表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

324/602

第324話【ラミアとの決着】

ラミア三匹との戦い。


第二ラウンドの開始である。


俺の殺気感知スキルが、闇の向こうで三方向に別れる殺意を確認していた。


二体は左右に分かれて接近して来る。


剣盾のラミアと姿を消すラミアだろう。


クロスボウのヤツは前方30メートルほど先で待機していやがる。


さて、少しは作戦を変えて来るのかな?


わざわざ作戦タイムを取って、バレーボールの試合みたいに集合するぐらいだから、手の内を変えて来るだろうさ。


どう変えて来るか、若干楽しみだわ。


おそらく向こうさんも、俺が敵の大体の位置を察しているのは気付いただろう。


安易な攻撃が通じないんだもの。


あっ、殺気が強くなった。


来るぞ!!


右!


俺が右側を見ると、闇の中で僅かに何かが煌めいた。


光る矢ではないな。


刃物だ。


なにっ!!


闇の中から剣盾のラミアがこちらに疾走して来る。


「まずは接近戦からか!」


俺はロングボウを異次元宝物庫に投げ込むと、腰からロングソードを引き抜いた。


「シャ!!」


剣盾のラミアが振るったシミターを俺がロングソードの唾で受け止める。


ガンっと金属音が響いた。


「シャーーー!!」


「なろう!!」


鍔迫り合いが始まると、すぐさまラミアが丸盾で肩を殴り付けて来た。


「いたっ!!」


俺は丸盾の角で肩を殴られ後退する。


しかし剣盾のラミアがシミターを振り回しながら追って来た。


「シャ! シャ! シャ!!」


シミターの横降り縦振り斜め振りと続く連激を俺はロングソードで弾いて防ぐ。


だが、後退が続いた。


「今回は積極的に攻めてくるな!」


「シャシャシャ!!!」


俺は剣盾のラミアに押されて太い石柱に背中をぶつける。


その時である。


上からの殺気!!


石柱の真上からだ。


俺が上を見ると、光る矢が降って来た。


「わおっ!?」


俺は矢から逃れるために横へ飛ぶ。


しかし、矢は床に刺さらず俺の飛んだ方向へ直角に曲がったのだ。


「曲がるよねーー!!」


俺は左手を前に出して光る矢を弾いた。


鋼鉄と鋼鉄がぶつかり合う激しい音が響く。


まさかクロスボウのヤツが接近していたなんて思わなかったぜ。


じゃあ30メートル先に居るのは消えるラミアか!?


えっ、なに、フェイクかよ!?


やるね~!!


「シャーーー!!」


うわっ!!


剣盾のラミアが倒れている俺に追い討ちを掛けて来たわ!!


俺はゴロゴロと転がってシミターの突きを避ける。


そして、倒れたままマジックアローを唱えた。


「マジックアロー!!」


すると鏡の盾が魔法を弾いたのだ。


やはり魔法が効かないのね。


でも、完璧な反射攻撃じゃあないぞ。


鏡のように角度が存在してやがる。


たぶん正面に俺が写ってるときに魔法を放てば反射して戻って来るんだろう。


まあ、兎に角だ。


マジックアローを弾くのに、ラミアが盾を翳した隙に立ち上がれたぞ。


でも、剣盾のラミアは俺の前から離れない。


今度の作戦は、こいつがメインとして戦っている間にクロスボウとダガーで支援するって作戦なのかな。


それはそれでウザイな~。


「シャーーー!!」


んん、威嚇だけ?


あれ、なかなか攻めて来ないぞ?


待ってるな。


クロスボウの再装填とフェイクで30メートル先に残した消えるラミアがこっちに来るのを待っていやがるな。


ならば今の内に攻めるが最善だ。


俺はロングソードを振るって攻め立てた。


すると剣盾のラミアは鏡の盾で防御に専念する。


やーべー、マジで時間稼ぎしてるよ~。


こうして俺がロングソードで鏡の盾を叩いていると、異次元宝物庫からヒルダが話し掛けて来た。


「アスラン様」


「なんだよ、今は忙しいんだよ!」


「お手伝いしましょうか?」


俺は剣を振るいながら答える。


「要らん!」


「敵は三匹ですよ」


「要らんてば!」


「この程度の敵なら一人よりも二人で、二人よりも二十二人で戦えば一瞬です」


「二十二人って……。いや、マジで要らんから!」


「何故で有りますか? 何故に何時も一人で戦いたがるのですか?」


「俺は自分に厳しく生きてるんだよ。一人で戦うから成長するんだ」


「ですが、非効率です」


効率かよ──。


「これは戦争じゃあねえんだ。これが戦争で誰かを守らなければならない戦いだったら皆で戦うよ。でも、これは、俺一人の成長記だ。冒険なんだよ。だから助けは要らん。助けて貰いたいときはちゃんと言うから今は引っ込んでろ!」


「は、はい。畏まりました……」


うし、ヒルダも引っ込んだぞ。


よーーし、一丁頑張るか~~。


あっ、盾で防戦一方だったラミアが攻撃を開始しましたわ。


って、ことはクロスボウの再装填が済んで、消えるラミアもこちらに到着したのかな。


さて、次の三位一体攻撃はどんなかな~。


期待して受け止めて見せますよ。


こっちは横綱相撲ですがな!!


えっ!?


トツンって!?


俺の左肩にダガーが刺さった。


投擲ダガーか!!


「痛いっ!!」


肩の深い位置は鋼じゃあないんだよね。


際どくダガーが刺さったわ。


どふぁっ!!


シールドチャージか!?


更に大振りでシミターが俺の下半身を狙って来た。


「よっ!!」


俺はジャンプしながら後退する。


しかし、着地を狙って光る矢が頭上から飛んで来た。


しかも直接狙っていやがらねえ!


矢は俺の背後に落ちる。


そして視界外の背後で曲がった。


見えない!?


「ぐふっ!!」


貫通!?


俺の脇腹から貫通した光の矢が飛び出した。


そのまま前方に飛んで行く。


我慢!!


耐えられる、か……?


否、耐えるだ!!


「シャーーー!!」


剣盾のラミアが俺が大ダメージを追ったと思い、追撃を仕掛けて来る。


シミターを真っ直ぐ伸ばして顔面を付いて来た。


まだ動ける!


躱せる!!


躱したぞ!!


俺はシミターの突きを躱しながらロングソードをラミアの腹に突き立てていた。


ロングソードがラミアの腹に深く刺さっている。


殺ったか!?


「ギィアッ!!」


背中に激痛が走った。


また投擲ダガーだろう。


背中に刺さっているな、たぶん。


姿を消しているラミアがどこかからダガーを投げてやがるんだ。


「シャーー……」


剣盾のラミアが自力でロングソードを腹から引き抜いて後方にヨロヨロと下がる。


剣盾のラミアは口から血を流していたが、まだ戦えるようだ。


顔はベールで隠しているが、凄い殺気が感じられる。


でも、まずは……。


「ライトニングボルト!!」


俺は電撃魔法を真上に撃った。


「ギィイイイ!!」


悲鳴が聞こえた。


分かってるんだよ。


俺の頭上に陣取ってるんだろ。


するとドサリと俺の横にラミアが振って来る。


「やっと御目に掛かれたな」


「シャ……」


クロスボウを持ったラミアは体を焦がしながらヒク付いていた。


まだ生きているが、俺が背中にロングソードを突き立てた。


クロスボウのラミアは力無く崩れる。


これで、まずは一匹目だ。


剣盾のラミアが腹と口から鮮血を流しながら斬り掛かって来た。


「シャーーー!!」


おっ、まだ元気だね!!


でも、鋭さがもう無いぜ!!


あっ、俺もかな……。


えいっ!!


俺は突然にロングソードを投げ付けた。


飛んだロングソードが剣盾ラミアの頭にドツリと突き刺さる。


まさかここでロングソードを投げつけて来るとは思いませんでしたか?


てへぺろ♡


「ギィアッ!!」


痛いっ!!


また、投擲ダガーだ!!


また、背中に刺さったぞ!!


俺は腹の傷口に手を伸ばした。


スゲー出血してるわ~……。


腹の傷口から溢れ出る鮮血を手で救う。


そして、振り返りざまに救った鮮血を横一文字に勢い良く飛ばした。


鮮血が周囲に飛び散り床を汚す中で、一ヶ所だけ血痕が浮いている。


「はい、そこね!」


俺は宙に浮く血痕に向かって腰のベルトからダガーを抜いて投擲した。


一本目の命中。


「ギィァアア!!」


更に二本目を投擲。


「ギィァアアア!!!」


更に三本目を投擲。


「ヒィグググ!!!」


まあ、こいつには三本も投擲ダガーを食らったからな。


スゲー痛かったんだぞ。


お返しだわ。


更に四本目の投擲。


「ヒィーー……」


更に五本目を投擲。


「………………」


死んだかな?


【おめでとうございます。レベル34に成りました!】


よし、俺の勝利だぜ……。


はよー、ヒールしよっと……。



【つづく】

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ