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第117話【穴】

まずはレベルアップしたので新スキルの紹介から始めよう。


新しく覚えたスキルは二つでした。


【スライディングマスタリー。スライディングの距離が1.25倍される】


うんうん、これは役に立つよね。


スライディングは戦法の一つですから。


さて、次は~。


【モンスターネーム判定。モンスターのネームが分かるようになる】


うんうん、これも有るべきスキルだよね。


んん~~。


今回は役に立つスキルばかりだが、寂しさが積もる感じだったわ。


まあ、先は長いから、まだまだレベルアップもするだろうさ。


とりあえずネーム判定って、死体にも使えるのかな?


この殺したモンスターの名前が知りたいわ。


そんでもって新スキルを使ってみたら、名前が判明した。


どうやら死体にも使えるようだ。


モンスターの名前は【トロール】だった。


なるほどね~。


こいつが名高いトロールですか。


さて、マジックアイテムは持っているかな?


おおっ!


スクロールを持ってやがるぞ。


それにズボンのポッケにお金と宝石が入っていたな。


お金は10Gだ。


なんだろう、この黒色の宝石?


「魔力感知スキル」


おー!


この黒い宝石はマジックアイテムだな。


他には反応無しっと。


では、これは異次元宝物庫に保管ってことで~。


よし、先に進むか。


俺はその後もダンジョン内のマップを羊皮紙に書き込みながら進んだ。


念のために垂らして置いた糸にも異変は無い。


おお、これはさっきの落とし穴の上の部屋かな。


ここから落ちると、さっきの部屋で串刺しなのね。


てかよ、下なんか見えないぞ。


もう、ここから落ちたら落下死だろう。


それにしても随分と上に登ったのかな。


んん?


なんだ?


壁に小さな光が見えるな?


なんだろう。


俺が近寄って見ると、それは小さな穴だった。


そこから光が漏れ出ている。


しかも穴から白い煙りが上がっていた。


いや、煙りじゃあないな?


湯気かな?


暖かいな。


うん、湯気だわ。


近付いたら分かったぞ、これは湯気だ。


湯気が壁の向こうから漏れ出てきている。


俺は穴から奥を覗き見た。


なんだろう、部屋……だな?


真っ白な湯気で良く見えないわ。


でも、なんか音が聴こえて来るな?


いや、これは話し声かな?


しかも女性かな?


少し耳を澄まして聞いてみようか。


「メイド長様、お疲れさまです」


「あら、あなたも夜勤でしたか?」


「はい、今日はプリンセス様のお付きでした」


「あらあら、それは大変でしたね」


なんだ?


メイドの会話なの?


なんでだ?


「メイド長様は君主様がお呼びになった冒険者様をご覧になりましたか?」


「ええ、始めて謁見室に現れた時に見ましたわ」


なんか水の音がするな?


もしかして、この壁の向こうはお風呂なのか?


女湯なのか!?


てっ、ことは……。


この向こうでお風呂に入っているのはメイド長とメイドさん!?


ぐぅぁぁああああだあだたぁだだ!!


糞女神の呪いがぁぁあああ!!


落ち着け、俺ぇえ!!


無だ!!


無を感じ取れ!!


ぜぇはー、ぜぇはー!!


よ、よし、落ちついてきたぞ……。


それにしても何故にダンジョンの壁の向こうが女湯なんだよ!?


しかも、こんなところに穴が開いているとは不思議過ぎるだろ!?


この穴は神の穴か!?


ゴットホールですか!?


それにメイドさんたちは俺の話をしてますよね!!


「でぇ、どんな方でした?」


「なに、あなたも、冒険者なんかに興味が有るの?」


「だって冒険者って、逞しいイメージがあるじゃあないですか~」


「謁見室に来た冒険者はお子様でしたわよ」


おいおい、俺をお子様扱いですか。


メイド長様は、老いた婆ですか?


「メイド長様から見てお子様だったってことは、まだおち◯ちんに毛すら生えてない子供でしたか……」


「いや、さすがにそこまでお子様じゃあなかったけれど、まだまだ子供っぽかったってだけですよ」


「あら、そうなんですか~」


なに、じゃあまだメイド長様も若いのか。


「でも、何しに来ているのかしら。泊まり込みまでして」


「なんでも北の裏庭に居るらしいわよ」


「北の裏庭って、オンボロな詰所が在る場所ですよね?」


「そうらしいわよ」


「なんで、あんなところに?」


「さあね。私は上がるわよ、アンナ」


「メイド長様、私も上がりますわ」


二人が湯から上がって気配が消える。


んー、俺って案外とお城内で有名人?


注目の人物なの?


少なくともアンナちゃんは俺に興味津々だったよね。


これってもしかして!!


恋の始まりか!?


チャンスか!?


よし、まだエロイことは想像していないぞ!!


これなら行けるか!?


ならば冒険は中止だ!!


直ぐに地上に戻ってアンナちゃんにアタックだ!!


俺は糸をそこで千切ると引き返す。


ルンルンのウハウハ気分でダンジョンを出た。


俺が出入り口に戻るとパーカーさんが待っていた。


「よ~、アスランくん。無事に戻ったのかい」


「なあ、パーカーさん!」


俺は階段を駆け登るとパーカーさんの両肩を掴んで訊いた。


「あんた、アンナって言うメイドさんを知ってるかい!?」


「な、なんだよ、血相を変えて?」


「知ってるかどうかだよ!?」


「アンナってメイドなら知ってるぞ。食料を調理場に取りに行った時に、何度か話したことがあるが……」


「可愛いか!?」


「え、アンナがかい?」


「そうだ、アンナちゃんは可愛いかって、聞いているんだよ!?」


「可愛いかどうかは人によると思うが……」


「あんたから見てどうなんだ。可愛いのか!?」


「ちょっと太り過ぎかな~」


「えっ……」


「だから、太り過ぎだと思うが?」


「デブですか?」


「うん、デブだな」


俺は踵を返してダンジョンに向かった。


「あれ、またダンジョンに入るのか?」


「うん、だって仕事だもの……」


覚めきった俺は、こうして仕事に戻ったのである。


男は真面目に働かないとね。


仕事は大事である。



【つづく】

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