地下の大浴場?大量のバラ
午後の授業も全く平穏に過ぎ、放課後となった。
いつもの通り、華奈が教室まで光を迎えに来たけれど、由紀、キャサリン、サラ、春麗が、光の周囲をガッチリと固めているので、全く入り込めない様子。
そんな華奈の焦り、ガッカリ顔を見抜いたのか、キャサリンが華奈と由紀に声をかけた。
「ねえ、華奈ちゃん、それから、由紀さん、少しお願いしたいことがあるの」
華奈と由紀は、キャサリンからの予想外の声かけで、目を丸くした。
ただ、じっと聞く以外にはない。
キャサリンは、言葉を続けた。
「光君と私たち、それからソフィーも、これから夕飯の材料の買い出しで、築地に行くの」
「それでね、本当は華奈ちゃんとか由紀ちゃんも、一緒にって思ったけれど」
「それだと人数が多すぎて、人混み雑踏の築地だと、大変なの」
華奈は、「人混み雑踏」を気にした。
「うん、確かに人混み雑踏では、この人たちも、まさか光さんにフラチなことは出来ない、それに私は伸び伸びと奈良で育った、あまり人混みは好きじゃない、望むのは光さんと二人きりだしなあ」
由紀は冷静、キャサリンの次の言葉を、しっかりと聞こうと思っている。
キャサリンは、言葉を続けた。
「で、ルシェール、春奈さんも含めて、準備して欲しいものがあるの」
これが、キャサリンのお願いのようだ。
「何かのメモ」を、由紀に渡している。
華奈も、スッと由紀に近寄り、一緒にメモを見る。
由紀は、そのメモを見て、途端に面白そうな顔になるけれど、首を傾げてしまう。
「ほー・・・これはこれは・・・ウンウン・・・」
「これを作ればいいのか・・・て・・・でも、どうやって?」
華奈は、途中から「意味不明」の顔に変化した。
その二人の表情が気になったようだ。
光が、二人に声をかけた。
「あのね、隣のアパートの地下なんだけどさ、父さんが大浴場を作ってあるの」
それを聞いた華奈
「え?マジ?」
由紀も
「昨日の晩、気づかなかった、光君、説明もしなかったじゃない」
と、少しムッとした様子。
ただ、光は、少し笑った。
「昨日の段階では、まだ掃除が終わっていなくてね」
「今日の午前中から、業者が入って、掃除とか、再整備、再点検しているはず」
「今は、ルシェールが見ているかなあ」
ますます首を傾げる由紀に、そのルシェールから電話が入った。
ルシェール
「ねえ、すっごい豪華な地下大浴場だよ」
「ジャグジーもサウナもある」
「トレーニングルームもあるね」
「とにかく大きなお風呂だ」
「これなら巫女全員で入れる」
ルシェールが、そこまで話して、少々の「間」があった。
そして、ルシェールの次の声が、ガラッと変花、焦り声になった。
「それでね、由紀さん、とにかく早く華奈ちゃんを連れて、帰ってきて!」
「アメリカ大使館から、ものすごい量のバラの花が届いたの」
「おそらく、キャサリンの何かの考えだと思う」
「とにかく、私一人では無理な量です」
キャサリンが、ニコニコと説明をはじめた。
「はい、今日はバラ風呂にします」
由紀と華奈は、あっけに取られている。