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第374話【グールグループとの決着】

「グルグルグルゥ!」


巨漢オークグールが片足で足元の死体を蹴り払う。


足の踏み場を作ってやがるぞ。


やっぱりグールってゾンビと違って賢いんだな。


だから背中に潜んで居たゴブリングールは、今の今まで姿を隠していたんだ。


確実に殺れると思った時にしか出て来ないって戦法かよ。


さて、どうするかな……。


作戦らしい作戦が今一思いつかない。


マントの中に潜んで居るゴブリングールが、どう動くか予想がつかないせいだ。


先が読めない……。


読めないなら考えない──、かな。


行き当たりばったりで行くしかねえか。


「それっ!」


俺は思い付きで動いた。


戦斧を足元に振り下ろし、死体の首をスパリと跳ねる。


その切断されたオークグールの首を足の甲に乗せるとサッカーボールのように蹴り上げた。


リフティングだ。


俺って上手いな。


もしかしたら前世はプロサッカー選手だったんじゃね。


「それっ!!」


そしてボレーキックで生首を蹴り飛ばす。


蹴り飛んだ生首が巨漢オークグールの上半身に迫る。


それを巨漢オークグールが反応して、兜割りで頭を真っ二つに斬り裂いた。


「そりゃっ!!」


今度は俺が飛んでいた。


横振りの斧で巨漢オークグールの首を狙う。


巨漢オークグールは斧を振るったばかりで反応できない。


俺の振るった戦斧が喉に刺さったインセクトクローナックルのお尻を強打した。


「グッハァッ!!」


更に深く鍵爪が食い込むと喉や口から汚い血が飛び散った。


まあ、この程度で決まらんだろう。


俺はそのまま巨漢オークグールの横を走り過ぎる。


そして背後から広い背中に一撃を入れた。


「それっ!!」


「ギィア!!」


マントの中から悲鳴が聞こえた。


すると千切れた腕と、片腕を失くしたゴブリングールがマント内から落ちて来る。


「ハロー」


「キィーーー!!」


片腕を失くしたゴブリングールが狂ったように飛びかかって来た。


「おっと!」


しかし俺は戦斧の一振りで反対の腕も斬り落としてやった。


「ヒグゥーー!!」


それでも怯まないゴブリングールは、一度着地すると更にジャンプして飛び掛かって来る。


どうやら噛み付くつもりらしい。


だが、俺はバトルアックスで盾を作る。


その盾にゴブリングールが顔を激突して止まった時であった。


巨漢オークグールが振り返りざまにグレートアックスを横一文字に振るったのだ。


その一振りがゴブリングールの胴体を、軽々と真っ二つに斬り裂いた。


あら、まあ、同士討ちだ。


上半身と下半身がお別れしたゴブリングールが地面に転がった。


「キャン!」


アンデッドだけあって死んでいないが、両腕と下半身を失くしたゴブリングールは芋虫のように踠いている。


俺はそんなゴブリングールを無視して巨漢オークグールに向かって再び飛んだ。


「それっ!」


俺の飛び蹴り。


足刀で顔面に刺さっているダガーを押すように蹴り付ける。


ダガーが更に深く刺さった。


それでも巨漢オークグールは止まらない。


巨漢オークグールはグレートアックスを袈裟斬りに振るって来る。


俺は上半身を斜めに反らして大型戦斧を躱す。


そしてバトルアックスで巨漢オークグールの膝を外側から打ち殴った。


「りいぁ!!」


手応えが有った。


ガンっと派手な音が鳴ると、太い足の膝関節が、曲がらない方向にぐにゃりと曲がった。


「うしっ!」


バギリと鈍い音が聞こえたぞ。


骨が折れたな。


それでも巨漢オークグールは、倒れる瞬間にグレートアックスを振るう。


俺はその一打を飛んで躱すとバトルアックスを空中で振り上げた。


巨漢オークグールは腹這いに倒れる。


その背中に向かって降下する俺は、延髄を狙ってバトルアックスを振り下ろした。


「首を跳ねてやるぞ! ヘルムクラッシャー!!」


だが、マントの中から新たなゴブリングールが飛び出して来た。


えっ!?


二匹目だと!!


「シャーーー!!」


二匹目のゴブリングールがダガーを俺の体に突き刺した。


左肩の付け根にダガーが刺さる。


ちっ、丁度鉄腕の付け根だった。


痛いっ!


それでも浅い!!


「ライトニングボルト!!」


「ギィァアアア!!!」


電撃魔法を至近距離で食らったゴブリングールの体がスパークしながら吹き飛んだ。


丸焦げになった死体が壁まで飛んで激突する。


まさか二匹も隠れて居るなんて思わんかったわ。


「グルッ!!」


「うわっ!?」


組みつかれた!?


片足で立ち上がって来た巨漢オークグールに抱きつかれる。


ベアーハッグだ。


臭っ!!


スゲー臭うぞ!!


「ウガアーー!!」


俺の体が怪力で締め上げられる。


力む巨漢オークグールは片膝立ちだ。


俺の両足は地面についているし、両腕はフリーだった。


まだ戦斧も手にある。


だがここは派手に決めたい。


俺は戦斧を捨てると、体を締め上げる巨漢オークグールの両腕に自分の両腕を回して抱え込む。


「閂スープレックスだ、こん畜生!!」


しかし、重い……。


やべ、投げられないかも……。


ちょっとまずったかな……。


俺が若干の後悔をしていると、巨漢オークグールの背中からダガーを持った細い手がニョキっと見えた。


えっ……、三匹目が居る!!


不味い、マジで早く投げないと!!


俺は全力で踏ん張った。


「おりゃぁああああ!!!!」


巨漢オークグールの体が浮いた。


背を反らした俺の臍に乗っかって、頭から後方に落とされる。


「閂式反り投げの成功じゃあ!!」


ゴンっと鈍い音が響いた。


巨漢オークグールは脳天をモロに石畳の上に打ち付けたのだ。


「ふぅ~~」


安心感から溜め息が出た。


巨漢オークグールの腕力から解放された俺が立ち上がる。


まだ巨漢オークグールは動いていた。


それでも動きが鈍い。


痙攣しているな。


アンデッドでも脳震盪ってするんだな。


俺は片足を高く上げた。


その足を倒れている巨漢オークグールの顔面に刺さったダガーに落とす。


踏みつけられたダガーが更に深く刺さって根元まで見えなくなる。


それで巨漢オークグールの動きが止まった。


その寝そべる背中に、巨漢で潰された三匹目の腕が見える。


動いていない。


「ふう……。これでグールどもは殲滅できたかな……」


できてたらいいな。


ちょっと疲れたわ~。


肩の傷にセルフヒールしとこっと。



【つづく】

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