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第390話【ビキニアーマーがすべてに繋がる】

「畜生、この棍棒……、マジックアイテムだ……」


ビキニトロールが持ってた棍棒はノーマルだったのだが、ノーブラトロールが持っていた棍棒はマジックアイテムだった。


木の棍棒だぜ……。


棍棒ごときをマジックアイテムになんかしなくってもいいじゃんか……。


作ったヤツは誰だよ!?


まあ、折角だから貰って帰るけれどね。


それにしても、最悪は逃れた。


変態トロールたちが来ていたビキニアーマーがノーマルだったのだ。


それが幸いだったと言えよう。


これがもしもマジックアイテムだったらキモイ岩デブの体からビキニアーマーを脱がさなきゃならなかったのだ。


正直それは罰ゲームだよね……。


想像しただけで鳥肌が立ちそうだ。


マジでやりたくない……。


「さて、先に進むか」


俺はランタンを拾い上げると先に進んだ。


ダンジョンの先は迷路状態だった。


複雑に道が別れているは、何度も曲がっているは、わざと同じような景色の部屋をよういしてるはで、本当に困惑する作りだった。


設計した人物の性格の悪さが分かるほどである。


しかもトラップや隠し扉も豊富だった。


トラップには引っかからなかったが、解除するのに面倒臭くてイライラする。


更に隠し扉を注意しないと見逃すので精神力を削る思いだった。


隠し扉なんて見つけられなければそれでもいいのだが、折角ダンジョンに入ったのだ、隅々まで漁りきりたいって言う俺のポリシーが、地道に捜索させるのであった。


これは性分だな。


仕方ない──。


それにしても、意外とモンスターは少ないな。


最初のアマゾネスゾンビとビキニトロールを撃破して以来、モンスターらしいモンスターとは遭遇していないのだ。


遭遇したのは小さなカマドウマやムカデぐらいである。


そして、なんやかんやで最初の隠し扉を進んでから2時間から3時間ぐらいダンジョン内を放浪していた。


「このエリアはこれだけか……」


ハズレだ。


このエリアはハズレのエリアだ。


「時間の無駄だったな。しゃあないか、最初の通路に戻るしかないか……」


俺はチョークでマーキングした目印を辿って最初の通路に戻る。


「結構広いぞ、このダンジョンは……」


それにしても、思ったより広いな。


このペースでハズレのエリアが続いたら、ダンジョンすべてを漁りきるのに何日も掛かりそうだ。


まあ、保存食も有るし大丈夫か──。


ただ、転送絨毯が無いのだ。


まさか今日こうしてダンジョンに挑むとは思っていなかったから、転送絨毯は診療所と魔王城に置いてきてしまった。


グラブルから大型転送絨毯を貰ったから、帰ったら取り替えよう。


その大型転送絨毯も、スカル姉さんの診療所に置いて来たのだ。


今ごろゴリたちが敷いていてくれると助かるのだが──。


……甘いかな?


まあ、それはあとだ。


今はこのダンジョンに集中せんとな。


俺が最初の通路を先に進んでいると、再び隠し扉の気配を感じる。


また、空気が漏れている壁が有る。


「本当に隠し扉が多いダンジョンだこと」


俺は隠し扉の開閉ボタンを見つけ出すとポチっと押した。


隠し扉がゴゴゴゴっと自動で開く。


またハズレかも知れないな進むしかない。


進まなければ漁れないのだ。


漁らなければ墓荒しの名が廃るってもんだ。


兎に角、探索あるのみである。


「さて、今度は……」


俺が隠し扉の奥を覗けば先は下りの階段だった。


緩く右に曲がっているようだ。


「今度は下に参りますってか」


俺はユルリユルリと下に進んで行く。


「おっと、トラップだ」


階段の一段がトラップの作動ボタンになっている。


壁を調べたら穴が有った。


ここから矢か槍かが飛び出す仕組みだろう。


今回のトラップは解除できない複雑な仕組みだったので、引き金となる階段の煉瓦をチョークでマーキングして進んだ。


そして階段を下って行くと、階段は右と左に別れる。


「まずは右からだ」


俺が右の階段を下って行くと木製の厚い扉に行き当たった。


「扉にトラップは無い。でも、鍵が掛かってるな」


俺は鍵穴から奥を覗く。


向こうは暗い。


続いて扉に耳を当てて音を確かめる。


無音だ。


扉の向こう側を偵察した俺は、それから鍵開けを試みる。


鍵開けスキルは習得していない。


だから俺本人の技術で鍵開けに挑戦した。


ヒルダに教わった通りに鍵開けにチャレンジする。


少し時間が掛かったが、なんとか鍵を開けられた。


そして、そぉーーと扉を開ける。


部屋の中は暗い。


俺が部屋の中をランタンで照らすと、そこは洞窟だった。


幅5メートル、高さも5メートルほどだろうか。


そんな感じの洞窟が奥に続いている。


「このエリアは予算が足りなくって、自然を生かした作りになっているのかな?」


俺はランタンを片手に洞窟を進んだ。


足場が悪い洞窟だった。


大小の岩が散らばり段差が激しい。


道もクネクネとしている。


「んー?」


洞窟を進んでいると広いスペースに出た。


何かの気配を感じる。


大きな岩が幾つも在り、その影からカサカサと嫌な音がする。


聞き覚えがあるタイプの音だった。


壁の中の森で何度も聞いた巨大昆虫が這う音である。


「昆虫系のモンスターが居るな……。虫なら、これかな」


俺はランタンを岩の上に置くと、異次元宝物庫から対昆虫系の武器を取り出した。


【ショートスピア+2。攻撃力の向上。インセクト特効】


さて、スピアはほとんど使ったことが無いが、良い機会だから使って見よう。


俺は両手で手槍を持つと矛先を前に向ける。


すると前方の岩陰で複数の影が動いた。


「来るっ!」


岩陰から複数の影がワラワラと這い出て来た。


大きくって平べったい体格に複数の細い足。


黒鉄のようなドス黒い甲冑のような甲羅に二つの大きな鋏。


尻尾は高く鎌けた毒針だ。


巨大なサソリである。


ネーム判定をして見ると【ジャイアントスコーピオン】っと出た。


そんな大きなサソリが複数岩陰から這い出て来たのだが……。


「なんか、体に絡まってるぞ?」


全部のジャイアントスコーピオンの鋏や足、はたまた毒針に、何やら鉄や布切れが絡まっていた。


目を凝らして良く見てみれば、それらはすべてビキニアーマーだっだ。


すべてのジャイアントスコーピオンの体に、ビキニアーマーが一着ずつ絡み付いている。


俺は脱力しながらぼやいてしまう。


「なんで~、ビキニアーマーがぁ~……」


中には両鋏をブラ紐に通して眼前を隠しているベストスタイルなヤツまで居やがる。


「なるほどね……」


これで分かったことが出来た。


今回の話のテーマと、このダンジョンの特徴が……。


「すべてはビキニアーマーに繋がるんだ……」



【つづく】

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