第11話【勝利の報酬】
俺の骨の棍棒+3が折れたうえに砕けた……。
コボルト二匹に勝利して、レベルアップもしたけれど、折れた……。
俺の心も折れた……。
膝から崩れる。
うつ向いた俺の視界に、片目が飛び出したコボルトの横顔が入って来た。
「キモっ!!」
畜生。めげてばかりもいられない。
冒険をしてれば時には失うこともあるだろう。
壊れた物は仕方ない。
失ったら、新しく得ればいいのだ!
さぁ~て、追い剥ぎプレイ開始だ!
とりあえず俺はコボルトの服を剥ぎ取り、ボロボロの服から着替えた。
ズボンのお尻部分に穴が開いててスウスウするが仕方ない。
コボルトの尻尾の穴である。
もう一着は血に汚れて酷かったから放棄した。
ショートソードを二本を鞘ごと回収する。
これで骨の棍棒を失ったが武器には困らないぞ。
コボルトたちは小さな巾着袋に金貨を三枚ずつ入れていたので手の中に吸い込んで回収した。
巾着袋も何かの役にたつかも知れないので、ちゃんと持っておく。
それと大岩に後頭部を激突して絶命したコボルトのほうが、ダガーを一本持っていた。
回収できる物はこのぐらいだった。
コボルトどもは素足だったので、靴は新しくゲットできなかったのが残念である。
そして鑑定作業に入る前にステータスを確認する。
何か新しいスキルを習得できているかもしれない。
「ステータス、かもーん!」
うきうき気分で呼び出すと、半透明のステータス画面が開かれる。
レベルが3に上がり、経験値が100に増えていた。
コボルトたちの経験は一匹につき25点ってことなのか。
武器無しスケルトンよりは強かった気がするしな。
お金も11Gに増えている。
スキル欄を見てみれば、やはり新しいスキルを覚えていた。
【魔力感知スキル】
これが新しいスキルだった。
解説を読む。
【魔力感知スキル。自分から半径3メートル以内に在る魔法力を黙視で確認できる。発動条件と発動時間は、スキル名を口にしてから息を止めていられる間だけである】
あー、便利系のスキルだねー。
早速使ってみるか。
「魔力感知」
俺は息を止めて辺りを見回す。
すると折れた骨の棍棒の手元と、コボルトから回収したダガーが青白く光っていた。
「ぷっはぁ~~」
なるほど、このダガーはマジックアイテムなのか。
それと折れた骨の棍棒が、まだマジックアイテム扱いになっていることに驚いた。
よく見てみると折れた骨の中に何かが入っている。
俺は近場の岩に骨を叩きつけて完全に砕いた。
すると骨の中から赤色の石が出て来る。
ルビーの原石みたいだった。
「魔力感知」
再び息を止めてルビーの原石を見た。
やはり青白く光を放っている。
しかし、砕けた骨の破片は光っていない。
このルビーの原石が、マジックアイテムとしての本体だったようだな。
よし、今度は鑑定だ。
楽しみはあとに取っとくとして、俺はダガーから鑑定を始めた。
【ダガー+1。一日一回、ライトの魔法で三時間ほど輝く】
なんだろう、ちょっとショボイな。
次だ!
本命の鑑定を始める。
【ルビーの原石+3。戦闘時の幸運向上。戦闘時の幸運向上。戦闘時の幸運向上】
え?
どういうこと?
コピペのミス?
同じ文章が三回も続いてるじゃんか?
意味が分からん?
同じ効果の三重掛けなのかな?
三倍なの?
もしかして+3って、魔法の効果が三個有るってことなのかな?
しかも、このルビーの原石は、たまたま同じ効果が重なったマジックアイテムなのかな。
なんか、俺の推測は当たってそうだった。
【つづく】