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第31話【妄想夫婦】

クラウドたち三人とパーティーを組んでタババ村に出発するのは明日の朝からになった。


皆とは旅支度を整えるために冒険者ギルドで別れる。


各自がバラバラで支度に励むことになったのだ。


俺は旅立つ前に防具を揃えたくって、何軒かの防具屋を回ってみた。


しかし、今の俺の所持金では買えなかったので、仕方なく手持ちのマジックアイテムを売ることにしたのだ。


今持っているマジックアイテムで一番要らなそうな物は【魔法のバンダナ+1。歌唱力の向上】だと思う。


これをギルドに販売することにした。


値段の鑑定結果は500Gだったので売ることにした。


ちなみにスカル姉さんに売った魔法のランタンをギルドに売ったら、いくらぐらいかとカマを掛けたら500Gだと言われた。


再鑑定料や家電アイテムは買い取り手が少ないとか、いちゃもんを付けられた結果である。


どうやらスカル姉さんの言ってたことは本当のようだ。


流石は元冒険者の助言である。


次からは冒険者ギルドには、販売なんかしないぞ。


自分で買い取りてを探そうと思う。


まあ、とりあえず500Gを手に入れたので革鎧を買うことにした。


この世界の相場だと、一食が3~5Gぐらいで食べられて、宿屋の一泊が5~20Gぐらいだと言う。


貧しい生活でも一日10Gぐらいで何とか暮らせるとかで、30Gぐらいが普通の生活らしい。


ちょっと贅沢に暮らせば40~60Gらしいのだ。


だから500Gとなると、半月分の給料に近いらしい。


お陰で、そこそこの革鎧とキャンプセットが買えた。


そうなるとゴブリン退治の依頼が500Gなのに四人パーティーで分けると、報酬はかなり少なく感じる。


タババ村まで行って、ゴブリンを退治して、ソドムタウンに帰ってくるまで約八日だ。


それで一人あたり130Gだと、やはり稼ぎは少ない。


あれ、計算あってるよね?


まあ、今回の依頼は超初心者向けの仕事なのだろう。


冒険者ギルドの掲示板に、いつまでも依頼書が残っているわけである。


そんなこんなで俺が買い物を終えると辺りは随分と暗くなっていた。


ソドムタウンが賑わいを増す時間帯だ。


俺は呪いの効果を恐れてスカル姉さんの診療所に帰ることにした。


俺が荷物を背負って診療所の三階に上がって行くと、食事の匂いが漂って来た。


だが、さっき俺は、空腹に負けて外食をしてしまったのだ。


だから、お腹は空いていない。


俺は三階の住居スペースの扉を開けた。


「ただいま~」


「お帰り、遅かったな」


スカル姉さんはテーブル席に座りながら食事を前にして待っていたようだ。


テーブルには俺の分の食事も並んでいた。


「食事を作って待ってたんだぞ。早く座って食事にしよう」


「ああ、すまない。外で済ましてきた……」


俺がそう言うと、スカル姉さんは俯いた。


だが直ぐに顔を上げて言う。


「じゃあお風呂にする、それとも私にする?」


「すまない、今日は疲れたんだ。もう寝るよ」


俺がそう述べるとスカル姉さんがテーブルを叩いた。食器が跳ねる。


「何よ、あなた。最近は仕事仕事って、私よりも仕事のほうが大事なの!?」


「しかたないだろ俺にだって事情があるんだから」


「もぉ~~限界だわ!」


「なにがだよ……」


「私たち、別れましょう!」


「えっ! マジでかよ!!」


「ここに離婚届けが有るから判子を押してちょうだい!」


「何を言ってるんだよ、俺たちは神様の前で誓い合った仲じゃあないか!」


「きぃーーー! こうなったら貴方を殺して私は生きる!!」


「生きるんかい!? 一緒に死ねよ!!」


「やだ、生きる!!」


「死ね!!」


「じゃあ、私の作った食事を食べるか?」


「はい、食べます……」


「座れ」


「はい」


こうして俺は二度目の晩飯を食べた。


スカル姉さんが言う。


「あぁ~~、ええ男と結婚してぇ~なぁ~~……」


「俺も呪いが解けたら、可愛い嫁とイチャラブしてえなぁ~~……」


二人の本音が漏れる。


俺は少し胸が痛んだ。


そして俺は、明日の冒険のことをスカル姉さんに告げると寝ることにした。


明日から冒険者としての初仕事である。



【つづく】

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