第10話【高低差の戦い】
怖い形相でコボルト二匹が坂を駆け登って来る。
二匹とも手にはショートソードを持っていた。
二対一の戦いだが、高低差で俺が有利だ。
俺は、早くも地の利を生かして攻撃を仕掛ける。
「ていっ!」
足元に在ったサッカーボールぐらいの岩を蹴り落とす。
コボルト目掛けて岩が、ゴロンゴロンと転がり落ちて行く。
時には跳ねたりしながら転がった岩が、コボルトの脛に命中する。
すると犬野郎は、前のめりに倒れた。
脛を押さえて踞る。
しかし、残りの一匹は俺の元までたどり着いた。
闇雲にショートソードを振るって来るが、狙いは脚ばかり。
高低差のために下半身にしか攻撃が届かないのだ。
繰り返されるコボルトの攻撃を、俺は容易く避けてまわる。
下半身にしか届かないのだ、回避も容易い。
そして俺も隙を見て骨の棍棒で攻撃を仕掛ける。
ここでも高低差の有利が発揮された。
俺の攻撃は、コボルトとは対照的に、敵の頭ばかりを狙えた。
何回か攻撃を繰り出すと、二回だけコボルトの頭をどつけた。
でも、致命傷にはならない。
所詮は骨の棍棒だ。軽いせいか攻撃力が低い。
そして、三発目が敵の頭に命中すると、コボルドが顔をしかめてよろめいた。
その隙を俺は見逃さなかった。
コボルトの顔面にトーキックをぶち込んでやる。
コボルトの頭は俺の腰の高さにあったから、身体の柔軟性が固い俺でも難なく蹴れた。
蹴られたコボルトは後ろに倒れて坂を転がって行ってしまう。
そして、先ほどまで村を隠れ見ていた大岩に、後頭部から激突して動かなくなる。
俺はゆっくりと坂を下る。
最初に転がる岩に脛をぶつけたコボルトの元に歩み寄った。
そいつは脛を両手で押さえながら、いまだに踞っている。
足が折れて動けないようだった。
残酷だと思ったが、俺はコボルトに止めを刺そうと、骨の棍棒で頭を思いっきり強打した。
でも───。
ボギっ!!
「ぁぁぁあああああ!!!」
骨の棍棒+3が折れた!
ポッキリ折れただけでなく、叩いた先端は砕け散っていた。
「おーれーのー、ボーーーーンクラブがーーー!!!」
その時であった。
【おめでとうございます。レベル3に成りました!】
「めでたくねぇぇええよっ!!」
【つづく】