航空機の操縦不能?阿修羅たちの対応
駅前を目指して走り出した光の頭の中に、天使長ミカエルの言葉が飛び込んで来た。
「阿修羅様!航空機です!」
すると光は走りながら、阿修羅の合掌のポーズ、そしてミカエルに問いただす。
「航空機?あれはコンピュータ制御では?」
天神アポロの声も、光つまり阿修羅の耳に飛び込んで来る。
「はい、阿修羅様、誰かがその航空機のコンピュータ自動操縦システムに細工をした模様です」
「今は、全く操縦不能、本来であるならば手動でも、操縦できるのですが、その前に航空機内に異変が起こっている様子」
天使長ミカエルの言葉も緊張した。
「阿修羅様、このままでは、渋谷駅前に墜落です」
「かなりな人的被害と物的被害が発生します」
光は、天使長ミカエルの言葉の時点で、阿修羅に変化した。
そして、再び印を結びなおし、いきなり巨大化する。
「むう!」
その巨大化した阿修羅の目の先に、操縦不能となった航空機が、機体を揺らしながら、進んでくる。
そして、足元の渋谷駅前には、その墜落の危険を察知したのか、かなりの群衆が逃げ回っている。
また、消防車や救急車も、ゾクゾクと集結してくるのが、はっきりとわかる。
「しかたない」
阿修羅は、その六本の腕の上部、二本の腕を航空機に向かって伸ばした。
そして、がっしりと掴むと、航空機は天空で静止した。
「ありがとうございます!」
「よく止めていただきました」
天使長ミカエルが、阿修羅の隣に飛んで来た。
阿修羅は、厳しい顔のまま。
「ああ、それより、機体の内部を探ってくれ」
その言葉をかけると、天使長ミカエルの姿が航空機の中に消えた。
阿修羅が、頷くと今度は天神アポロ。
「さて、どうしますか、羽田まで」
「私と天使軍団で運びましょうか」
阿修羅が少し考えていると、また二体の巨像が出現。
そして、嵐のような太い声で叫んできた。
「ああ!俺たちで、羽田まで運ぶ」
阿修羅は、それで少し顔をしかめる。
「何だ、阿形、お前、声がでかすぎる」
出現した二体の巨像は、やはり金剛力士だった。
「いつもいつも、出て来てくれるのは、ありがたい」
阿修羅は、それでもうれしかったようだ。
一応の礼を述べている。
それには、天神アポロもも、苦笑いをしている。
阿修羅が、真顔に戻った。
「とにかくミカエルの状況調査がないと、先には進めないな」
「あの航空機内で、何が起こっているのか」
「その原因は何か、誰が仕掛けたのか」
「・・・おそらくは、あいつかな・・・」
金剛力士阿形も、阿修羅に反応。
「ああ、確かに、そう思うな」
「とにかく面倒なヤツだ」
金剛力士吽形も、顔をしかめている。