阿修羅、地蔵、アーサー王の会話
阿修羅が、銀色の甲冑に身を包み、光り輝く戦士に声をかけた。
「ああ、久しぶりだな、アーサー王」
地蔵はうれしそうな顔で、再び手を合わせた。
「今回は、キャサリン姫ということで、お預かりしております」
その「アーサー王」は、地蔵の言葉に恐縮した様子。
「いやいや、こちらこそなのです、こちらのほうから無理を言って、阿修羅様のお近くにと申しましょうか、光君のお側にと、申し出たのですから」
そのアーサー王の言葉に、阿修羅はクスッと笑った。
「まあ、君も知っての通りだけど、光君の御相手は大変だよ」
「彼の元々の引っ込み思案な性格もあるけれど、その上に、競争相手も多い」
地蔵は阿修羅の言葉に苦笑している。
アーサー王も、少し笑う。
「はい、確かに、その通りです、しかし光君はまだ17歳、キャサリンも同じです、まだまだ先の話、今は親睦を深めたり、人間としてのレベルで、互いの力量を感じ取っている段階なので、気長に待つことにします」
地蔵もアーサー王の言葉に、深く頷いた。
「まあ、それがいいでしょうね、確かに光君と、取り巻く巫女たちの間でトラブルがあっては、より危険が増します」
「何しろ、今回の相手は、混沌の神、どこで何をしてくるのか、よくわからない」
阿修羅は少し真顔になった。
「完全に悪の神ということになるならば、今までのようにおびき寄せて、真正面から叩き潰せばいいのだけれど」
「混沌の神は、小技をたくさん仕掛けてきて、混乱を招くのが常套手段」
「小技といっても、そのたびにしっかり駆除しないと、あとで大きな災害となることがある」
アーサー王は、ここで阿修羅に頭を下げた。
「とにかく大平原で両軍が対峙して、合戦をするわけではありません」
「ゲリラ戦と言いましょうか、神出鬼没で突然攻撃を仕掛けてきて、またすぐに姿を消してしまいます」
「弱い勢力が、強い勢力に対抗する場合の典型的な手段となるのですが」
阿修羅はアーサー王の言葉を補足した。
「古代ローマで言えば、深い森に逃げ込んで闘うケルトやゲルマンとの戦いだな、アーサー王の故郷のブリテン島でも、大軍に対抗するとならば、そうしなくてはならなかった」
地蔵が言葉をつなげた。
「そうなると、やはり光君対象のゲリラ攻撃が、やがて発生しそうですね」
「その意味において、キャサリン姫とサラ姫、春麗姫の参戦は、本当にありがたいことなのです」
「何しろ、日常の警護役としては、申し分ない」
そんな状態で、話が続いていたけれど阿修羅の目が途中から光だした。
「築地の暗殺教団などは、小手調べ程度になるけれど・・・」
阿修羅の目の光に、アーサー王も反応した。
「そうですね、かなり邪悪な混乱の神が日本に向かっているようです」
「下手をすると、日本から発した大混乱が全世界を襲いかねない」
地蔵の目も光った。
「ふ・・・隣の大国からの混乱の神」
「となると、次の闘いは春麗がメインですかね」
阿修羅も頷く。
「ああ、次の闘いも、大きな闘いではないけれど」
「メインは、春麗、そして天照様の巫女が二人必要」
「それから政府と、その業界にはしっかりとした対応が不可欠」
阿修羅の言葉に、アーサー王と地蔵は、しっかりと頷いている。