズマン殿が推薦するだけの内容だろう。依頼料は破格の300000Gだ」


「引き受けた!!」


うん、即決だ。


300000Gならどんな依頼でも受けられるし、どんな糞野郎が依頼人でも受けられるぞ。


もう、おっきしそうなぐらいの依頼料だぜ!


いや、今おっきしたら不味いぞ。


勝負に負けてしまう……。


「よし、決まりだ。ならば明日にでもゴモラタウンに旅立て。最初はワイズマンを訪ねるといいだろう」


言いながらギルガメッシュが腰を左右に激しく振った。


雄竿がパンパンと音色を奏で出す。


「了解した。じゃあ夜間指導員の件は頼んだぞ。あとはスカル姉さんと話し合ってくれ」


言いながら俺も腰を左右に振って雄竿で単調な音楽を奏でた。


「分かった」


俺はダンスを止めてティーカップの紅茶を一気に飲み干す。


少し熱かった。


でも俺は、出された物を残さない主義なのだ。


「ほいじゃあ、俺は行くぜ。ギルガメッシュ」


仕方無いので俺はパンツとズボンを上げた。


今回は引き分けであろう。


まあ、負けるよりましだ。


「それとだ──」


「んん?」


俺が部屋を出て行こうとすると、ギルガメッシュが話を続けた。


まだ、パンパンっとしている。


「俺の後継者候補の話を昔したよな」


「ああ、何人か居るんだろ?」


まだギルガメッシュは腰を左右に振り続けている。


なんて持久力だろう。


やりおるな……。


「その内の一人が殺された」


「なんか、物騒な話だな……」


話すギルガメッシュは横振りから立て振りに変えながらも言葉を続けた。


音色も変わる。


「冒険先で何者かに襲われて、一人だけ生き残ったが、パーティーごと壊滅だ」


出入り口前に立つ俺は、少し考えてから言う。


「それは冒険に失敗したとか、野盗に襲われたとかじゃあないのか?」


「生き残ったパーティーメンバーの話だと物取りでは無かったようだ。遺品が奪われていなかったそうなのだ。それに野盗風情に遅れを取る連中でもない……」


深刻に話続けるギルガメッシュの腰が回転を始めた。


ギルガメッシュの雄竿が車輪のごとき速さで回転している。


速い!


なんてヤツだ!!


それでも俺は冷静を装った。


「じゃあ、モンスターに殺られたとかじゃね?」


「分からんが、私が目を掛けてた連中だ。そうそう殺られるヤツラじゃあ無かったと思うんだがな……。まあ、何も証拠が無い話だ。だが、お前も気を付けろよ」


伸びた!?


伸びたぞ!!


回転するギルガメッシュの雄竿が倍の長さに伸びながら回る。


れ、冷静に……。


冷静を保つんだ!!


「そ、それを言うなら、あんたもな。何せアマデウスの野郎に狙われて居るのはあんただろ」


「まあ、そうなんだがな──」


速い、長い、凄い!!


なんてヤツだ!!


信じられんぞ!!


「と、兎に角俺はゴモラタウンに旅立つぜ、じゃあな……」


俺は逃げるようにギルマスの部屋を出た。


そこで膝から崩れる。


負けた……。


完敗だぜ……。


こうして俺は旅立つことをスカル姉さんに告げたあとにソドムタウンを逃げるようにアキレスで飛び出した。


アキレスで夜通し走れば朝までにゴモラタウンに到着できるだろう。


俺は悔しさをかき消すようにひたすらにアキレスを飛ばした。


もっと男を磨かなければと強く思いながら──。



【つづく】

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ