戦闘集団のパニック
ナイフ使いたちの攻撃は、本当に瞬速。
光、キャサリン、サラ、春麗に向けて、様々な角度で、襲いかかる。
しかし、不思議なことに、その攻撃が、全くカスリもしない。
「おい!どうなっているんだ!」
「何故、何も当たらない!」
「目の前に身体があって、まっすぐに突いても、切りかかっても、カスリもしない!」
ナイフ使いたちは、しだいに焦り始めた。
また、ナイフ使いの男たちの後ろに控える拳銃使いも、全く攻撃ができない状態。
「撃とうにも、これじゃ、味方の背中に当たってしまう」
「とにかく、前のナイフ使いの奴らが倒されでもしないと攻撃も何も無理だ」
結局、ナイフ使いの男たちの攻撃を、なぜかかわし続ける光たちを見ているしか手段がない。
また、リーダー格の男も、その直属の子分も、意外な展開に目を丸くする。
「ナイフで脅せば、簡単だとは思ったけれど、いったい何だ、あのガキどもは」
と、リーダー格の男が首を傾げる。
直属の子分も、同じように首を傾げる。
「・・・何故、あの速いナイフが何も当たらない」
「何故、かわせる?」
「つまり、俺たちの仲間よりも、あのガキどものほうが、動きが速いってことなのか・・・」
そんな膠着状態に、少しずつ異変が起き始めた。
まず、上空が少しずつ、黒くなってきた。
遠くの方から、雷の音が聞こえてくる。
リーダー格の男が
「む・・・もしかして雨か?」
「予報では、降水確率は0%だったはず」
と空を見上げると、また雷の音。
しかも、遠くではない、少しずつ近づいている。
直属の子分は、また別のことを気にかけている。
「ポリスのサイレンの音も、激しくなってきた」
「前後、左右、あちこちから聞こえてくる」
「既に囲まれたか」
「囲まれてしまうと逃げるのは困難」
リーダー格の男もあちこちの方角を見て、またサイレンの音で、門を見た。
「出口はあそこだけか、入ってきた門・・・そこから逃げようにも難しい」
リーダー格の男の表情が本当に厳しくなった、その瞬間である。
築地本願寺上空に、大きな稲光が発生した。
「うわ!眩しい!」
集結した戦闘集団は、あまりの眩しさに、全員が目を閉じた。
そして、再び、その目を開けると、全員が腰を抜かした。
まず、目に入ったのは、まさに異様な異形が、東西南北に四体。
また、自分たちの頭上にも四体の異形が浮かんでいる。
戦闘集団たちは、まさにパニックに陥った。
「何だ!あれは!まやかしか!」
「何故、人が空に浮く!」
「東西南北の奴らは・・・見たこともない軍服?」
「上の奴らは・・・あ!降りてきた!」
「銀の甲冑に長剣?」
「白の単衣に弓?」
「あれは中国服と・・・三叉矛?」
「若い娘じゃねえか!」
「それと・・・あいつは・・・化物か!」
雷の音も、一層激しさを増している。