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第283話【魔法使いの塔の戦利品】

俺はソファーに座りながら、新しく生えた鋼鉄の腕を眺めていた。


グーパーグーパーを繰り返しているが、なんの違和感も無い。


まさに感覚は、まるで生の腕である。


鋼鉄とは思えない。


「おーい、次はこれを運び出してくれ~」


「チーフ~、この大型水槽はどうしますか~」


「それは運び出せないだろ。まあ、置いて行こうか」


俺の眼前ではソドムタウンから転送絨毯で来た魔法使いギルドの面々たちが、魔法使いブライが残した研究成果の書物などを回収していた。


俺とゾディアックさんで交渉して、全て売り払ったのだ。


何せ塔の荷物は、魔法使いブライの死亡が確認できた段階で、すべて俺の物となったのだからだ。


まあ、魔法使いギルドの面々が荷物を取りに来る前に、マジックアイテムやスクロールはすべて回収してある。


兎に角だ。


今回はかなり金になった冒険である。


魔法使いブライの遺品は、すべてで100000Gとなった。


ほとんどが魔法研究の書類ばかりで、俺ではちんぷんかんぷんな物ばかりである。


なので魔法使いギルドが引き取って、研究を引き継ぐのが一番良いのだろう。


しかし、俺が得たマジックアイテムは、ほとんどが使えない物ばかりだった。


魔法使いブライは、魔法研究ばかりでマジックアイテムの収集やスクロールの製作は、あまり励んでいなかったのだろう。


まあ、面倒臭いので、獲得できたマジックアイテムと魔法のスクロールをダイジェストで紹介しましょう。


まずはマジックアイテムだ。


【ハチェット+1。攻撃力向上】


【ダガー+1。命中率向上】


【インセクトクローナックル+1。攻撃力向上】


【スタッフ+1。インセクトに魔法ダメージ向上】


【プロテクションリング+1。インセクトからのダメージ軽減】


【虫除けランタン+1。明かりの中に昆虫が入ってこれない】


【魅惑の髪飾り+1。魅力が小向上】


【陽気なタンバリン+1。気分を陽気にさせる】


【日除けの麦わら帽子+1。猛暑耐久向上】


【ホット毛布+1。温かさ向上】


【首を振るう赤べこ+1。首を揺らすと暇潰しになる】


こんな感じですわぁ~……。


なんだか要らない物が幾つか有ったけれど……。


まあ、要らないものでもマジックアイテムはマジックアイテムだから、売れるだろうさ……。


では、続いてスクロールだ。


今回は被った物が幾つも有ったから、俺が新しく覚えられる物だけ紹介します。


では、ダイジェストでお送りします。


【魔法ロングショットアロー。攻撃力は小。無属性。射程距離50メートルの飛翔体魔法。回数は本人レベルが10おきに、一回ずつ撃てる。発動条件は魔法名を口に出す】


【魔法ファイアーアロー。攻撃力は小。炎属性。射程距離15メートルの飛翔体魔法。回数は本人レベルが4おきに、一回ずつ撃てる。発動条件は魔法名を口に出す】


【魔法インセクトパラライズ。攻撃力は小。麻痺属性。インセクト系を麻痺させる。射程距離10メートルの魔法。回数は本人レベルが5おきに、一回ずつ撃てる。発動条件は魔法名を口に出す】


【魔法インセクトスリープ。攻撃力は大。睡眠属性。インセクト系を寝かせる。射程距離5メートル、直径5メートルの範囲魔法。回数は本人レベルが8おきに、一回ずつ撃てる。発動条件は魔法名を口に出す】


【魔法プロテクションインセクト。インセクト系からのダメージ軽減。一日に術者のレベルの5おきに一回使える。効果時間は30分間】


【魔法プロテクションポイズン。毒の抵抗率が向上。一日に術者のレベルの8おきに一回使える。効果時間は30分間】


【魔法セルフキュアポイズン。術者本人の毒を小回復させる。一日に術者のレベルの5おきに一回使える】


【魔法キュアポイズン。毒を小回復させる。一日に術者のレベルの7おきに一回使える】


【魔法マスターキュアポイズン。毒を回復させる。一日に術者のレベルの10おきに一回使える】


【魔法マスターヒール。術者本人の傷を回復させる。一日に術者のレベルの10おきに一回分の回復】


まあ、これだけ覚えられる魔法のスクロールが有ったわけだ。


勿論ながら全部覚えましたよ。


ただ、いざ戦いの場面になると、けっこう忘れるんだよね。


覚えた魔法の種類をさ~……。


まあ、その辺は慣れて行くしかないよね。


こんな魔法が有ったな~って、忘れないように努力しますよ。


さてさて、続いてはレベルアップもしているので新スキルのチェックですわん。


今回はレベル30と言う節目だから、良いスキルを習得できてるといいんだけどな~。


どれどれ、ステータス画面でも開くかな……。


あー、魔法使いギルドの人が周りに居るな……。


ちょっと塔の外に出るか。


俺はスタスタと塔を降りて行く。


すると森の中から巨大昆虫たちが覗き見ていた。


その中にはバーバラも居るし、アイラやグレーテも居た。


「アスラーン、ちょっとちょっと……」


「んん?」


俺は草むらから上半身を出して居るバーバラに手招きされたので彼女に近付く。


「なんだ、バーバラ?」


「あの人たちは、どこから来たの?」


バーバラは塔のてっぺんを指差しながら言った。


そのバーバラの髪の中からベェノムがちょこんと頭を出している。


このミミズ野郎は、本当にバーバラに寄生してやがるんだな。


そして、俺が塔を見上げれば、テラスからチラホラと作業に励む魔法使いギルドの人たちが見えた。


俺は彼女の疑問に答える。


「魔法で飛んで来たんだ」


まあ、適当だが問題無いだろう。


「彼らは塔に住むのか?」


「いや、ブライの荷物を回収したら出て行くぞ」


「じゃあ、残るのはアスランだけか?」


「いや、俺も出て行くぞ」


バーバラは少し驚いた顔をしたあとに寂しそうに俯く。


「そうか……」


「お前も俺と一緒に来るか?」


バーバラは、首を左右に振った。


「無理よ。お母様や皆を残して行けないわ……。それに、私はベェノムとつがいになるから……」


「マジで!?」


いやいやいやいや!!


ちょっと驚きですわ!!


なんで!?


マジでなんで!?


つがいって結婚して夫婦になることだよね!!


「ど、どうしてベェノムとつがいになるの……?」


「小さい頃からの約束だったの。ベェノムが人間になれたらつがいになるってさ」


ベェノムの野郎がバーバラの頭の上で「てへ♡」って照れてやがる。


イラっ!!


なんかムカツクな、このミミズ野郎が!!


こうなったら告げ口してやるぞ!!


「おい、知ってるかバーバラ」


「何を?」


「ベェノムは人間になって森を出たら、ハーレムを作ろうとしていたんだぞ!!」


くっくっくっ、ザマー!!


告げ口してやったぜ!!


この浮気野郎が~!!


「それは雄だから仕方無いよ」


なに!?


俺もそんなことを言ってくれる嫁さんが欲しいわ!!


「私とベェノムは幼馴染みなの。それで、小さな頃の約束を、私は守りたいのよ」


「いや、もう人間じゃないし! てか、こいつは人体に寄生してただけだから!!」


「でも、一度は人間になれたし、それに私もベェノムが好きだったから……。ぽっ♡」


「て、照れるな~。バーバラ♡」


イラっ!!


なに、この二匹は!?


なんなのさ!?


バーバラが草むらの中でモジモジしながら言う。


「だからアスラン。森を去る前に、私たちを祝ってくれないかな。魔法使い様に代わってさ」


イラっ!!


イライラっ!!!


プッチン…………。


あー、俺の中で何かが切れた音が聞こえたわ。


なんだろう?


スゲー冷静な気分ですわ~。


怒りを通り越したって感じかな~。


空が青いな~。


太陽が眩しいな~。


「どうしたのアスラン?」


「いや、なんでもない」


俺は清々しい笑顔で答えた。


「じゃあ、幸せになるんだぞ、バーバラ」


「「うん!」」


バーバラとベェノムが声を揃えて頷いた。


あー、そうだ。


ステータス画面から新スキルを確認するんだった。


でも、今はそんな気分じゃあないわ。


どこか泣ける場所を探そうかな。


一人で泣ける場所をさ……。


そうだ、殿様バッタちゃんに会いに行こうかな。


とりあえず、彼女に慰めてもらおう。


この際だから、殿様バッタでもいいや……。



【つづく】

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