光たちを狙った航空機攻撃?それもお手並み拝見?
天使長ミカエルが、戻って来た。
そして、阿修羅たちに、状況を報告。
「出発地は、マレーシア、クアラルンプール」
「まず、乗客、乗員全員が、昏睡状態」
「それと計器類、エンジンは、全て停止しています」
阿修羅は厳しい顔で、目を光らせる。
「ただ、途中までは正常に運行、ところが、この渋谷上空手前で、その状態になったのか」
それには天使長ミカエルもハッとした顔。
「はい、念のために計器等調べたのですが、全くその通りでございます、さすが阿修羅様です」
天神アポロも厳しい顔。
「そうなると、事故ではなく、航空機を使った攻撃とも考えられる」
「そのうえ、攻撃目標地点は、渋谷駅と、その周辺」
金剛力士阿形がますます顔をしかめた。
「つまり、光君と、巫女たちを狙ったのではないか」
「光君たちが、気づかなければ、全員をつぶすことができる」
金剛力士吽形も、それには頷いている。
ただ、阿修羅は、途中まで頷き、その後、首を横に振る。
「いや、あいつのことだ、狙うことは狙う」
「しかし、今は止められることも想定はしている」
「アポロやミカエル、金剛力士が阿修羅を警護しているなどは、あいつもよく知っている」
「つまり、お手並みを見る程度かもしれない」
「事実・・・」
阿修羅が、そこまで言った時である。
航空機のエンジンが動き出した。
そして、阿修羅がつかんでいた手を離すと、何事もなかったかのように、飛行し始めている。
天使長ミカエルが、阿修羅の顔を見た。
「万が一があるかもしれませんので、天使軍団は、あの航空機をこのまま監視します」
今度は天神アポロが目を輝かせた。
「おそらく、客室内の乗客も、乗務員も、何ら記憶がないはず」
アポロも、その透視力で、航空機内の様子を探っていたらしい。
金剛力士阿形が、阿修羅に声をかけた。
「後のことは、一旦ミカエルとアポロに任せた方がいい」
「そうでないと、光君が危なくなる」
阿修羅も、一々、頷く。
「わかった、その通りにしよう」
「確かに、光君は危ない、かなりな精力を使ってしまった」
そして、その合掌を解いた。
途端に、アポロ、ミカエル、金剛力士二体は姿を消してしまった。
気がつくと、光はヨタヨタ、フラフラと歩いている。
渋谷駅前の群衆は、いつもと同じ。
集まっていた救急車や消防車も、いつの間にか姿を消している。
その光は
「なんか、すっごく身体がだるい」
「このまま路上で眠りたいくらいだけど、ホテルないかなあ」
「ねえ、由紀ちゃん、何とかならない?」
いきなりそんなことを言われた由紀は、首を横に振る。
「普通の状態じゃないでしょ、光君」
「すっごいことやったんだから」
ソフィーがいきなり走って来た。
「光君、大型タクシー確保した」
「すぐ、それで横になって」
ソフィーは、真っ青になっている。