由香利のお礼申し出
光は、由香利の表情が気になった。
由香利は、光が一年生の時からの、あこがれの美人の先輩。
そして気配りもあって、様々な場面でピンチを救われている。
その由香利は、光を手招き。
光が由香利の前に行くと
由香利が真顔。
「あのね、うちの親がさ、光君を見たいって言うの」
「それで、今日は仕方ないけれど、お迎えも出すから、連れてこいって」
「今日の築地市場を救ってもらったお礼もしたいって、言い張っているの」
光は、少し考えた。
「僕自身は、かまわないです」
「ただ、巫女たちも、全員連れて行くのが条件、でも人数が人数だから迷惑になるかなあ」
由香利は、そこでホッとした顔。
「ああ、人数は大丈夫、うちの親父は賑やかが大好きなの」
「築地の料亭でも、舟遊びでも何でもって、お金には糸目をつけないって言ってた」
ようやく「話の筋」が見えてきた。
光も、少し笑った。
「じゃあ、お茶を飲みながら、みんなに話そうよ」
「細かい話は、由香利さんに任せるけれど」
由香利も、ここでやっと笑った。
と、同時に、さっと光の腕を組んでしまう。
これにはキャサリンも、反応ができなかった。
キャサリンも、由香利をじっと見る。
「さすが・・・伊勢大神の巫女、それにスタイルが完璧」
「典型的な和風美人にして、光り輝くようなオーラと頭の良さ」
「本気を出されたら・・・」
少々、心配になるけれど、その前に待ち構える巫女たちに、ローズヒップ茶を出さなければならない。
光は、由香利に腕を組まれているので、あてにできない。
結局、ワゴンにお茶からカップまで全て乗せて、運ぶことになった。
さて、巫女全員と光の前に、ローズヒップ茶を置いた時点で、由香利の話が始まった。
「本当に今日は、築地市場を救っていただいて、誠に、ありがとうございました」
「日本育ちの巫女様方、そしてはるばる海外から来られた三人の巫女様方のご協力とご尽力に、築地・日本橋に在する我が家を代表して、改めて御礼申し上げます」
由香利は、この時点で、一度深く頭を下げた。
そして、話を続けた。
「それで、私の父が、今回のことに感激しておりまして、皆様方に、お礼をしたいということなのです」
「また、その前にもご挨拶に伺いますが」
「一応の設定では、築地でも最高クラスの料亭、それと隅田川の船遊びをどうかと思いまして」
由香利は、ここまで話をして、巫女全員の顔を見る。
まず春奈
「うーん・・・それはありがたいなあ・・・お誘いには乗ります」
ルシェール
「はい、それは楽しみです、是非」
華奈は心配顔
「すっごく行きたい、でも私、船酔いするかも」
由紀
「私は行きたい、たまには舟遊びもいいかな」
キャサリン
「面白そうです、是非にでも」
サラ
「はい、由香利さんのお父様にも興味があります、義理人情をお持ちの方と」
春麗
「私も参加、華奈ちゃん、心配ないよ、酔い止め作ってあげる」
華奈は、ここで春麗の顔を見て、ホッとした顔になっている。