表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/371

それぞれのお弁当と由紀と光

さて、光たち一行は、学園に到着した。

学園内は、昨日の始業式からのような一種の混乱状態ではなく、全く平穏に時間が流れている。

外国人転入生であるキャサリン・サラ・春麗は、光の周囲を決して離れないまでも、周囲の同級生たちとは、ごく自然に話をするようになっている。


そんな状態を見て、由紀は様々思う。

「やはり、レベルが高い三人だなあ、頭が切れるし、可愛いし、人当たりも柔らかい」

「呪力が優れ、戦闘力もすごくて・・・そのうえ、料理名人で・・・」

「こうなると、華奈ちゃんの出る幕はないなあ」

「まあ、春奈さんも、ソフィーも年齢差があるから、少しずつ対象外への道を歩んでいる」

「由香利さんが卒業して学園内にいないのは、ラッキー」

「最強ルシェールが学園内にいないのは前からだけど、それでも光君と一緒に座っている姿は、時々入り込めないことがある」

「うーん・・・こうなると、マジで本気出さないとなあ」


ただ、そう思っている由紀は、昼休みに光が食べだした「由香利特製の光用弁当」を見て、また驚いた。


「うわ!すっごい、あの鮭が美味しそう」

「玉子焼きのテリも・・・海苔も香ばしい」

「ひじきかあ・・・美味しそうなんてもんじゃない」

「あーーー普通の鮭弁当なんだけど、どうしてあれほど?」

「それに由香利さん、お茶もいい香りだなあ、お茶も名人かな」

そして驚きながら、ついでにキャサリン、サラ、春麗が食べているお弁当をチラリ。


キャサリンは、サンドイッチと紅茶のようだ。

しかし、その中身が由紀の目をひいた。

「う・・・もしかして、ステーキサンドイッチ?美味しそう・・・」

「それに紅茶はダージリン、いい香りがしている」


次に、サラを見る。

「ほー・・・美味しそうなトマトリゾットか、保温容器か、ふぅ・・・香りというかスパイスがたまらない」

「それと、エスプレッソの香りかあ・・・これはこれは」


最後に春麗

「ほーー・・・中華まん?で、中身は・・・うわ・・・フカヒレ?」

「この子も保温容器か・・・さすがだ」

「そのうえ、烏龍茶の香ばしい香り」


と、それぞれ感心しながら、自分の作った弁当を見る。

「ついつい、トンカツ弁当にしちゃった」

「悪くはないけどなあ・・・」

「よし!明日は、もう少し工夫しよう」

「それに、これから全員で光君の家で、料理研究が出来るなあ」

「これはこれで、面白い」

と、ようやく、他人が作ったお弁当に押されていた由紀は顔が明るくなった。


すると、突然、光が由紀に声をかけてきた。

「由紀さん」


由紀は、すごくうれしかった。

「なあに?光君」

つい、猫なで声になってしまった。


光は恥ずかしそうな顔で

「あのさ、トンカツ一切れと、何か交換しない?」

「由紀さんの、トンカツ、ほんと、美味しそう」


由紀は、うれしくて仕方がない。

「お弁当、全部交換してもいい」

と思ったけれど、それは少し言い出せなかった。

「アーンしよう」とも思ったけれど、ここは教室、人の目がある。


由紀「わかった、鮭の少しと、トンカツね」


その光は、本当に美味しそうに、由紀のトンカツを食べている。


由紀は、この時点で、幸せ一杯になってしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ