戦いを止められる阿修羅
光もクスッと笑った。
そして両手を胸の前で合わせた。
その、阿修羅のポーズの完成とともに、地蔵菩薩と四体の異形がゆっくりと降りてきた。
光の姿は、阿修羅に変化している。
そして、少し笑いながら、降りてきた地蔵と四体の異形に声をかけた。
「地蔵様、それから、四天王の諸君、お久しぶりだ」
地蔵が、そんな光を見て、苦笑いをする。
「阿修羅様、せっかく連れてきたのに、その笑い方は・・・少し・・・」
しかし、阿修羅は何も気に留めない。
「あまりにも、昔ながらの、超頑固な顔なので、つい笑ってしまっただけだ」
「それに、これは四天王の諸君が、どうしても出てきたいというので、出てきてもらったに過ぎない」
「諸君も活躍の場所が欲しいということだろう?」
阿修羅は、まだ笑っている。
そんな光と地蔵の会話を聞いていたソフィーが、割って入った。
ソフィーも、挨拶をしたい様子。
「お久しぶりです、ソフィーです、観音様の巫女を仰せつかっております」
「このたびは、地蔵様、そして多聞天、広目天、持国天、増長天の方々、本当にご苦労さまです」
ソフィーがそこまで言って頭を下げると、地蔵はニッコリ、四天王の面々も少し顔を緩ませる。
ソフィーに続いて、キャサリン、サラ、春麗が、地蔵と四天王の前に立った。
そして順番に自己紹介。
キャサリン
「私はキャサリン、アーサー王の末裔、聖剣エクスカリバーにて、戦わせていただきます」
サラが続く。
「私は、サラと申します。女オリュンポス十二神の一人、アルテミスの巫女にして、銀色に輝くアルテミスの矢を武器とします」
最後に、春麗。
「はい!春麗です!古代中国、九天玄女の巫女だよ、武器でも格闘でも何でも大丈夫!」ここでも春麗は、くるりと一回転して自己紹介。
一応の自己紹介が終わり、阿修羅が、全員の顔を見た。
「さて、これから作戦を伝える」
「四天王の諸君は、それぞれ、築地本願寺の四隅を警護して欲しい」
「多聞天は北、広目天は西、増長天は南、持国天は東、つまり、いつものポジションだ」
「ソフィーについては、上空からの援護を頼む」
「キャサリン、サラ、春麗は、それぞれの戦い方で、存分に」
阿修羅の言葉に、地蔵菩薩が補足する。
「私は、とにかく築地本願寺より、彼らが逃亡などしないように、しっかりと結界を張ります」
阿修羅も満足そうな顔、そして「じゃあ、そろそろ」と築地本願寺に向かって歩き出そうとすると、まず広目天から声がかかった。
「阿修羅様、もしかして戦う気があるのですか?」
すると阿修羅は、「ああ、戦うかな」と再び歩きだそうとする。
しかし、今度は北方を守る多聞天から声がかかった。
「阿修羅様、特に阿修羅様自身が戦う必要はありません、それほどの相手でもなし」
とにかく阿修羅の参戦は無用と言ってくる。
東を守る持国天、西を守る増長天も、何か阿修羅に言いたげな様子。
その持国天と増長天の言いたいことを読んだのか、地蔵が少し困惑気味の阿修羅に声をかけた。
「ほら、そんな、超頑固な顔なんて言ったから、四天王に止められるんですよ」
「私も、四天王の言う通りと思います、この程度の相手なら、キャサリン、サラ、春麗で充分です、阿修羅様は、見ているだけで結構です」
阿修羅は、途端につまらなさそうな顔になっている。