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第391話【謎のビキニアーマーダンジョン】

「おおーーらっ!!」


俺はジャイアントビキニスコーピオンの顔面に槍を突き刺すと、力任せに持ち上げる。


そして鰹の一本釣りのように、勢い良く後方に投げ飛ばした。


「キィーーー……」


背中から落ちたジャイアントビキニスコーピオンは、手足をバタつかせて踠いたが、直ぐに動かなくなる。


昆虫のお腹って良く見るとキモイよね……。


そんなことよりも。


「よし、壊滅だ!」


十数体居たジャイアントビキニスコーピオンはすべて撃破したぜ。


正直なところ弱いな。


壁の中の森で出会った昆虫に比べると、知能が低い分だけ弱かった。


ただ大きいだけのサソリに遅れは取らない。


その証拠にほとんど経験値を確保できなかった。


どうやらレベル差があると、獲得できる経験値も低く修正されるようだ。


ジャイアントスコーピオンだと初級冒険者なら強敵だろうが、今の俺だと卒業したモンスターレベルだろう。


この程度だと、幾ら狩っても腹の足しにならない。


「ちっ……、しかもこいつらのビキニアーマーはノーマルじゃあねえか……」


ジャイアントスコーピオンの身体に絡み付いていたビキニアーマーを調べたが、すべてが普通のアイテムで、マジックアイテムじゃあなかった。


「でも、全部が同じようなデザインだな」


よくよく見てみれば、ビキニアーマーは色こそ違うが、ほとんどが同じようなデザインのビキニアーマーだった。


アマゾネスゾンビの物も、変態ビキニトロールズの物も、このジャイアントビキニスコーピオンの物も、ほぼほぼ同じような物っぽい。


おそらく製作者が同じではないのだろうか。


そのあと俺は洞窟内を探索して冒険者の死体を見つけた。


死体はサソリに食われてボロボロだったが、頭蓋骨とスタッフ、それにバックパックが無事だった。


そして、スタッフはマジックアイテムで、バックパックの中に魔法のスクロールが2枚と僅かな金貨が入っていた。


ありがたく頂いて行く。


俺は頭蓋骨に手を合わせてそこを去った。


「さて、この洞窟エリアはこんなもんかな……。戻ろう」


俺は左右に別れた階段まで戻ると続いて左の階段を下って行った。


また分厚い木の扉だ。


トラップは無い。


でも、鍵が掛かってる。


鍵穴から向こうを覗くが暗い。


耳を当てて音を聞いたが何も聞こえない。


ルーティン終了。


よし、鍵を開けるぞ。


「んん~~……」


今度の鍵はちょっと難しいな。


なかなか開かないぞ。


──よっと、よし開いた。


俺はそぉーーっと扉を開けた。


また洞窟だ。


だが、今度の洞窟は少し寒い。


ひんやりした空気が流れている。


「まあ、気にせず進むかな」


俺はランタンの明かりを頼りに洞窟内を進んだ。


「ぬぬ、妖気だっ!」


俺の霊感スキルが反応したぞ。


この先にアンデッドが潜んでいるな。


俺は異次元宝物庫から対アンデッド用のロングソード+2を取り出した。


【ロングソード+2。攻撃速度向上。アンデットにダメージ特効向上】


霊気はあまり強くないな。


敵は雑魚かな?


たぶんレイスかワイトだ。


この霊気の弱さならワイトだろう。


案の定だった。


先に進むと緑色に淡く輝く霊体が数体居る。


その奥に祭壇が在った。


その祭壇を拝むように四体のワイトが片膝をついている。


その姿はローブを纏った司祭の亡霊のようだった。


死んで悪霊に下っても神を崇める司祭って、なんだよ?


邪神でも崇めているのかな?


まあ、いいさ。


バックスタブだ。


俺は拝むワイトを後ろから襲った。


背後から一体のワイトを袈裟懸けに切りつける。


『ギィァアアア!!』


俺に背中を切られたワイトが断末魔を上げて仰け反った。


そして、振り返る。


その姿は面白かった。


前を向いたローブの中は素肌にビキニアーマーだったのだ。


しかも美女ならぬオッサンだ。


「やはり、こいつらもかよ!!」


俺に切られたワイトが霧となって消えると残りの三体が飛び掛かって来る。


もちろんそいつらもビキニアーマーのオッサンたちだ。


うん、死んで良し!


死んでるか?


「そら、そら、そらっ!!」


切って、突いて、また斬って!!


俺の綺麗な三連攻撃があっさり司祭ビキニワイトたちを葬った。


三体同時撃破だ。


一体につき一撃である。


三体のワイトが霧となって消えた。


容易い、容易過ぎるぞ……。


ちょっと詰まんない~。


それにしても霊体系のアンデッドなのに、何故にビキニアーマーなんだ!?


しかもオッサンだぞ!?


どこまでこのダンジョンはビキニアーマーなのか?


気を取り直した俺は祭壇を漁る。


祭壇には差ほど大きくもない石像がひとつ在った。


15センチ程度の女神像っぽい石像だ。


それもビキニアーマーを纏っていた。


「偶像物までビキニアーマーとは、徹底したビキニアーマー祭りだな!?」


この洞窟もここで行き止まりだった。


マジックアイテムは、このビキニアーマーの石像だけである。


と、言うか、これって出来の悪いフィギュアじゃね?


まあ、マジックアイテムなら持ち帰るけれどね……。


それにしても、なんなんだ、本当にこのダンジョンは………。


右に行ってもビキニアーマー、左に行ってもビキニアーマーじゃあねえか……。


疑問は残るが仕方無いので俺は上に戻った。


最初の通路に帰ると奥を目指す。


すると最初の通路の奥は行き止まりだった。


「そんな馬鹿な……」


俺は隠し扉が無いか調べる。


三方向の壁には隠し扉が無い。


床にも無い。


ならばと俺は天井を調べる。


有った。


天井の隅のブロックが動く。


いや、このブロック自体がボタンなのかな?


もしかしたらトラップかも知れないが、俺は槍を使ってぼたんを力強く押した。


するとゴゴゴゴっと音がなると天井の隠し扉が開いた。


続いて開いた天井の奥から折り畳み式の階段が伸び降りて来た。


米国の家庭で天井裏の物置に入るための仕組みに良くにている階段だ。


俺は警戒をしながらも階段を上った。


俺の体重に木製の階段がギシギシと軋む。


そして俺が天井の穴から上の階を覗きみれば、そこは再び通路だった、


後ろは壁で、前に通路が続いている。


俺はランタンの明かりを頼りに先に進むのだが、あることに気がついた。


「この床、掃除されてね?」


俺は屈んで床を舐めるように見た。


間違いない。


この床は箒か何かで掃き掃除されている。


今までの通路のように微塵も埃が溜まっていない。


「奥に何か居るな。しかも掃除をするほどの綺麗好きで知的な生命体だ……」


そして、最大の予想を俺は口に出した。


「そいつは間違いなく、ビキニアーマー姿だ!」



【つづく】

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