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第330話【スケールレザーブラ】

【スケールレザーブラジャー+2。強度の向上。魅力の向上】×三着。


スカル姉さんはスケールブラを両手で持ちながら言った。


「ほほう、これがプラス2のマジックアイテムだとはな。卑猥だが金にはなりそうだ」


俺は投げ付けられたソファーの下敷きになったまま言い返す。


「おいおいおい、人からプレゼントされた物を行きなり売る算段ですか。本当にスカル姉さんはガメツイな!」


「寝ぼけたことを抜かすな、エロガキが。花も恥じらう年頃の女性三人に、行きなりブラをプレゼントするなんてセクハラだぞ」


「なーーにが花も恥じらうだ! スカル姉さんなんてカビが生えてる年頃だろうが!!」


「何を抜かすか、こいつめ!!」


「げふっ!!」


スカル姉さんが俺の上に在るソファーを踏みつける。


重い!


この肥満ババァが!!


スケールブラを人差し指に絡めてクルクルと回すユキちゃんが訊いて来た。


「ところでアスラーン。このブラにはどんな魔法が掛かってるんだ?」


俺はソファーの下から答えた。


「三着とも同じ魔法が掛かってる。強度の向上と魅力の向上だったかな、確か」


「「「魅力の向上」」」


三人の女性が声を揃えた。


それからスバルちゃんが言う。


「ドクトル、これはもしかしたら素晴らしい贈り物かも知れませんよ……」


「だな……。この糞ガキがプレゼントするくらいだからゴミアイテムかと思っていたが……」


「ひーでー……」


俺に背を向けているユキちゃんが言う。


「どれどれ、早速装着してみますか……」


そして臍出しルックの上着を脱ぎ出した。


ソファーの下敷きで床にヘタレ込んでいる俺には背中しか見えない。


畜生!!


ソファーが邪魔だ!!


なんかこのソファー、やたら重たくないか?


あっ、スカル姉さんが踏みつけたままかよ!!


このデブ女の全体重が乗ったままかよ!!


「ちょっとユキさん! アスラン君も居るのですから、ここで着替えないでくださいよ!!」


「いや、あたいは別に見られても構わないぞ?」


「ダメです! 私が構います!!」


「なんで?」


「いいからここで着替えないで!!」


「イタタタっ! 乳首を乱暴に捻るな!!」


「乳首を捥がれたくなければ、ここで着替えないで!!」


乳首って、捥げるん??


「分かった、分かったよ!!」


しぶしぶながらユキちゃんは着替えるのを止める。


ちっ、欲しかったな……。


あー、ちょっと胸がズキンズキンする……。


スカル姉さんが俺の上のソファーに腰かけながら言った。


「だが、しかしだ──」


「なんですか、ドクトル?」


「この魅力向上能力を試して見たいものだな」


「「はい!」」


乙女二人が声を揃えて返事をした。


するとスカル姉さんが顎を撫でながら提案する。


それより、いいから俺の上から降りろよ……。


「そうなると、やはり装着するしかないだろう……」


「「そ、そうですよね……」」


俺はソファーの下から小声で述べた。


「俺に構わず装着してください」


スカル姉さんは俺を見下ろしながら歯切れ悪く言う。


「だが、しかしだな……」


「だが、しかしも何も無いよ、スカル姉さん」


「っと、言うと?」


「俺は水着姿が見てみたい!」


ズッキューーーーン!!!


っと、心の音が響いた。


どうやらスバルちゃんとユキちゃんのハートを無意識に射ぬいてしまった音らしい。


スバルちゃんは赤面して俯き、ユキちゃんはモジモジとしていた。


いや、俺的には少女たちの水着姿が拝みたかっただけなんだけどね……。


「アスランがそこまで言うなら、あたいは水着ぐらい、やぶさかじゃあないぞ」


「わ、私だってアスラン君になら水着姿ぐらい見せられるわ……」


「じゃーー、見せておくれよ!!」


勢いのまま俺は少女たちを煽った。


何せ少女の水着姿が見てみたい。


「じゃあ、着替えるぞ……」


「ユキさん、奥の部屋で着替えましょう……」


「ああ、わかった……」


二人はオズオズと奥の部屋に入って行った。


てか、スカル姉さんは俺の上のソファーに座ったままだ。


「あれ、スカル姉さんは着替えに行かないの?」


「えっ、なんで私まで……」


「俺は見てみたいな。スカル姉さんの水着姿を」


ニコリと俺は微笑んだ。


「ほ、本当にか……?」


「うん、マジで」


そう言いながら俺は爽やかに微笑んだ。


すると視線を反らしたスカル姉さんが、やっと俺の上のソファーから降りてくれた。


「分かった、私も奥で着替えて来るぞ……」


スカル姉さんもスタスタと奥の部屋に進んだ。


んーー、これはなんか可笑しな展開に進んでいるぞ。


スバルちゃんの水着姿は見たいがユキちゃんとスカル姉さんの水着姿までは、そんなに見たくないしな~。


どうすっかな~。


面倒臭いことになる前にバックレようかな~。


「そうだ~」


俺はソファーの下から這い出ると部屋の隅に移動した。


そこで俺はインビシブルマントを取り出し頭から被って潜んだ。


ちゃんと消えているかの実験である。


やがて三人が恥ずかしそうに奥の部屋から出て来る。


先頭はユキちゃんだった。


「二人とも何を恥ずかしがってるんだ。早く来いよ」


「ユキさんは恥ずかしくないんですか!」


「なんでさ。 だって見るのは将来の夫だぞ?」


おい、ガチムチ娘、誰が将来の夫だ!?


「でも、ちょっと恥ずかしいな……」


「ドクトルも照れてないで早く来いよ」


ビキニブラを装着したユキちゃんが、恥ずかしがる二人の腕を引いて部屋から出て来る。


「いいから、早く来いよ。あたいだって一人だと恥ずかしいんだからさ!」


「あーー、もーー、引っ張るな!!」


「分かりました、分かりましたわ!!」


そして三人がリビングに戻ると俺の姿は消えていた。


そう、部屋の隅に居るんだけど、インビシブルマントで文字通り消えているのだ。


「あれ、アスランは?」


「アスラン君、どこに言ったのかしら……」


どうやらちゃんと消えているらしい。


実験成功である。


「あの野郎、バックレたな!!」


憤怒に任せてドンっとテーブルを叩くスカル姉さん。


うわっ、怖いぞ……。


「「「はぁ~……」」」


三人はビキニブラ姿のまま深い溜め息を吐くと、力無くソファーに腰を落とした。


スカル姉さんが天井を眺めながら言う。


「私たち、何をしてるんだか……」


「まったくですね、ドクトル……」


「あたいの魅力がアップした姿を見てもらいたかったな、ダーリンにさ~」


スカル姉さんが凄んで言った。


「このお礼はどうするよ、二人とも!?」


ユキちゃんが真顔で答えた。


「力任せに生皮を剥がす……」


酷いことを言うな、このガチムチガールはさ……。


今度は俯いたままのスバルちゃんが小声で呟いた。


「殺す……」


うわっ、マジっぽくて怖いわ!!


やーべー……。


完全に出るタイミングを見失ったぞ……。


今出たら殺されるよ……。


「二人とも、今日は野郎どもは昼に帰って来ないから、昼食でも食べて行くかい?」


「頂きます……」


「ごっちゃんです!」


「じゃあ、昼食でも食べながら作戦会議でもしますか、アスランをなぶり殺しにする会議をさ!!」


「「はい!」」


こうしてアスランは、六時間ほど部屋の隅で、どのように自分が血祭りにあげられるかの相談を怯えながら聞かされるのであった。



【つづく】

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