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華奈の秘法

ほぼ、昏睡状態の光の口が、開いた。

本当にか細い声であるけれど、何かを口にしている。

春奈は、光の唇に耳を寄せた。

そして、必死に聞き取ろうと、神経を集中する。


「だ・・・い・・・じょうぶ」

まず、聞き取れたのは、その言葉。

しかし、誰がどう見ても、「大丈夫」などと言う、雰囲気はない。


春奈は、光に声をかける。

「光君、無理をしちゃだめ、何も話さなくていい」

「後で、薬師の秘法をする、それまではこのままだよ」

春奈は、とにかく光に余分な神経を使って欲しくない。

そう思っている。

また、他の巫女たちも、同じ考えのようだ。

光に向かって、見つめるだけ、誰も声をかけることはない。


その光の口が、再び動いた。

「・・・か・・・な・・・ちゃん・・・いる?」

どういうわけか、光は華奈の名前を口にする。


華奈は、本当に驚いたけれど

「はい、光さん、ここに」

ためらうこともない、さっと光の横に座る。


光は、その華奈に声をかける。

「お・・・ねがい・・・がある」

さっきよりは、少しは声が大きくなったけれど、まだ弱い。

聞き取るのが、ギリギリの状態。


華奈は、また泣き出してしまった。

「はい、光さん、なあに?」

泣きながら、光の口に顔を近づける。


光の手が少し動いた。

「お・・・ねがい・・・」


華奈は、その言葉でわかった。

そして、ゆっくりと光の手を握る。


「あ・・・り・・・がとう」

「華奈ちゃん、温かい、ホッとする」

華奈が光の手を握った瞬間、光の声が、少しはっきりした。

そして、そのまま、寝息を立てている。


この状態に春奈は、本当に驚いた。

「何て単純?でも、すごい効果だなあ、華奈ちゃんのほうが頼みやすいのかな」


由紀も驚きと口惜しさを隠せない。

「とにかく寒かったのかな、それで・・・私でもいいのに」


ソフィーがそれでも分析をする。

「光君は、おそらく薬師の秘法を知っている、奈良には詳しいから」

「ただ、大掛かりな秘法なので、面倒だったのかもしれない」

「それに華奈ちゃんも、実はね」

と華奈を見ると、華奈は恥ずかしそうな顔。


キャサリンが目を細めて、華奈を見る。

「う・・・身体の中の浄化霊がすごい・・・見きれていなかった」


サラは身体を震わせて、華奈を見る。

「そうですね、光り輝く鏡の浄化、それに聖なる太陽の光と熱も感じます」


春麗は、ニコニコしている。

「それはそうさ、天照様に愛された巫女だよ、成長すれば由香利さんと双璧」


さて、華奈が、ようやく口を開いた。

「私なんか、実力的には、皆さまの足元にも及ばないけれど」

「光さんの身体が、かなり冷たかったけれど、今は持ち直してきました」

「・・・それはともかく、邪霊が光さんの手に、というのか、航空機を手づかみした阿修羅の手から感染したのかな」

「それで、光さん、苦しんでいたみたい」

華奈は、そこで大きく深呼吸、不思議な呪文を唱え始めている。


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