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外国人巫女VS日本育ち巫女

外国人巫女三人は、先程までの明るい表情とは、一変した。

まず、春麗が口を開いた。

「あのね、日本で育った巫女さまたち」

その口ぶりが、最初から少しきつい。

これには、春奈、由紀、華奈、ソフィーも少し身構えてしまう。


春麗は言葉を続けた。

「そもそも、あなたがた日本で育った巫女の、光君へのケアが不足しているから、こうなってしまうんです」

「心のケアも不足、食生活のケアも不足、そして戦闘状態になった時だって、あなた方って見守っているだけでしょ?武器の一つも持ったことがないでしょう?」


「う・・・」とうなだれてしまう日本人巫女に、サラが追い打ちをかける。

「だいたいね、光君のお母さんのことだってね、ソフィーは見抜く能力を観音様から授かっているんだから、どんどん使わないと駄目じゃないですか」

「他の巫女さんも同じ、お嫁様候補だとか何とかの前に、しっかり支えないと」

「そんなことだから、入り口にもたどり着けないんです」

サラにもきつく言われてしまった日本育ちの巫女たちは、またしても肩を落とす。


最後にキャサリンが、またしてもキツい言葉。

「そんなね、最初の夏のコンサートの人間相手の戦いぐらいではいいけれどね」

「クリスマスの時のミノタウロスとドラキュラとの戦いとか、富士山麓での暗闇の神との戦いの時なんて、光君は死ぬか生きるかまで追い込まれたんでしょ?」

「それは、私たちから言わせれば、あまりにもあなた達の失態です」

「もし、光君が死んじゃったらどうするんですか?」

「あなた達が、殉死するだけでは済まないんですよ」

「世界そのものが、終わりになりそうだったんですから」


春麗が再び口を開いた。

「それで、あるお方が、本当に心配になったんです」

「それで、日本育ちの巫女だけでは、次の戦いには、無理」

「心もとない、だから私たちが派遣されてきたのです」


ずっと下を向き、黙っていた春奈がようやく顔をあげ、一言。

「そこまで言わなくても」


由紀も反発。

「確かに甘いと言われれば、そうなんだけど、光君は女の子にそういうことは望まないって言っていたし」


華奈も反発をしたいのだけれど、言葉が出てこない。

とにかく、「最高位の呪力巫女たち」に完全に押されている。


それでも、ソフィーが

「阿修羅自身が、光君の孫まで守るとか、大丈夫って言っているんだから、そういうことまで言わなくてもいいと思うよ」

「私たちだって、充分すぎるくらいに支えてきたもの」

やはり観音様の巫女、冷静な反応をする。


しかし、それに対して、まずサラ。

「あはは、ソフィーらしくもない、阿修羅の言葉の真の意味を考えているの?」

「ずっとあなたたちだけに、支えてもらうなんて一言でも言ったの?」


キャサリンがサラに続いた。

「あのね、事実としてね、あなたたちは今まで、光君の心も、はっきり言ってしまうけれど身体も射止めていないの、それが事実、私たちを派遣したお方も、それを不安視している」


春麗は、さらに厳しい。

「つまりね、なるべく早く跡継ぎが必要なのに、光君は恋とか愛の兆しも全くない、あなたたちのように、ただ、ニコニコと話をしているとか、光君に寄り添っているだけじゃ駄目なの」

「光君から、必死に求められるような女になったことが一度でもあるの?」

春麗の最後の言葉は、本当にきつかった。

そして日本育ちの巫女たちは、またしても沈み込んでしまった。


しばし、険悪な雰囲気が応接室に充満した。

誰も、言葉を出せる状態ではない。

校長は、あまりのバトルに頭を抱えている。


突然、光が頭をあげた。

眠たそうな顔をしているけれど、口調はハッキリしている。

そして春奈に声をかけた。

「春奈さん、よくわからないけれど」


春奈が、「え?」という顔で光を見ると、

光は、突然言い出した。

「ねえ、悪いけれど、奈良のにゅうめんが食べたくなった、春奈さん、今晩の夕食でお願い」

春奈は、顔をおおって泣き出してしまった。

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